顧客体験と表裏一体の「従業員体験」- 高収益企業で実証されているROI

[2019/11/25 08:00]冨永裕子 ブックマーク ブックマーク

EX改善に求められる三位一体の投資

ここでEXと従業員エンゲージメントについての定義を確認したい。次の図で示した定義を見ると、最初に示したCXの定義とEXの定義が似ているとわかる。

従業員エンゲージメントと従業員エクスペリエンスの定義/出典:ガートナー(2019年11月)

CXが感情であるのと同様にEXも感情である。顧客エンゲージメントを高めてCX向上をサポートするツールがあるように、従業員エンゲージメントを高めてEXを向上することは可能だ。しかもCXツールを流用することができるとファイファー氏は語る。

従業員エンゲージメントを高め、EXを改善するための投資で考えなくてはならないのは、「文化面」「物理面」「技術面」の3つだとファイファー氏は語り、「どれか1つだけの投資ではEXは改善できない」と、三位一体の投資の重要性を強調した。

  • 文化面:組織に従業員中心のカルチャーがあるか。自分が理解されていると感じられ、労働が苦役ではなく楽しみと感じられる環境であるか
  • 物理面:職場環境にリフレッシュスペースがあるか。あるいは在宅勤務ができるような自由度があるか
  • 技術面:モダンな機能を提供するビジネスアプリケーション、コラボレーションツール。BYODのような自由度があるか。ネット接続環境が快適かなど

役に立つ従業員のペルソナとジャーニーマップ

従業員に適切な体験を提供する際に役立つのが、CX向上で使われる「顧客ペルソナ」や「カスタマージャーニーマップ」の考え方である。CXが一人一人違うように、EXも全社員一律に同じものにはならない。社員は皆それぞれ違った人生経験を持つ人間であるからだ。

「従業員ペルソナ」とは、顧客ペルソナと同様に、社員をカテゴライズしてそれぞれに適した働き方環境を提供するために役立てる。例えば、「エンジニア」や「一匹狼」というペルソナを作ったとすると、エンジニアには最新で最高のテクノロジーを提供し、1人行動の多い営業には自由度の高いテクノロジー環境を提供するといった具合にメリハリを付けるわけだ。

「エンプロイージャーニーマップ」は社員の人生をライフサイクルで考え、適切なタイミングで従業員エンゲージメントが高まるオファーの提供に役立てる。ここで注意するべきは、9時から5時までの勤務時間だけを対象にしないことだ。会社にいない時間を含む24時間365日で、社員のジャーニーをペルソナに当てはめて理解することが望ましい。オファーの例として、四半期ごとのボーナスや休暇の寄付制度、社内通貨を利用した表彰制度などをファイファー氏は紹介した。

このような施策を実施するために必要になるのがデータである。CXの場合と同様に、定期的に実施する従業員サーベイで「従業員の声」データを収集し、継続的な改善を繰り返していく。EXの改善はCXの改善と正の相関がある。顧客と同様に社員のことを考え、CXと同じコンセプトを活用することでEXを向上させ、最終的にCXの改善につなげることにIT部門も積極的に関与しなくてはならない。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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