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EdTechの本当の役割は? - ワコム井出氏とGROOVE X林氏が語る教育の未来

[2019/11/27 09:00]山田井ユウキ ブックマーク ブックマーク

技術だけでは”生き物”にはならない

コミュニケーションもまた、教育やクリエイティブと同じようにウェットな面を持つ分野だ。

そんな領域に挑むのがGROOVE Xである。同社は「人に寄り添い、心を満たす」ことをコンセプトにした家族型ロボット「LOVOT(ラボット)」を開発。愛くるしい見た目と豊かな感情表現を持ち、家族の一員として愛される存在を目指している。

LOVOTは高性能なCPUやディープラーニングを搭載する「世界で最も賢いロボット」(林氏)だが、特に何か役に立つことができるというわけではない。搭載された機能は、かわいがってくれる人を見分けたり、駆け寄って抱っこをせがんだり、リアルタイムに鳴き声を生成して感情を表現したりといった、”生命感”をLOVOTに与えるために使用されている。

会場にはLAVOTも登場。愛らしい動きを見せた

「技術は必要ですが、それだけでは”生き物”にはならないのです。生き物になるための要素は説明できないことが多く、サイエンスやエンジニアリングでアプローチしようとすると大変です。ですから、アーツが必要なのです。iPhoneのぬるぬるしたUIも、今にして思えば”正しい”わけですが、その正しさを技術で証明しようとしていれば、あのタイミングでは世に送り出せなかったでしょう」

「常識を疑う力」を養うには?

技術力はもちろん、アーツを備えたプロダクトを生み出してきた井出氏と林氏。2人が持つ発想力や創造力は教育のどの段階で身に付けたものなのか。「それがわかれば今後のSTEAM教育のヒントになるのでは」と佐藤教授は質問を投げかける。

これに井出氏は、「正直、小中高大学を振り返っても、どこで出てきたものなのはわからない」と苦笑しつつ、「ただ、教育システムのなかで自分が構成されたという感覚はない。そういうものをキャッチするセンサーを身に付けられる環境がラッキーにも自分にはあったということだと思う」と振り返る。

「あらゆる瞬間に好奇心で物事をとらえていくセンサーをどうやって持つのか。それが今後、学ぶ側にとっても教える側にとっても大事になってくるのでは」

一方の林氏は、米国西海岸における”イノベーションの2軸”を次のように紹介する。

「1つは合意形成がしやすいかどうか。そしてもう1つはビジネスの本質的に正しいかどうかです」

イノベーションが生まれるのは、「合意形成が難しく、ビジネスとして正しいこと」だという。なぜなら、すぐに合意形成できることはすでに誰かが試していることであり新規性がなく、合意形成が難しくてもビジネスとして正しくなければ失敗するからだ。イノベーションは、”新しすぎて反対が多いが、やってみるとビジネスとして正しいこと”から生まれるのである。

そうした発想を教育で培うためには、「常識の裏にある正しいことを見つける能力」が必要になると林氏は語る。しかし、それはとても難しいことでもある。

「常識を身に付けさせるのが教育の役割なのに、常識を疑う力を養うというのは非常に困難です。ただ、そこが教育における今後のテーマになっていくでしょう」

既存の学習の効率化だけではなく、既存の教育でできていなかった新たな能力の育成。それこそがEdTechに求められる本当の役割なのかもしれない。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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