データ・アプリケーションは10月30日、兵庫県明石市役所が、国民健康保険システム(以下、国保システム)をメインフレームからオープン環境へ移行するのに伴い、その既存データの移行にデータハンドリングプラットフォーム「RACCOON」を採用したと発表した。

明石市役所では、従来、国保システムをメインフレーム環境で稼働させていたが、保守はベンダー主体で行われてきたため、プログラムのブラックボックス化が進み、役所内部での改修が難しく、運用コストもかさむことが課題となっていた。

こうしたなか、国は2015年5月、これまで市町村単位で運営してきた国民健康保険を、2018年4月からは都道府県と市町村が共同で運営するという「国保の広域化」を発表。これに伴い、国は3つのシステムを含む国保保険者標準事務処理システムを開発し、そのうちの1つである「市町村事務処理標準システム(以下、標準システム)」を、希望する市町村に無償配布することとした。

明石市役所は、この標準システムの導入をメインフレームから脱却する機会だととらえたものの、既存データの移行方法が課題となった。メインフレームと標準システムとでは文字コード体系が異なる上、可変長マルチレイアウトからのフォーマット変換や加工を行う必要があり、その手段と予算についての検討を開始。結果として、RACCOONの採用に至った。

選定にあたっては、可変長マルチレイアウトのデータを扱えることや大量のデータを高速に変換できること、一般的なPCで実行可能であること、コストパフォーマンスなどが評価されたとしている。

明石市役所では、一般的なWindows環境のPCを使用し、RACCOONによるデータ移行を「宛名管理」「資格管理」「保険料(税)賦課」「給付」「保険料(税)収納」の5つの業務に対して実施。全体で数千万件あるデータの移行は、13時間ほどで完了したという。

データ移行のイメージ

今回の移行により、明石市 市民生活局 市民生活室 国民健康保険課では2022年までは年間1,000万円、2023年以降は年間3,000万円のコスト削減を見込む。今後は、市役所内にあるメインフレームで動くシステムのオープン化や、データがExcelで管理されているだけで本格的にシステム化されていない業務にRACCOONを活用していく予定。