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JR西日本、津波の乗務員訓練に国内初の「災害対策VRソリューション」を採用

[2017/02/17 07:30]徳原大 ブックマーク ブックマーク

絶景の地、だからこその津波対策

津波による浸水が想定されている線区を持つ鉄道事業者は、97社中37社と少なくなく、さらに37社中11社は津波対応避難誘導訓練を1年に1回行っている。もちろん実際の車両+路線で訓練することも重要だが、例えば10分に1本といったハイペースで運行されている線区ではそうした訓練が難しいため、VRによる疑似体験が効果的な習熟訓練になりうる。

和歌山支社は、このソリューションの疑似体験に重きを置いているのではなく「体験によってイメージが膨らんだ対応策を、指導者と訓練者が議論できること」を重要視しているようだ。特に訓練では指導者が任意の場所で車両を止められ、訓練者も自身の判断で車両の制動を判断する。

左側にハザードマップ、前方には津波の浸水深を想定したグリッドが表示されるため、現実ではわからない「この場所で止めてしまっては危ない」という判断が容易になる。この訓練した成果データは保存できるため、もし”ベストプラクティス”が用意できれば、ほかの運転士にも展開が容易になるというわけだ。同社は現状でも、乗務員に所持させているタブレット端末でハザードマップや避難場所を確認できるようにしていることから、これをより高度化することで津波に対処する。

なお取材にあたっては、VRの動画撮影が行われた試運転車(JR西日本の225系)に同乗し、新宮駅から本州最南端となる串本駅の環境を体感した。実際の路線環境はともかく、体感としては約3割~4割が海岸線のすぐ側に線路があり、「数分で10m級の津波が来る」可能性の高さを肌身で感じた。ただ、観光客目線で言えば、邪魔するものがほとんどない「最高の環境」。その観光客などにも「万が一」の可能性とその対処方法を理解してもらうために、各車両には線路に降りるための「避難はしご」や使い方を周知するリーフレットを用意しており、和歌山県のマスコット的存在である「パンダ」でアピールしていた。

JR西日本の225系電車

こちらはJR西日本の線区を走る105系に備え付けられた避難はしご。パンダのマスコットがその存在をアピールしている。なお、紀勢線を通る車両はすべて避難はしごを設置しているという

特急「くろしお」に用意されたリーフレットでは日本語だけでなく、英語、中国語、韓国語で津波が発生した際の対処策を周知している

左が新宮駅、右が串本駅に設置された津波の想定浸水深を示す標識

新宮駅~串本駅は少し走行すればどの場所においても素晴らしい眺望に出会える(上記写真は一部場所の重複あり)。しかしこれはすぐに津波に飲み込まれてしまう恐れの裏返しでもある

架線の電柱にくくりつけられた津波の想定浸水深を表す標識ほぼすべての電柱に取り付けられていることから、JR西日本和歌山支社の「津波被害者ゼロ」を目指す意気込みが伝わる

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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