高級ホテル・レストラン予約サイトを手掛ける一休が、エグゼクティブの会食にふさわしい飲食店を紹介するグルメメディア「KIWAMINO」を開設した。

「料理の本物志向」「ストーリー性」「一流の空間」「おもてなし力」の4点を軸に、会食にふさわしい店舗をピックアップ。編集者やライターが実際に訪れ、おもてなしする側の視点で料理や施設を紹介する。料理人や責任者のインタビューにより店舗の信頼性を高めつつ、会食でのアイスブレイクで引用できるこだわりなども伝えていく。

一休 新規事業本部 メディア事業部 部長 石川愛里氏

おもてなしのために、トイレや車寄せも紹介

KIWAMINOは、「こころに贅沢させよう。」を会社のミッションに掲げる一休が、大事な人をおもてなしする場としてふさわしい飲食店を紹介するグルメサイト。

予約サイト「一休.comレストラン」への誘導を目的に置くのではなく、あくまで独立したメディアとして運営していく方針で、一休.comレストランに掲載されていない店舗も取り上げていく。

特徴としては、「体験」を伝えることに重きを置いている点が挙げられる。素材や味など、一般的なグルメメディアが伝える内容だけでなく、店舗の内装、料理人の経験や想いなどにも触れていく。

おもてなしでの利用を想定した店舗紹介であることから、内装や外観の紹介には力を入れている。エントランスから店舗に足を踏み入れた時の景観や、トイレの内部、さらには見送りを想定した車寄せの場所など、独自のチェックポイントが多い。

「KIWAMINOでは、”こころに贅沢な時間が過ごせる体験”を紹介するメディア。100%満足してもらうおもてなしの場として相応しいのかどうか、という視点で伝えていきます」(一休 新規事業本部 メディア事業部 部長 石川愛里氏)

「料理の本物志向」「ストーリー性」「一流の空間」「おもてなし力」の4点の基準を満たす店舗を紹介していく

同じ店を使えない、会食セッティングの苦労を軽減

KIWAMINO開設の背景としては、一休.comレストランのユーザーをインタビューしていく中で、エグゼクティブの秘書らがお店探しに苦労していた事実があったという。

「会食は頻度が高いうえに、同じ相手に対して同じ飲食店を使うのは避ける傾向にあります。次々と探さなければならないうえに、いずれも信頼できる店舗でなければならず、秘書の方々はお店探しの負担が大きいようです」(石川氏)

一休では、一休.comレストランで飲食店との付き合いがあり、新店舗などの情報のキャッチアップが早い。有名店の責任者から「弟子が独立する」と紹介されることも少なくないという。

さらに一休.comレストランのユーザーに対して定期的にヒアリングしており、飲食店を利用するエグゼクティブらと情報交換する機会も多い。会食の場としてどこが良かったのか、ヒアリングをかけられる環境がある。

そうした状況を活かせば、会食の予約で悩む担当者らの力になれるのではないか。課題と解決策に気付き、KIWAMINO開設に至ったという。

利益よりもユーザーの利便性を優先

先に触れたとおり、KIWAMINOは一休の予約サイトとは独立したメディアとして運営する意向だ。ユーザーの体験を大事にする一休らしく、ネットワーク広告も一切表示していない。あくまで、会食会場を探すエグゼクティブや秘書の力になることが目的だ。

では、ビジネス面での貢献についてどのように考えているのか。石川氏は、現在の飲食店予約におけるネット利用の割合がわずか5%という調査結果に触れたうえで、次のように続ける。

「今後、インターネット予約が普及した際、コンテンツを持っていることは予約サイトとして大きなアドバンテージになるはずです。そのときのために、今は収益よりもユーザーファーストで運営し、ファンを増やしていきたい」

指標としてPVやUUをチェックしていくが、最も重視するのはリピートユーザー数だという。信頼を獲得し、ヘビーなファンを増やす。それが当面の目標だ。

7月11日のオープン時点では約20本の記事を掲載中。「平日1日1本程度のペースで増やしていく予定」(謝氏)だ。現在は、東京のオフィス街に近い、港区、中央区、千代田区の店舗が中心だが、対象エリアは今後増やしてく予定だという。

一休 新規事業本部 メディア事業部 謝谷楓氏