ガートナー ジャパンは10月31日~11月2日、都内で「Gartner Symposium/ITxpo 2017」を開催。本稿では、11月2日に同社 リサーチ部門 主席アナリストの針生恵理氏が登壇した講演「働き方改革をエンドユーザー・テクノロジでドライブせよ」の模様をレポートする。

働き方改革 ≠ 残業対策! 必要なのは「働く人の視点」

昨年からの政府の後押しもあり、働き方改革やデジタルワークスペースの取り組みがさかんに行われるようになった。ただ、言葉が先行するあまり、何をどう進めればいいかわかりにくくなっている面もある。

針生氏の講演は、そうした混乱に対し「働き方改革とは何か」「働き方改革でどこにフォーカスするのか」「企業がデジタルワークプレースを推進するための成功要因とは何か」を論点としながら、企業の働き方改革の取り組みにわかりやすい”道筋”を示す内容となった。

ガートナー ジャパン リサーチ部門 主席アナリストの針生恵理氏

針生氏はまず、働き方改革とは何かについて「働く人の視点に立ち、企業文化、ライフスタイル、働き方を抜本的に変革させようとするもの」というガートナーの定義を紹介した。これは、政府の「働き方改革実行計画」においても「企業文化や風土も含めて変えようとするもの」「労働生産性を改善する」「人々が人生を豊かに生きていく」といった言葉で示されているものだ。

「働き方改革 = 残業対策ではありません。残業をなくすためだけに仕事のある人をむりやり家に帰すのでは働き方改革にはなりません。大事なポイントは働く人々に目を向けることです。働き方改革はITだけでは実現できません。ただ、ITは仕事のやり方を変える大きなドライバになります」(針生氏)

IT活用が大きく関わってくるのがエンドユーザーコンピューティングの分野だ。具体的なテクノロジーとしては、モバイル、シンクライアント・仮想デスクトップ、クラウド、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、ウェアラブルデバイスなどがある。働き方改革をきっかけにして、こうしたエンドポイント関連のITを見直すという姿勢も重要になってくる。

では、働き方改革でエンドポイントのどこにフォーカスするのか。針生氏によると、取り組みのポイントは大きく3つある。1つは「いつでもどこでも働ける」ことだ。そのためには、ツールや環境を自分で選択できることが重要になる。2つ目は「スピードを上げる」ことである。これは仕事のムダをなくすことにつながる。3つ目は「仕事の質を上げる」ことだ。質を上げるには、テクノロジーの活用が外せない。針生氏は、これら3つのポイントについて具体的にどう取り組みを進めていけばよいかを解説していった。