日本テラデータは5月23日、都内で「TERADATA UNIVERSE TOKYO 2018」を開催した。ここでは日本テラデータとソラコムによる講演「ソラコムの最新事例にみるIoTのベストプラクティスとアナリティクスによるビジネス価値獲得の可能性」の内容をレポートする。

「IoT Starter Pack」でPoCを推進

日本テラデータ Think Big Analytics本部の島田茂氏

IoTシステムなどから得られたデータを分析し、新しいビジネス価値を生む取り組みが活発化している。DWHなどの技術で業界をリードしてきたテラデータも、IoT時代に向けてビジネス価値を生むプラットフォームの提供を開始している。

一方、IoTの世界では、ソラコムに代表されるベンチャー企業がこれまでになかったサービスで企業の取り組みを支援するようになった。日本テラデータとソラコムのセッションは、そんな両者がタッグを組むことでデータ活用や新しいビジネス創出にもたらすメリットが示された。

まず、日本テラデータのThink Big Analytics本部の島田茂氏が、テラデータの製品戦略とソリューションの意義を解説。テラデータはアナリティクスの基盤として「Teradata Analytics Platform」を展開しており、今回新たに業界初となる「4次元分析機能」機能を追加した。

「4次元分析は、位置情報を活用した分析であるGeospatial Analyticsに、時間軸情報を元にアナリティクスを最適化するTime-based Analysisを組み合わせて実施する分析です。これまでのST_Geometryというデータタイプと、新たに追加したPrimary Time Indexというインデックスで時間情報に高速なアクセスが可能になります」(島田氏)

4次元分析とは、位置情報を活用した分析であるGeospatial Analyticsに、時間軸情報を元にアナリティクスを最適化するTime-based Analysisを組み合わせて実施する分析のことだ

業界で豊富な経験を持つテラデータには、過去の取り組みで培ったベストプラクティスを業界ごとに数多く保有する。そのベストプラクティスのベースになるのはアナリティクスの雛形だ。

「このためお客様に一定のデータをご用意いただくと、過去のデータに基づいてアナリティクスを開始し、PDCAのサイクルを回して成果を出すことができます。このようにすばやくPoCをまわす方法論をRACEとしてまとめています。Teradata Analytics Platformには必要なOSSや組み込まれており、さまざまなクラウド環境でのPoCを1〜2ヵ月という短い期間ですばやく実施することができます」(島田氏)

こうした事例はIoT分野にも及ぶ。ボルボのコネクテッドカーの取り組みや、シーメンスによる電車のプレディクティブメンテナンス、衛星経由で取得する航空機のセンサデータ分析など数多くの事例がある。ただし、IoTのデバイスマネジメントについては、メジャープレイヤーにはなるつもりはないという。「サーバサイドでアナリティクスを積極的に行うことが会社の戦略です」と島田氏は説明する。

このIoTのPoCを日本国内で加速させるために、新たなサービスとして提供するのが、ソラコムをパートナーとして展開する「IoT Starter Pack」だ。PoC向けにSoracom通信カードと、TeradataのAWS環境、5TBのデータ容量、簡易診断のRACEをパッケージにして提供する。

今回新たに提供する「IoT Starter Pack」