NTTドコモとauから2017年冬モデルとして発売された「Galaxy Note8」は、2017年のAndroidスマートフォンの中で最強との呼び声も高い完成度を誇っている。

サムスン電子製の「Galaxy Note8」(写真はNTTドコモ版のSC-01K)

外観はGalaxy S8の先進的なデザインを受け継ぎつつ、Galaxy Noteシリーズ最大の特徴であるSペンに対応した。改めてその使い勝手を検証してみたい。

Sペン対応で唯一無二の存在に、生体認証も便利

Galaxy Note8のディスプレイは、最近のトレンドでもある縦長の比率を採用している。そのため6.3インチという大画面にも関わらず、横幅は約75mmと片手で持てるサイズを維持している。

このサイズ感は「Sペン」によるペン入力時にも重要な要素だ。画面は大きいほうが良いとはいえ、ペンを走らせるには本体を片手でしっかり支える必要があるからだ。そういう意味でNote8のデザインは、片手で持てる最大サイズの画面を狙ったものといえる。

もちろんGalaxy Note8においても、「本体に収納できる」「電池はなく充電不要」「ペアリング不要」といったSペンの特徴はそのまま受け継いでおり、さらに「防水対応で雨の屋外でも書ける」という点で進化している。

Sペンの特徴として新たに「防水対応」が加わった

デジタルデバイスへの手書きという点では、iPad Proなどタブレットのほうが画面を広く使える。だがNote8はポケットにぎりぎり収まるサイズに「デジタル手帳」としての魅力がある。

画面オフの状態でもメモを取れる機能は、紙の手帳を取り出して空きページを探すより速い。しかも書いた文字はテキストとして認識され、クラウドに保存できるなどデジタルで活用できるのが嬉しい。

手書きのメモをデジタルで活用できるスマホとして、ほぼ唯一無二の存在だ

ただ、Note8の本体サイズは写真からイメージするよりも縦に長い印象だ。大画面のスマホを持ったことがない人は、このサイズに慣れるのにやや時間がかかるかもしれない。

スマホとしての基本機能も、サムスンの最先端技術を満載している。本体を覆い尽くす大画面はもちろん、顔認証やワイヤレス充電はアップルのiPhone Xよりも先に搭載した。特に注目すべきは、3種類の生体認証に対応している点だ。

スマホのロックには強固なセキュリティが求められるとはいえ、ロックの解除に手間取るようでは使い勝手が落ちてしまう。この相反する要素を両立すべく、Note8では指紋認証に加えて、顔認証と虹彩認証のどちらかを組み合わせて利用できる。

指紋センサーは背面にあるので本体を持ち上げる必要はある。顔認証はGalaxy S8より改善されたとはいえ、他の方式よりやや弱いとみられる。虹彩認証は強固だが、センサーをしっかり見る必要がある。それぞれに一長一短はあるものの、状況に応じて使いやすい方式を選べるのは便利だ。

PCを置き換える可能性を秘めた「DeX」

Galaxy Note8のビジネス活用に魅力的なもう1つの機能が、「DeXモード」だ。Galaxy S8の時点では専用ドックの「DeX Station」は日本での発売が見送られたが、Note8から日本にも投入された。

Note8とともに「DeX Station」も日本で発売された

DeXモードでは、外部ディスプレイ、USBやBluetoothのキーボード、そしてマウスを組み合わせることで、Androidアプリをマルチウィンドウで利用できる。アプリによって対応状況は異なるものの、動きは軽快で「使える」と感じるレベルだ。

Androidアプリをマルチウィンドウで利用できるのが最大の魅力だ

具体的な使い方として、出張先のホテルにDeX Stationとキーボード、マウスを持ち込み、部屋に備え付けのテレビにHDMIケーブルで接続すれば、即席の仕事環境ができ上がる。ノートPCが不要になるとまではいかないものの、やや複雑なメール作成やスケジュール調整、クラウドに置いた資料の確認など、DeXでこなせる仕事は意外にも多い。

できれば自宅やオフィスにDeX Stationを置きたいところだが、価格は1万5000円程度とやや高い。また、持ち歩くにしてもかさばる形状だ。そこで代用できそうなのが、DeXが動作するサードパーティ製のUSB Type-Cドックだ。メーカー純正品ではないので動作保証はないものの、割り切って使う手はあるだろう。

DeX機能が非公式に利用できる、scorelブランドのUSB Type-Cドック

DeXモードの使い方として、PCのバックアップ機材としての用途もおすすめしたい。たとえばプレゼンの直前にPCを再起動したらアップデートが始まってしまった、というピンチでもNote8とDeXの用意があればPowerPointを立ち上げて切り抜けられる。ビジネスの現場でマルチに活躍するスマホになりそうだ。