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「困りごと」を声に出すのが第一歩! お寺の課題をITで解決する「テラテク」

[2019/06/21 16:20]山田井ユウキ ブックマーク ブックマーク

IT業界もお寺が困っているなんて知らない

IT技術の進歩により、テラテクのハードルはずいぶん下がったと小路氏は言う。スマホやクラウドサービスを使ってどこでも仕事ができるようになり、業務ツールもサブスクリプションモデルが増えたので初期コストが抑えられるようになった。小さな寺院でもテラテクを始めやすい環境が整ってきている。

テラテクを始める上で特に効果的なツールとして小路氏がお薦めするのが、スキャナを使った紙の電子化と、「Dropbox」や「OneDrive」といったクラウドストレージの活用だ。

「この2つさえあれば、紙から解放されます。いつでもどこでも資料を確認し、誰とでも共有できるようになります」

紙をデジタル化することで、貴重な古文書などをバックアップできる利点もある。実際、小路氏は古文書をデジタル化し、さらに経年による劣化を画像編集ソフト「Photoshop」で修繕しているという。

ほかにも、実際に寺院で行われているIT活用としては、クラウド型防犯カメラが挙げられる。導入しているのは横須賀市の浄楽寺。重要文化財が5体も所蔵されているが、運営メンバーは家族3人のみ。そのため、以前から防犯面が課題だったという。セーフィーのクラウド型防犯カメラ「Safie」を導入してからは、夜に物音がしたときも布団の中からスマホでカメラの映像を確認できるようになり、負担が軽減されたそうだ。

また、山形の谷地八幡宮や茨城の三浦村が行っているYoutube配信の事例も紹介。寺院に限らず、こうしたIT活用は次第に広がりを見せているのだ。

今後はドローンで上空からお寺の修理箇所をチェックしたり、RPAの導入で事務仕事を効率化したりすることもできるようになるだろうと小路氏は語る。

「まずは使うことが重要です。使っていくうちに新たな活用法が見つかります」(小路氏)

お寺とIT業界がもっと連携すれば、寺院の課題解決はよりスムーズに進むはず。しかし、「IT業界もお寺が困っているなんて知らない」(小路氏)のが現状だ。

「ほかの誰かではなく、私たち一人一人が”困りごと”を声に出すことが大切です。声に出していると助けてくれる人が現れたり、便利なツールを紹介してくれたりするんです」

お寺の会計処理をどう効率化するか?

小路氏に続いて税理士法人ゆびすいの税理士 赤田貴志氏が登壇。宗教法人の会計に関する講演を行った。

税理士法人ゆびすいの税理士 赤田貴志氏

赤田氏によると、宗教法人が提出すべき書類は収益事業の有無と法人年収で決まってくるという。例えば収益事業を行っており、法人年収が8千万円を超えていると賃借対照表や申告書が必要になるが、そのどちらの条件にも当てはまらなければ提出するのは役員名簿と財産目録だけで良いといった具合だ。

また、「個人と法人の区分」や「収益事業の経費の按分」、「寄進への課税」、「お車代や冥加金(社寺へ奉納する金銭)への課税」などにも注意すべきだという。

そうしたお寺の会計をよりスムーズに行う上で、やはりITが力を発揮するのは言うまでもない。手書きの帳簿をExcelにしたり、インターネットバンキングを活用したり、法人クレジットカードなどでキャッシュレス化を進めたりすることで業務を効率化できるのは、一般企業と同様だ。

また、「freee」のようなクラウド会計サービスも有用だと赤田氏。例えば、日常的にはfreeeを利用し、書類の作成など大変な業務については税理士に任せることで、会計業務の正確性とスピードを上げることができるという。

freeeは現状、宗教法人に対応していないものの、今年の1月には「社会福祉法人 with freee」をリリースしている。今後の宗教法人対応にも期待したいところだ。

* * *

イベント後半には、参加者同士で課題とソリューションを共有し議論するワークショップを実施。宗教関係者ならではのさまざまな悩みが飛び交い、課題解決に向けて積極的な意見交換が繰り広げられた。

挙がった課題は付箋でホワイトボードに貼り、カテゴリーごとに分類して整理

ワークショップで挙がった課題を基にしたパネルディスカッションも行われた

小路氏は現在、Twitterのハッシュタグ「#テラテク」でお寺の悩みを常時募集中だという。激務に悩まされているお寺関係者は、”困りごと”を気軽に相談してみてはいかがだろうか。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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