絶景の地、だからこその津波対策
津波による浸水が想定されている線区を持つ鉄道事業者は、97社中37社と少なくなく、さらに37社中11社は津波対応避難誘導訓練を1年に1回行っている。もちろん実際の車両+路線で訓練することも重要だが、例えば10分に1本といったハイペースで運行されている線区ではそうした訓練が難しいため、VRによる疑似体験が効果的な習熟訓練になりうる。
和歌山支社は、このソリューションの疑似体験に重きを置いているのではなく「体験によってイメージが膨らんだ対応策を、指導者と訓練者が議論できること」を重要視しているようだ。特に訓練では指導者が任意の場所で車両を止められ、訓練者も自身の判断で車両の制動を判断する。
左側にハザードマップ、前方には津波の浸水深を想定したグリッドが表示されるため、現実ではわからない「この場所で止めてしまっては危ない」という判断が容易になる。この訓練した成果データは保存できるため、もし”ベストプラクティス”が用意できれば、ほかの運転士にも展開が容易になるというわけだ。同社は現状でも、乗務員に所持させているタブレット端末でハザードマップや避難場所を確認できるようにしていることから、これをより高度化することで津波に対処する。
なお取材にあたっては、VRの動画撮影が行われた試運転車(JR西日本の225系)に同乗し、新宮駅から本州最南端となる串本駅の環境を体感した。実際の路線環境はともかく、体感としては約3割~4割が海岸線のすぐ側に線路があり、「数分で10m級の津波が来る」可能性の高さを肌身で感じた。ただ、観光客目線で言えば、邪魔するものがほとんどない「最高の環境」。その観光客などにも「万が一」の可能性とその対処方法を理解してもらうために、各車両には線路に降りるための「避難はしご」や使い方を周知するリーフレットを用意しており、和歌山県のマスコット的存在である「パンダ」でアピールしていた。
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