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AI導入で急速に変わりゆく製造業の現場 - フジクラの「ものづくり革新」

[2018/01/17 11:15]山田井ユウキ ブックマーク ブックマーク

AIを活用した不良品判定はどこまでできるのか?

講演では実際の例として、ファイバレーザの製造現場でのAI活用が語られた。

ファイバレーザとは光ファイバーを使った固体レーザの一種で、従来品に比べて効率や信頼性に優れているという。

このファイバレーザの基幹部品である高出力半導体レーザを製造する際、「外観検査」を行って不良品を仕分けるのだが、これまでは技術者が顕微鏡を使って目視で検査していた。その場合の精度は約95%であったという。

フジクラでは、このプロセスにAIを適用することにした。

外観検査ではチップを3つのエリアに分けてチェックする。異常が見受けられると赤い点として表れ、それにより良品か不良品かを判断する。

ただし、同じサイズの異常点であっても、どのエリアにあるかで判断は変わる。エリア1で見つかれば「不良品:その他1」に分類し、エリア2で見つかれば「不良品:その他2」に分類する。エリア3で見つかった場合は「良品」扱いとなるが、サイズがもっと大きければ「不良品:その他2」に分類しなければならない。

単に”一定以上のサイズの異常点があれば不良品”という単純な判断ではないのだ。

この外観検査にAIを導入するため、黒澤氏は「プロジェクトAi(愛)」を発足。自社の研究組織だけでなく、ユーザー企業とも連携してAIの実装を進めていった。

外観検査システム化の概要

黒澤氏は「製造業にAIを適用するなら、案件によってかなりモデルは違ってきます」と断りを入れた上で、自社における取り組みについて語った。

まずコンピュータリソースとして、OSはUbuntu、メインメモリは128GB、GPU3枚を搭載。学習画像として最大5,000枚のデータを用意し、チューニングを行った。

重要なのは、AIと人の判定が一致しても、即OKではないということ。実際にはAIが人とは異なる場所に注目しており、たまたま結果として判定が一致しただけという可能性もある。また、AIが見間違う可能性もあり、判定不一致になることも多い。

「必ずCAM(Computer aided manufacturing)で確認することが大切です。不一致が起きたら一つ一つを追いかけ、精度の改善を進めていきます」

こうしたチューニングを行った結果、AIによる画像判定は人の精度である95%を超え、98%を達成したという。

「残りの2%については最後の機能検査で除外すれば十分です。良品、不良品のクラス別判定精度では『その他』に分類される不良品の精度がやや低かったのですが、出現分布を考えると十分な効果と言えるでしょう」

“目を持つロボット”でピッキングをAI化

フジクラでは今後、さらなるAI活用についても進めていくという。

例えば「目を持つロボット」だ。このロボットは、外界の画像情報を自律的に入手し、ディープラーニングにより画像を認識、結果を元に行動を決定する。講演では、これを製品のピッキングに適用したケースが紹介された。最初は失敗も多かったが、300回ほど試行した結果、成功率は95%まで上がったとのことだ。

人が行っていたプロセスの置き換えが進むフジクラ。今後は目指す”ものづくり革新”に向け、さらにほかのAI案件も進行中だという。日本の製造現場が大きく変わる日も遠くなさそうだ。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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