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発想×AIで実現! 別人の声で話せる拡声器「アニメガホン」の可能性

[2018/02/26 08:00]伊藤正子 ブックマーク ブックマーク

デザインへのこだわりと徹底した小型化

――かなりハイレベルな技術が詰め込まれたアニメガホンですが、サイズも小さいし、デザインもオシャレですよね。

小川:デザインは(KOTOBUKISUNの)ファンタジスタ歌磨呂さんというアーティストの方なんですが、もともとマンガの吹き出しなどをモチーフにデザインしている方で、この企画が始まったときに、「あのイメージがいいな」と最初に思いつきました。直接依頼したら「やるよ」と、オリジナルのデザインを一から作っていただけたんです。

とにかく派手でポップに、ということと、マンガを意識してモノクロとカラーの2パターンでお願いしました。

TBWA HAKUHODO Art Directorの小川貴之氏

三桝:「声が変わる」というところが大事だったので、通常のメガホンは円筒形ですが、アニメガホンは喋る部分が四角で、声が出るところは丸に変化するようにして、声の変化を形でも表しています。こうした形状や、どこに何のパーツを入れるかといった内部の設計はユカイ工学さんにお願いしました。

四角にデザインされた後部(写真左)と丸いスピーカー部分(写真右)。後部の上方にマイクがあり、その下に並ぶ3つのスイッチでそれぞれ電源のオン・オフ、利用者の性別の切り替え、変換後の声の種類の切り替えを行う

市川:このメガホンの半分くらいがスピーカーにとられているので、限られたスペースにどうやって詰め込むのかはユカイ工学さんとクリムゾンさんに一緒に検討していただきました。僕たちはメガホンのサイズに近づけるためになるべく小さくしたいと思っていて、それは難しい、と言われながらもとにかく小さく、と最小化をお願いしました。

飛河:最初は大きかったですよね(笑)

三桝:今の1.5倍くらいはありましたね。これじゃ大きすぎてメガホンじゃなくて違う装置だよね、と。

飛河:絶対に入れなくてはいけない部品もあるので、それは残しつつ周りは小さくしていきました。バッテリーをどこに入れるのかとか、小さくするための検討がいちばん時間がかかりましたね。なるべくバッテリーがもつように、一定時間使っていないときはスリープするといった工夫もしています。

――SNSなどでは、アニメガホンの市販を希望する声も多いようです。

三桝:他人の声を自由に使えるとなると、例えばオレオレ詐欺などに悪用もできてしまいます。戸田教授とお話したときにも、新しい技術は悪用される可能性もあるので気をつけてくださいとアドバイスをいただきました。僕らも、せっかく新しいモノができたのに、そのせいでオレオレ詐欺が流行して結局使えなくなる……といった事態は避けたいので、そこは非常に慎重に考えています。

やはりイベント単位で、アニメのイベントならばそのアニメの声優さん、ライブならば歌手の声といった感じで使うのが面白いのではないかなと。

市川:コントロールが効かないと犯罪などのリスクも発生するので、その辺りは今後気をつけてやっていこうと思っています。

――利用までのプロセスはどうなりそうですか?

三桝:詳細はまだ確定していませんが、勝手に公序良俗に反するようなことを喋られたりすると声の持ち主のイメージが傷ついてしまうので、あらかじめ契約書を交わした上で、イベント当日は基本的に僕らの立会いの下で使ってもらおうと思っています。

事前に発信する声と利用する人の声を録音した上で、タイムラグなしに声が出るように調整しなければいけないので、録音・調整するところまで丸ごとプロデュースするようなイメージでいます。

(左から)飛河氏、市川氏、三桝氏、小川氏、長井氏(TBWA HAKUHODO Producer)、小林氏(同 Public Relations Planner)

* * *

AIに限らず、技術はめまぐるしいスピードで進化している。これを真に活用するためには、柔軟な発想力が不可欠だ。

アニメガホンは、「AIでできること」を探したのではなく「できたらいいな」から始まり、結果的にAIによる音声変換技術にたどり着いた。まさに、自由な発想と技術が出会い、さらにそれを形にする多くの人々の努力によって誕生した製品だと言える。

生まれたばかりのアニメガホンには「まだまだ改善の余地があると思う」と市川氏らは語っていた。前例のない試みなだけに、実地検証を繰り返し、あらゆる角度から考える必要があるという。精度や使い勝手の向上はもちろん、さらなる小型化なども可能になるかもしれない。今後の進展に注目したい。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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