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IoT×AIで描く未来 - データ活用で脱「モノ」売りを目指すパナソニック

[2020/01/22 10:00]周藤瞳美 ブックマーク ブックマーク

カメラで次世代のインフラをつくる

では、具体的にそうした問題はどこに存在しているのだろうか。宮崎氏は「フィジカル空間」にあるとした上で、「サイバー空間ではデータが取得しやすいため、サイバー空間のみでの問題解決はすでに飽和していると言ってもよいだろう。ちょっとした改善ができていないのは、フィジカル空間。ここでどう”1.01”を作っていくかという考えが重要」と説明する。

IPカメラをさまざまな用途のIoTデバイスとして活用するVieurekaプラットフォームはこうした考えの下、フィジカル空間でのデータ取得を目的として登場したサービスだ。端末上でAI処理可能なVieurekaカメラと、カメラ上で実行されるAIベースのアプリケーションを遠隔から個別アップデート/管理可能なクラウドベースのマネジメントソフト、そしてアプリケーションを開発するためのソフトウエア開発環境で構成されている。

パナソニックがカメラに着目した理由について、宮崎氏は「人間の視覚がヒントになっている。視覚は五感のうち、モノの位置・動き・形・大きさ・色・奥行きなど、日々の判断の大部分を担っている重要な感覚。視覚を目によるセンシングであると捉えると、人間の目の役割を置き換えることができるのはカメラ」と説明する。

監視カメラだけでも年間6600万台が世界で出荷されている。工場などのセンサカメラやWebカメラなどを含めるとカメラの出荷数は年間1億台にも上るといわれている(スマートフォンのカメラは除く)。そして、インターネットを介して数百万から数十億台のカメラがつながる世界では、画像解析がカギとなる。

「カメラには、”世界の今”をデータ化する新たな社会インフラを創造するポテンシャルがあると言えます。ただ映像を溜め込んで個別最適で利用するのではもったいない。映像データではなく解析によって意味のあるデータのみを収集し、その上でどこにどんなカメラがあり、誰が所有していて、何を認識しているか個別管理をするという、電気や水道など他のインフラではできていることを、カメラのインフラでも行うことが必要です」(宮崎氏)

Vieurekaプラットフォームでは、用途に合わせてIPカメラの機能をカスタマイズできるため、店舗でのマーケティングや、工場での従業員の行動管理、病院/介護施設での見守りなど、さまざまなシステムを実現することが可能だ。実際には、パナソニックのパートナー企業がVieurekaプラットフォームを用いたシステムを開発し、サービスを展開するかたちとなる。

「ECサイトの当たり前」をリアル店舗にも

Vieurekaプラットフォームの導入事例として宮崎氏は、北海道札幌市のドラッグストア「サッポロドラッグストアー」での取り組みを紹介した。

サッポロドラッグストアーでは、380坪程度の広さの店舗に96台のVieurekaカメラを設置。映像を解析し、来店者数だけでなく、推定性別や年齢、滞留時間をデータ化した。ECサイトではこうしたデータをもとにサービスや商品、UXなどを改善することはもはや常識だが、それをリアル店舗でも実現しようというわけだ。

店舗内での来客の売り場到達率=販売機会が定量的に明らかになれば、売れ行きの良くない商品があった場合、売り場が悪いせいなのか、商品が悪いせいなのかの判断ができるようになるため、店舗だけではなくメーカーにとってもメリットがある。

「店舗を改善するためには、どういう風に売れたかということまで理解するのが重要です。売れた個数がわかっただけでは意味を持ちません。来店者数や属性、売り場到達率まで分析すると、品揃えや引き込み方を工夫することができます。これが、日々の”1.01”につながっていきます」(宮崎氏)

従来もこうしたシステムがなかったわけではないが、導入には莫大なコストが掛かっていた。しかし現在では、カメラ、ネットワーク、コンピュータのコストが下がり、IoT技術の発展も相まって、安く簡単に構築/導入できるようになってきている。そして今後はさらに暮らしの隅々までIoT機器が浸透していくようになるだろう。

宮崎氏は「IoT機器が普及することで、開発者は価値創出に時間を作れるようになる。機器を開発するだけでなく、その先にあるデータ活用、ひいては経営への貢献などにつなげていきたい」と意気込みを語った。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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