電子情報技術産業協会(JEITA)のソリューションサービス事業委員会は1月15日、IDC Japanと共同で実施した「2017年 国内企業の『IT経営』に関する調査」の結果を発表した。

同調査は、2013年に実施した「ITを活用した経営に対する日米企業の相違分析」、2014年の「国内企業における『攻めのIT投資』実態調査」、2015年の「攻めのIT経営企業におけるIT利用動向関連調査」に続くもの。正社員数300人以上の国内民間企業(政府・地方自治体・教育・医療などを除く)の経営者およびIT部門以外(事業部・営業・マーケティング・経営企画)のマネジャー職以上を対象にWebアンケートを実施した。なお、今回の調査は初回調査のアップデートとして位置づけられており、比較のため、2013年の調査とほぼ同様の設問で行われた。

IT投資への意識は高まるも、成果は……?

2013年に実施した調査(日本216社、米国194社の経営者およびIT部門以外のマネジャー職以上を対象としたアンケート調査)では、「IT投資が極めて重要」だと回答したのは米国企業の75%に対して日本企業では16%、「IT予算が増える傾向にある」と回答したのは米国企業が80%だったのに対して日本企業は40%程度といった具合に、米国企業と日本企業との意識の差が顕著に表れた。

インパクトのある結果だったことから、その後、さまざまな資料で「米国がIT投資に”攻め”の姿勢を見せているのに対し、日本は”守り”のIT投資に留まっている」ことを示す根拠として引用された。だが、その後4年が経過し、一般向けメディアでも「AI(人工知能)」や「IoT(モノのインターネット)」といった単語が見られるようになった今、もはや現状は当時の調査結果とはかけ離れているのではないか、というところから今回の調査につながったのだという。

発表会に登壇した富士通 執行役員であり、ソリューションサービス事業委員会の委員長を務める東純一氏は、「今回は、日本が4年でどれだけ変わったかということにフォーカスして調査しました。そのため、調査対象は日本企業のみです。設問内容は2013年とほぼ同じものですが、デジタルトランスフォーメーションや働き方改革について一部設問を追加しています」と説明する。

富士通 執行役員であり、ソリューションサービス事業委員会の委員長を務める東純一氏

2013年と比較して、「IT投資は極めて重要」とする回答は約1.6倍の26%に増加したほか、IT投資予算増額の理由については1位の「業務効率化/コスト削減」の比率が縮小し、「新規技術利用」や「ビジネスモデル変革」が大幅に伸びた。また、重視する投資領域として「人材」や「マーケティング」といった部分を重視する度合いは変わらないものの、「情報システム」「研究開発」への投資意欲も上昇傾向にあり、テクノロジーに対する意識の向上が伺える。

IT投資の重要性:2013年調査との比較(出典:2017年 JEITA/IDC Japan調査)

「新技術の利用では、クラウドやビッグデータの利用率が増えたが、ITを使って新たな取り組みをした効果については、4年前と変わっていない」と東氏は説明する。2013年調査時には「クラウド」「ビッグデータ」という単語自体「聞いたことがない/あまり良く知らない」という回答が40%以上を占めたが、今回の調査では「検討したが利用していない」という回答を合わせても30%程度に留まった。