AIを活用したい企業が知っておくべきコトとは? - 四国中央市首都圏交流会

[2018/04/24 08:00]山田井ユウキ ブックマーク ブックマーク

AIのキホンと、活用に必要な「2つの能力」

AIの話題になると、「機械学習」や「ディープラーニング(深層学習)」といった言葉が頻繁に登場する。いずれも、AIとは何かを学ぶ上で外せない重要な用語だ。

大西氏によると、機械学習とは「データからパターンやルールを自動で抽出する技術」であり、先ほどの「パンを推薦するAI」も仕組みとしてはここに分類されるという。

機械学習に必要なのは、「正解のデータ」である。例えば、パンに合う飲み物を推薦するAIを作りたいのであれば、「パンと、そのパンに合う飲み物」の組み合わせを大量に用意することになる。

この正解データを「教師データ」と呼び、データ量が多ければ多いほど精度が上がっていく。情報が多いほど推測の精度が上がるところも人間と似ている。

機械学習の身近な例として大西氏が挙げたのは「迷惑メールのフィルタリング」である。公表されてはいないものの、大手企業が提供しているWebメールでは、恐らく機械学習を用いて迷惑メールを判定しているだろうとのことだ。

一方、ディープラーニングはこの機械学習の手法の1つである。

先ほどのパンを推薦するAIの例で言えば、機械学習ではあらかじめ「そのパンが甘いか甘くないかを1つの基準として考えなさい」「甘いかどうかを判別するには、購入履歴を参考にしなさい」というヒントを人間が与える。AIはそのヒントを元に、甘いかどうかを判別し、薦めるべきパンを推測するわけだ。

ところが、ディープラーニングは、このヒントさえも必要がない。ただ大量の教師データを放り込むことで学習して判定するのだ。

膨大な量のデータと、それが処理できるハイスペックなコンピュータが必要となるが、それらを用意できるのであればディープラーニングの恩恵を存分に受けることができる。

ただし、「ディープラーニングで何でもできるわけではない」と大西氏は釘を刺す。

「結局のところ、ディープラーニングも目的に応じて学習しているだけ。大量の翻訳データを放り込めばディープラーニングで翻訳はできるかもしれませんが、それ以外のことができるわけではありません」

AIを活用するために必要な「2つの能力」

こうしたAIの基礎知識を踏まえた上で、大西氏は講演タイトルでもある「AIを活用するために必要なこと」について次のように話す。

「AIを活用するために必要なのは、『解きたい課題をAIで解ける課題に落とし込む力』です。AIが得意なことを1つ挙げるなら、”分類”だと言えます。『AIを活用する』というのは、今抱えている課題の中に『分類できることが隠れていないかを探すこと』です」

その例として、大西氏はカラオケの歌詞の背景に流れる映像をつける作業を挙げた。例えば、「海」という言葉が登場する歌詞の背景には浜辺の映像を流す、といった具合に、歌詞の内容に合わせて、マッチする映像を当てはめていく作業は「歌詞の内容に応じて、映像に歌詞を分類している」と言える。よってこれは「すごくAI向きの課題」(大西氏)だ。

このように、一見するとAIとは全く無関係に思える問題でも、要素を分解して考えてみると実はAI向きの課題が隠れていたりするのだという。

企業でAI活用を考える場合、統計学の知識やプログラミング能力ではなく、こうしたAI向きの課題を見つけ出すスキルこそが重要なのだ。

そして、課題を見つけたら次に取り組むべきはデータの準備である。

そこで必要になるのは、AIを導入しようとしている業務に対する深い知識や経験だ。その業務内容はもちろん、現場での実施プロセスや、どこで問題が起きやすいのかといったことを熟知していなければ、量・質共に十分なデータを用意することはできないだろう。

つまり、企業がAI活用でメリットを得ようというのであれば、「業務への理解」「課題をAIに落とし込むスキル」を備えた人材が不可欠なのである。

* * *

昨今、AIという言葉がTVや新聞などにも登場するようになり、見聞きする場面は格段に増えた。直接ITに関わる仕事をしていない人でも、何らかのかたちでAIに触れる機会は多い。さらに今後、これまで以上にビジネスへのAI活用が進むことが予想されるとなれば、その中身をよく知らないまま放置するわけにはいかない――そんなビジネスパーソンたちのAIへの関心の高まりが強く感じられるセミナーであった。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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