TOP5磐石の国内ITサービス市場がついに変動!? - ガートナーが振り返る2016年

TOP5磐石の国内ITサービス市場がついに変動!? - ガートナーが振り返る2016年

[2016/12/28 08:00]廣瀬治郎 ブックマーク ブックマーク

ソリューション

「2016年を振り返って思うのは、国内のITサービス (コンサルティング、SI、運用/管理サービス)市場が変革期に差し掛かっているということ。ご存知のとおり、10年、20年単位で勢力図にほとんど変化がないこの市場ですが、新しい分野に目を向けると競争環境が異なってきているため、今後は変わる可能性があります」

こう語るのは、ガートナー ジャパンでITサービス市場の調査/分析を担当する、リサーチ部門 ソーシング シニア アナリストの中尾晃政氏だ。

富士通、日立、日本電気(NEC)、NTTデータ、日本IBMのトップ5が、磐石のポジションを築き上げているこの市場に何が起きているのか。中尾氏に伺ったのでご紹介しよう。

ガートナー ジャパン リサーチ部門 ソーシング シニア アナリスト 中尾 晃政氏

牙城を崩すきっかけはグローバル化とデジタルビジネス

ガートナーの調べによれば、国内におけるITサービスへの支出額は、2016年が11兆7,000億円、2020年は12兆5,000億円と予測されている。市場規模としては、世界で第2位という大きさだ。

内訳を見ると、富士通、日立、日本電気(NEC)、NTTデータ、IBMのトップ5が45%のシェアを獲得。その顔ぶれは、10年以上もの間、変わりがない。その後を追う国内売上2,000億円以上のセカンドライナー、同1,000億円以上のサードライナーの順位も大きく変化している様子はないという。

対して米国では競争が激しく、TOP 5のシェアはわずか16.9%。TOP5の企業のうち3社がこの10年間で入れ替わっている。日本は市場規模が大きいものの、新陳代謝の低い成熟市場と言えるようだ。

ITサービス市場、日本と米国のシェアの変遷(出典:ガートナー ジャパン)

しかし、こうした固定的な市場構造も、プロバイダーが競争力の強化を怠れば、今後は徐々に塗り替えられていく可能性があると、中尾氏は指摘する。

というのも最近では、システム基盤の開発/運用を引き続き国産ITサービスプロバイダーに依頼する一方で、海外対応についてはインドや欧米系のグローバル企業などのサービスを活用する国内ユーザー企業が登場し始めているという。また、デジタルビジネスへの対応については、国産ITサービスプロバイダーも努力を続けているものの、欧米企業に一歩出遅れているというのが実情だ。

こうした状況の中、国産ITサービスプロバイダーがどう対応してくれるのか。その内容次第では市場構造が大きく変わりかねない。

「ユーザー企業のIT投資は引き続き増加しているものの、決して大きな成長が見込めるわけではなく、特に大型案件はピークを過ぎつつあります。一方で、クラウドのような柔軟で迅速なITシステムへのニーズがいっそう増加し、グローバル展開や法改正などへの対応、IoTやアナリティクスなどの新しい技術を活用したデジタルトランスフォーメーションへの取り組みが進むことも予想されています。こうした転換に追随できるかどうかが、ITサービス事業者の力の見せどころと言えるでしょう」

ユーザー企業、3つの新たなニーズ

ユーザー企業のITリーダーは、こうしたITサービスプロバイダーの取り組みに注視して、中期IT計画を策定する傾向にある。特に大手企業においては、IT開発・運用などのコストを削減しつつ、グローバル対応やビジネスモデル変革へ投資を振ろうとする傾向が強い。場合によっては、顧客重視の運用体制を敷くなど、細かなサービスレベルを見定めて予算配分を変更するユーザー企業も増えている。

ガートナーが2016年10月に発表した「ソーシングとITサービスのハイプ・サイクル」を見てみると、グローバル対応(グローバル・ロールアウト)はすでに安定期に入っている。

現在は、インテリジェントプロセスによる自律化やプレディクティブ・サポートなどの新しいサービスが黎明期に入っており、この2~5年で主流になる可能性が高い。そうした先進技術を応用したサービス/サポートを身に付けることが、ITサービスプロバイダーの競争力強化につながっていくことだろう。

日本におけるITサービスのハイプサイクル(出典:ガートナー ジャパン)

中尾氏は、ユーザー企業が特に注視していくポイントについて、「海外展開」「クラウド化」「自動化/AI」の3つを挙げる。

海外展開において、先進的なサービスプロバイダーは、従来のような案件ベースの対応ではなく、サービス/プロセスの標準化によって、効率的に、かつ安定したサービスレベルで提供する手法を獲得している。この取り組みが弱いベンダーが少なくないのが懸念点だ。

クラウド化の推進については、もはや多くのユーザーにとって当たり前の事柄になった。一方で、インフラ環境の混在化や運用負荷の増大を懸念する声も多く、どのようなサービスを提供できるかがキーとなるだろう。

自動化/AIは、対応サービスへの期待は高まっているものの、実際の利用例はまだ一部に留まっている。ただし、今後については、コーディングやプログラムのテスト、障害検知・通知、予測分析などの分野でニーズが大きく高まっている。

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