「機械学習の得意なことの1つに分類があります。機械学習のビジネス活用を検討するうえでは、課題の中に分類するシーンが隠れていないかどうかを考えていくとよいでしょう」

NTTドコモでAIによる対話技術の研究に従事する大西 可奈子氏のアドバイスである。

IT Search+ スペシャルセミナー 第103回は、『AIの威力を引き出す”発想力”』と題し、機械学習をビジネスで活用するための考え方がワーク付きで紹介された。

NTTドコモ R&Dイノベーション本部 サービスイノベーション部 大西 可奈子氏。本誌連載『教えてカナコさん! これならわかるAI入門』も執筆中

カラオケ映像を例に学ぶ、「分類」の探し方

大西氏によると、機械学習の検討フローとしては、まず解きたい課題を細分化して必要なプロセスを洗い出す。そのうえで、各プロセスの内容を検討し、「分類」作業を探していくとよいという。

講演では、カラオケ映像の制作作業を例にとりながら、検討手順の詳細が具体的に紹介された。

カラオケ映像の制作現場では、シチュエーション別の動画が用意されており、それを歌詞のフレーズに合わせて選び、つなげていく作業を行う。動画を選び出す作業に時間がかかるうえ、歌詞に対して最適なものを選択できているのかわからないというのが課題だ。

大西氏は、この映像制作作業を以下の4ステップに細分化。

  1. 歌詞をフレーズに分割する
  2. 分割されたフレーズを読む
  3. フレーズに合う動画を探す
  4. 元の歌詞の順番に動画を並べる


これらのうち、3つ目の「フレーズに合う動画を探す」には、わかりやすい「分類」作業が隠れているという。

ここでの作業は「多数用意されたシチュエーション別の動画の中から、歌詞のフレーズに合うものを選び出す」というものだが、大西氏はこの課題の捉え方を変え、「歌詞のフレーズを、用意されている動画に合わせて分類していく」作業として考える。

すなわち、「歌詞のフレーズを分析し、どの動画の分類に振り分けるべきかを判定する処理」として捉え直し、ならば機械学習に置き換えられると判断しているわけだ。

学習用データも、過去に作られてきた完成作品からフレーズと動画の組み合わせを抽出すれば比較的容易に準備できる。大西氏は、「機械学習の活用に適した課題の1つ」と紹介した。

講演ではそのほかにも、アップロードされた顔写真からどういう眼鏡が似合うかを判定するサービスや、本屋の来店者に対して顔映像を基に最適な本を勧めるサービスなど、例題を使って機械学習の活用シーンを見つけるワークを実施。さらに、聴講者同士で意見交換する時間も作り、新たな気付きが得られるよう促した。

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本稿では、その大西氏の講演スライドを提供する。「AI・機械学習とは何か」から解説しているほか、上述の例題と回答例も掲載。機械学習の導入/検討方法を学ぶうえで良い資料となっている。

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講演資料の内容


講演資料は全72ページ。AIの知識がない入門者でもポイントを掴める、わかりやすい資料です。

AI活用フローチャートや、典型的な3つのAI活用方法なども収録されており、現場で役立つノウハウが満載です。

<PDF内容>

  • 人工知能(AI)とは何か
  • 実は小さなAIたち
  • 機械学習とは
  • 機械学習を活用するために何が必要か
  • 機械学習で解くべき課題の見つけ方
  • カラオケ用の動画作成
  • AI活用のための訓練
  • 各眼鏡が似合っているかどうかを判定するWebサイト
  • AI活用のための訓練 - 問題と回答例
  • AI活用フローチャート
  • AIの典型的な活用方法
    ……など

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