AI専門チームを立ち上げ、最新論文を日々チェックしながら技術力を磨いているビズリーチ。求職者と求人企業のマッチング精度を高めたり、バックオフィス業務の負担を減らしたりと、さまざまなシーンでディープラーニングを活用している。
AIに関して先進的な取り組みを続ける同社が、課題と感じているのはどういった部分なのか。また、AIを担う人材に求められるのはどういった能力なのか。
ビズリーチ 取締役の竹内 真氏と同社 AI室マネージャーの菅谷信介氏に話を伺った。
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ビズリーチ 取締役 竹内 真氏(左)とAI室マネージャー 菅谷 信介氏(左) |
AI室が生まれた経緯
――お二人の業務内容について教えてください。
菅谷氏 : 私は、AI室に所属しています。AI室は、ビズリーチ社のプロダクトに対してAI、主にディープラーニングを取り入れていく役割を担います。現在5名在籍しており、AIでこんなことがしたいという相談を受け、それを実現しています。
竹内氏 : 私はAI室を含む技術部門の取締役を担当しています。
業務内容はさまざまですが、ビジネスモデルを作るところからエンジニアリングまで、任せられたら全部やります。事業に良いと判断すれば、一人で作って勝手にリリースしてしまうこともありますね(笑)。
――AI室が生まれた経緯は?
菅谷氏 : 以前は事業部ごとにAI機能を開発していましたが、それだと効率が良くないということで、AI担当者をまとめてチームにしたのがAI室です。スタートしたのは1年ほど前でしょうか。
――菅谷さんはもともとAIの研究を?
菅谷氏 : 大学時代にAIをやっていましたが、その頃にビッグデータブームが到来して、しばらくはそちらの研究に軸足を置いていました。ただ、当時はデータを処理するための手段が乏しく、できることは限られていましたね。
以前から機械学習やデータマイニングをちゃんと使えばデータを有効に活用できるだろうという考えがありましたが、5、6年前からそれを実行できる環境が整ってきましたので、AIについて学習し直し、現在に至っています。
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ピッタリを出すのではなく、サジェストする
――AI室ではどのような機能を開発しているのでしょうか?
菅谷氏 : 情報抽出やマッチングの精度を高める機能が多いですね。
例えば、弊社で提供しているサイト横断型の求人検索エンジン「スタンバイ」などはわかりやすいかもしれません。スタンバイでは、さまざまなサイトをクロールして求人情報を拾ってきます。難しいのは、サイトによって掲載形式がまちまちである点。情報量にも違いがあります。
なかには、年収が載っていない求人もありますが、転職を検討する際の情報としては不可欠なので、なんとかして補足できないかと考えていました。そこで機械学習を使い、データから傾向を学習して、年収予測などを行っています。
竹内氏 : 職種が掲載されていないケースでも活躍していますね。職種がないと求人情報を分類できなくなってしまうので、クロールする際、機械学習で文章から職種情報を導き出し、ラベル付けを行っています。
その他にも、求職者が職務経歴書などをアップロードすると、何年にどの会社でどんな仕事をしていたのかをAIが読み取る機能も用意しています。そこで抽出した情報を企業様側の要件と照合してマッチング精度を高めています。
――そもそも企業と人のマッチングでは、どのような課題があったのでしょうか?
竹内氏 : 企業にこういう人材がほしいというニーズがあっても、ぴったりの人を見つけるのは簡単ではありません。
まず、だれに声をかけていいかわからない。本来は要件にぴったりの人を直接見つけて連れて来られればいいのですが、探す手段がないわけです。今はスカウト型の採用サービスが増えて、以前よりは手段を選べる環境になりましたが、数年前までは求人を掲載し応募者を待つしかありませんでした。
結果として採用担当者の仕事は、人材を探すのではなく、候補者のなかから選ぶことが多くなっています。
――人を探すのは苦手だけど、人を見て判断するのは得意、と。
竹内氏 : 我々の役目は、採用担当者の方が判断しやすいように、候補を出してサジェストすることです。
企業様が求人情報に書いたことを解釈して、こういう人がいますよと提案する。職種によってはまったく違う業界の人材が提示されることもあります。
そうやってサジェストを受けていくうちに、企業様側にも「こういう人はこの業界に多いんだな」とご理解いただけるようになります。
――そうした担当者の知らない領域でAIのテクノロジーが使われていると。
菅谷氏 : サジェストの精度を上げていくのに機械学習を使っていますね。そういう意味では、AIであることを押し出しているわけではありません。
※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。
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