ガートナー ジャパンは4月25~27日、「ITインフラストラクチャ、オペレーション・マネジメント & データセンター サミット 2018」を開催。本稿では、日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ ITインフラサービス プリセールス & ソリューションズ ヘッド 川端勇央氏による講演「事例で語るデジタル時代の運用、クラウド、AI自動化の変革とは」の模様をレポートする。

ビジネス4.0の「4つのキーワード」

日本タタ・コンサルタンシー・サービシズは2014年7月、インドのタタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS)の日本法人であるタタ コンサルタンシー サービシズ ジャパンと、日本TCSソリューションセンター、アイ・ティ・フロンティアの3社が統合して発足したIT企業だ。川端氏は「インドのIT企業は、グローバルに比べるとまだまだ日本では活躍できていません。国内で2,000人を超える陣容のインドIT企業はほかにないと自負しています」と、国内での事業拡大に積極的に取り組んでいることを強調した。

日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ ITインフラサービス プリセールス & ソリューションズ ヘッド 川端勇央氏

川端氏はまず、TCSにおける時代認識として「ビジネス4.0」という考え方を挙げた。これは、第四次産業革命とも言われる変革期にあって、いかにデジタルを使ってビジネスを変革していくかが問われており、ITがビジネスをリードする時代になったという意味だ。

「インフラだけでは顧客の要望に応えられなくなってきました。ビジネスのオペレーション、アプリケーション、インフラが三位一体となって顧客のビジネスを支援することが求められています」(同氏)

ビジネス4.0では4つのキーワードがある。まずは、「アジャイル」であり、機敏に物事を進めていくこと。次に「インテリジェンス」を用いてさまざまな活用をしていくこと。そして、できる限り自動化し「オートメーション」を行っていくこと。最後に「クラウド」の活用だ。これらを活用しながら、さまざまな企業とパートナーシップを結び、ビジネスのリスクを最小化しながら、顧客ニーズに合わせたパーソナライゼーションや新ビジネスの創出に取り組んでいくことが求められる。

川端氏は、TCSが顧客企業を支援するために、これらの4つのキーワードを使ってどのような取り組みを進めているのかを紹介していった。具体的には、TCSのサービスの柱であるIT運用について、3つの領域で変革に取り組んでいるという。

1つは、アジャイル運用モデルへの変革だ。IT運用の現場は、アプリケーションやシステムごとに運用スタイルが分かれるなど、さまざまなサイロ化が起きているという。TCSでは、このサイロ化した運用を水平的に統合し、そこにアジャイルの要素を持ち込んでいる。

これまでの運用スタイルは、決められた事項をしっかりと遵守して運用することが中心だった。それに対し、新しい運用スタイルでは、現場にスクラムマスターを置き、日々の改善点を見つけ、それを改善する作業を回す。「決められたことを変えないスタイル」から「現場を良くしていくために変えていくスタイル」へと変革するわけだ。

TCSでは、こうした新しいアジャイル運用モデルを「PRISM」と呼んでいる。2017年3月からPRISMを採用しているのが、日本のある大手コンビニエンスストアだ。サーバ数はクラウド含め2,400台という規模で、もともとマルチベンダーで運用をアウトソーシングしていたが、ツールやプロセスの違いなどから管理が複雑化していた。また、人に依存した運用だったため拡張性や柔軟性が乏しく、結果としてコストも増大していた。

そこで管理をTCSに一本化し、運用モデルを刷新。オンサイトとインドのプネーのオフショアサイトを活用し、アジャイル運用モデルを取り入れることで、管理やコストの課題を解決したという。

「グローバル展開にも積極的で、今はAIなどの新しいツールを使いながら、さらなる効率化と自動化に取り組んでいるところです」(同氏)