テクノロジーの進化や働き方の多様化により、人々の仕事、そして描くキャリア像は大きく変わり始めている。YouTuberやInstagramerのような職業が新たに誕生しているのも、その1つの表れだろう。個人の情報発信が容易になった今、好きなことを仕事にするチャンスは格段に増えた。

12月11日に開催された第134回IT Search+スペシャルセミナーでは、そんな「好きなことで大活躍している人」を代表して、日本マイクロソフト エバンジェリスト/業務執行役員業務執行役員 西脇資哲氏、”チョコミント好き大学生”として知られるうしくろ氏、VRアーティストとしてグローバルに活動するせきぐちあいみ氏が登壇。

第1部では西脇氏が「好きなことを仕事にする時代の考え方」について解説し、続く第2部では”好きを仕事にする時代”のキャリアをテーマにしたパネルディスカッションが行われた。

(左から)西脇資哲氏、せきぐちあいみ氏、うしくろ氏

仕事の在り方が変わる「Society 5.0」の到来

西脇氏と言えば、日本マイクロソフトの業務執行役員であり、IT業界屈指のエバンジェリストとして名高い人物だ。一方で、アイドルグループ「乃木坂46」とのラジオ番組でMCを3年間務めたり、ドローンビジネスで注目を浴びたりと多方面で活躍することでも知られる。

西脇氏曰く、そうした自由な働き方ができる背景には、総務省が提唱する未来社会「Society 5.0」の到来があるという。

Society 5.0では、IoTやビッグデータ、AIなどのテクノロジーにより、さまざまなデータが収集/分析され、さらにそれが現実社会にフィードバックされることで世の中に影響を与えていくとされている。狩猟社会から農業社会、工業社会、そして情報社会へと変化してきた人類の歴史において5番目のターニングポイントとなる社会だ。

この新しい時代に人はどう働くべきなのか。

西脇氏は「これまでの人類史における各ターニングポイントにそのヒントがある」と説く。

「社会が大きく変わったとき、多くの仕事や職業がなくなりました。産業革命では機械の導入によって熟練工や力作業が減少したし、20世紀のOA革命では自動化が進み、定型的な作業が減少しました。しかし代わりに、新たに生まれた仕事もあったのです」

例えば、馬車が廃れたことで御者や馬の世話をする仕事は減少したかもしれない。その代わり車が登場し、ガソリンスタンドや運転手といった仕事が生まれた。大きな社会の変化こそビジネスのチャンスであり、「次に何が生まれるのか」を考えることが重要になるのだ。

では、Society 5.0の世界では何が起きるのか。

西脇氏によると、「AIなどのテクノロジー進化により、経理や会計、コンビニ店員といった仕事はなくなっていく」のだという。逆に、「クリエイティブやモチベーション、マネジメント、コミュニケーションに関わる仕事は人にしかできないため、必要性が高まっていく」と予測する。

Society 5.0へ向かう過渡期の今、そうした新たな仕事が次々に生まれている。

その一例が、西脇氏やうしくろ氏、せきぐちあいみ氏のような「好きを仕事にする」人々の登場である。クリエイティビティを発揮し、その活動や言動で他者に影響を与える彼らのような仕事はAIでは代替できないものだ。

ではどうすれば、そのような働き方ができるのか。

これまでにさまざまな「好き」を仕事にしてきた西脇氏は、何よりもまず「続けることが大事」だと語る。西脇氏自身、日本酒を飲み続けていたら日本酒イベントの話がきたり、御朱印を集め続けていたらTV番組の仕事が決まったりといった経験を持つ。

ただし、単に続けるだけで必ずうまくいくわけではない。

「例えばアイドルに成功の理由を聞くと、『オーディションに応募し続けていたから』と答える子が多いです。しかし、応募し続ける人はほかにもたくさんいます。続けるだけでなく、何をすれば差別化できるのかを考えること。好きで、なおかつ差別化できることをずっと続ける。それが大事なんです」(西脇氏)