IoTデバイスと化した「ブイ」は漁業を変えるのか?

[2016/09/02 08:00]徳原大 ブックマーク ブックマーク

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ソリューション

「IoT」というキーワードはさまざまな業種・業態のモバイル・ソリューションの説明に用いられている。用語の定義にはさまざまな解釈があるが、エッジデバイスの進歩によって産業への貢献が特に期待されている分野といえば農業や漁業といった第一次産業だろう。

NTTドコモは、2015年4月に発表した中期目標で、パートナー企業とともに新たな価値創造を目指す「+d」の取り組みを発表。IoTや「地方創生」「2020」「社会的課題の解決」をキーワードに社会価値の「協創」を目指すとしており、労働人口の減少などの地盤低下にあえぐ第一次産業との取り組みは、日本経済の底支えにも繋がる。

スマートフォンが水温計に

その取り組みの一つが宮城県の松島湾で行われている水産ICTだ。同湾は、有数の牡蠣・海苔の養殖漁場として知られており、長年、皇室献上品も輩出してきた。牡蠣の名産地としては広島や北海道が著名だが、これらの地では子供にあたる「稚貝」の数は少なく、松島湾に代表される宮城県の稚貝が重用されていた。

しかし2011年の東日本大震災で起きた津波が、牡蠣や海苔の育成に必要な育苗施設を押し流した。これにより、2011年の採苗実績では例年の4割程度にとどまるなどの大打撃を受け、特に今回取材した宮城漁業協同組合の地域では、東日本大震災で生産者19軒のうち6軒で犠牲者が発生し、150あった漁船と、牡蠣・海苔の加工・養殖施設が壊滅。2011年は収穫できずに2012年になってようやく養殖を再開できたという。

宮城漁業協同組合の矢本浅海漁業研究会 会長 津田 大氏

そのため、生産体制の立て直しが必要となったわけだが、そこに水産ICTの話が舞い込んできた。宮城漁業協同組合の矢本浅海漁業研究会で会長を務める津田 大氏によると、同組合は震災直前期に世代交代を済ませていた事業者が多く、スマートフォンとセンサー情報、クラウドを組み合わせた最新ソリューションの導入にも「当初からかなり乗り気だった」(津田氏)そうだ。

NTTドコモとセナーアンドバーンズ、アンデックスの三社が実証実験として始めたこのソリューションは、水温センサーを取り付けた「ICTブイ」を漁場に設置し、通信モジュールで得たデータをクラウドへ送信する。クラウドでは水温を1時間ごとに集計し、しきい値を超えると専用アプリへと通知される仕組みだ。

漁業とICTを組み合わせた「マリンIT」に知見を持つ、はこだて未来大学 教授の和田 雅昭氏と、仙台のベンチャー企業のアンデックスが、海水温の測定に関する実証実験を2014年より行っていた。ただ、システムは公立大学のサーバーを利用するなど和田氏らが”お手製”で作り上げた部分も多く、多くの漁業関係者が恩恵を受ける商用化・大規模化が難しかった。そこでNTTドコモが参画して通信モジュールとクラウドサービスを組み込み、動き出したその第一歩がこのソリューションというわけだ。

ICTブイ

NTTドコモの通信モジュールを採用し、安定した通信を実現する

>>水温がカギを握る海苔の育成

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「IoT」というキーワードはさまざまな業種・業態のモバイル・ソリューションの説明に用いられている。用語の定義にはさまざまな解釈があるが、エッジデバイスの進歩によって産業への貢献が特に期待されている分野といえば農業や漁業といった第一次産業だろう。
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「IoT」というキーワードはさまざまな業種・業態のモバイル・ソリューションの説明に用いられている。用語の定義にはさまざまな解釈があるが、エッジデバイスの進歩によって産業への貢献が特に期待されている分野といえば農業や漁業といった第一次産業だろう。

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