学校法人角川ドワンゴ学園「N高等学校」(以下、N高)が2月5日、「N高起業部」を設立することを発表したのは既報の通りだ。N高起業部はN高通学コースで行われているプロジェクト型学習「プロジェクトN」に取り組んできた生徒が起業を目指す部活動であり、N高が部の活動費として年間最大1,000万円の起業支援金を用意することが話題を呼んだ。

2月5日には起業部設立の記者発表会と共に、入部を志願する生徒による起業アイデアのプレゼンテーションが実施された。審査に通過すると起業部に入部できる仕組みだ。今回、特別審査員としてカドカワ代表取締役社長 川上量生氏、ドワンゴ取締役 夏野剛氏、SNS media & consulting ファウンダー 堀江貴文氏が出席し、生徒のプレゼンテーションを講評した。

本稿では発表会に続いて行われたN高生徒たちによるプレゼンテーション特別審査会の模様をレポートする。

7組のチームが入部を懸けてプレゼンに挑戦!

プレゼンテーションに参加した生徒たちは全部で7組。昨年6月に心斎橋と代々木キャンパスでスタートした「プロジェクトN」に取り組んできた生徒である。同年9月の中間プレゼン大会、12月の最終プレゼン大会を経て、今回の特別審査会に挑む。

審査で選出された5組が、起業部への入部が認められ、外部協力者であるデロイトトーマツベンチャーサポートのカリキュラムと指導を受けながら実際の起業に向けて学んでいくことになる。審査基準は「ビジネスの可能性」と「社会貢献の可能性」の2点となる。

プレゼンターである生徒たちには約4分の持ち時間が与えられ、その間にスライドなどを駆使して事業の構想を特別審査員にアピールする。さすがに全員、緊張の色は隠せないが、話し方やスライドなど、しっかりと作り込んできている印象だ。

事業構想は10代の若者らしいユニークなものから、社会貢献に重点を置いたものまでさまざまだ。また、自分自身が抱える事情をベースに構想してくる生徒もいた。

例えば「障害者支援Project」チームによる「『こまった』を『よかった』に」では、発表者自身の経験を基に、発達障害の児童に着目。子どもたちがイラストなどを用いて自分の気持ちを表現できるノートを提案した。

「こころproject」チームは社会におけるLGBTの理解を進めることを目標に「虹色絵本会」を提案。大阪府立大学の講演会への参加や、LGBT関連サークルの取材を通して得た知見を生かして、「誰でも性の多様性にふれる機会をつくる」社会を目指すという。

「1000円VRプロジェクト」チームは「回想法」と呼ばれる手法とVRを組み合わせて、認知症の改善を目指すプロジェクトを発表した。回想法とは過去の思い出を語り合うことで認知機能の改善が期待できるとする心理療法である。これにVRコンテンツを組み合わせるという構想で、実際に老人ホームなどでテストを実施。一定の効果を得たという。

では、これらの試みに、審査員らはどのような見解を示したのか。