7月13日から15日の3日間にわたり、「ワークスタイル変革EXPO」が東京ビッグサイトにて開催された。その名のとおり「ワークスタイルの変革」をテーマとする同EXPOでは、テレワーク支援や会議システム、ペーパーレス対応のような生産性向上・コスト削減につながる製品・サービスが展示されるほか、会場ではワークスタイル変革にまつわるさまざまなセミナーも実施された。

本稿では、15日に開催されたセミナー「ビジネスチャットが切り開く未来のワークスタイル」をレポートする。

ワークスタイルを変える「3つのポイント」

ChatWork代表取締役 山本 敏行氏

ChatWork代表取締役の山本 敏行氏

当日、登壇したのはChatWork代表取締役の山本 敏行氏。同社では、昨今では当たり前になったビジネスチャットの先駆けとも言えるサービス「チャットワーク」を2011年より提供している。

2000年に起業した頃からIT活用で生産性を向上させることに力を注いでいたという山本氏は、当時としてはかなり「尖った」ワークスタイルを積極的に取り入れていた。

具体的には、まずオフィスを完全にペーパーレス化し、給与明細も手渡しではなくGoogleAppsを活用。オフィスにはコピー機すらなく、緊急で必要になる可能性があるプリンタ1台のみを置いた。連絡も電話ではなくメールを活用し、顧客対応も対面ではなくWebの窓口から受け付けるスタイルを貫いていた。「当時は電話を置いていないことで取引先から怒られましたが、10年ほどすると『新しいですね』と言われるようになりました」と山本氏は笑う。

ワークスタイルを変えることで生産性を上げる同社の取り組みは、現在でも徹底されている。例えば「働きたい場所を自由に選べる」のも同社の特徴だ。オフィスは東京と大阪にあるが、どちらで働くかは社員が自分自身で選択することができる。14連休が年に3回まで取得できるのも同社ならではの制度だろう。社員満足度は、リンクアンドモチベーションが実施する組織診断調査で、2年連続で国内1位に選ばれたほど高い。

こうしたワークスタイルを実現するには、どこから手を付ければいいのだろうか。山本氏が挙げるポイントは次の3つだ。

まず「やらないことを決める」こと。

「会社はやることがどんどん増えるもので、それを残業でカバーする悪循環に陥りがちです。本当にやりたいことを決めたら、次は何をやらないかを決めるべきです」(山本氏)

例えば、山本氏が決めた「やらないこと」は、「移動しない」「探さない」「繰り返さない」の3点だ。「移動しない」を実現するためにテレビ会議やチャット会議のシステムを導入し、「探さない」ためにGoogleのサービスなどを取り入れ、「繰り返さない」ために動画をフル活用して全社的にマニュアル化を徹底。こうして「移動」「探す」「繰り返す」がなくなったことで、生産性の向上にもつながった。

次に「やることを効率化する」こと。会社としてやることを決めたら、今度はそれを「仕組み化」し、クラウドなどを活用して徹底的に効率化を図るのだ。

最後に「やるべきことに集中する」こと。

「会議やメールのやり取りをしていると、それだけで『仕事をしている感』がありますが、本当はその中で『何を決めたのか』や、『何をアウトプットしたのか』が大切なんです」(山本氏)

>> 将来、チャットがビジネスの起点に!? 山本氏が予測する未来のワークスタイル像