【連載】

山口健太のモバイルデバイスNEXT

【第10回】富士通が最新法人向けPCで、旧世代CPUを採用した裏事情

[2016/05/26 11:26]山口健太 ブックマーク ブックマーク

ソリューション

富士通が5月16日に開催したPCの新製品発表会。ここで法人向製品ラインアップに異変が起きていた。それは「旧世代のCPUを搭載したPCを復活させる」というものだ。

その背景には、Windows 10への移行を加速させたい日本マイクロソフトと、当面はWindows 7を使わざるを得ない法人ユーザーの間で板挟みとなった、富士通の苦悩がある。

Skylake搭載PCの「2018年問題」

Windowsのサポート期限(End of Life)は「7」が2020年1月14日、「8.1」が2023年1月10日となる。しかしマイクロソフトは、第6世代Coreプロセッサー(Skylake)を搭載したPCにおいて、両OSのサポート期限を「2017年7月に短縮する」と発表して、大きな批判を浴びた。

その後、声を受けた同社はサポート期限を1年延期し、Skylake搭載PCであっても2018年7月17日まではサポートを行う。とはいえ、本来のサポート期限よりは大きく前倒しされた格好となる。

マイクロソフトがOSサポート期限を前倒しした「2018年問題」

インテルの最新CPUは、最新のWindowsとの緊密に連携する。性能だけでなく、省電力やセキュリティといった面でもOSとの連携は重要な要素となる。できればWindows 7や8.1のサポートは早く終えてしまいたいというのが、インテルやマイクロソフトの本音だろう。

富士通からPC事業を分社化した富士通クライアントコンピューティングも、基本的な方向性は同じだ。同社事業本部 プロダクト企画統括部 統括部長の平野和敏氏は「お客様にとって、PCのパフォーマンスやモビリティなどの観点から最新OSが最善の選択肢だと考える。インテルやマイクロソフトと協調しながら、最新OSへの移行に取り組む」と語る。

5月16日の発表会に登壇した、富士通クライアントコンピューティング 事業本部 プロダクト企画統括部 統括部長の平野和敏氏

だが、さまざまな社内システムや業務アプリケーションに依存する法人ユーザーにとって、Windows 10への移行は高い障壁を乗り越えなくてはならない。そこへ更にSkylakeの「2018年問題」が悩ましい問題として、のし掛かることになった。

旧世代PCを復活、Skylake以外の選択肢を強化

一方で富士通は、現実のOSシェアを捉えた上での対応策を練っていた。平野氏は、米Net ApplicationsによるOSシェアの統計を引き合いに出し、「ワールドワイドでは、Windows 7/8/8.1を合わせた旧OSが60%を超えている」と指摘する。

ワールドワイドではWindows 7/8/8.1が60%を超える

実は国内における旧OS比率は、この数字よりもさらに高いとのこと。その中でも富士通の大口顧客である大企業や官公庁では「80%を超えるユーザーが旧OSにとどまっている」と平野氏は難しい現実を伝える。

2014年4月にはWindows XPのサポートが終了したばかりで、次のアップグレードに着手する余裕のないユーザーも少なくない。さらに、新たに噴出した「2018年問題」によって、「2018年までにWindows 10に移行」か「既存PCを延命」という、難しい判断を迫られている。

そこで富士通は、第4世代Core(Haswell)や第5世代Core(Broadwell)といった旧世代CPUのPCを復活させた。これら旧世代CPUならば、本来のサポート期限である2020年1月までWindows 7を利用できるというわけだ。

Skylake搭載PCでは、2018年7月17日までにWindows 10へと移行しなければならない

2016年4月の発表では、1月時点に比べて旧世代CPUモデルを増強した

いったんは販売を終了したモデルを復活させることで、選択肢を増やす形になった

Windows 7を2020年まで使えるか

これら旧世代モデルは、果たしていつまで市場に供給され、法人ユーザーが購入できるのだろうか。

富士通の製品担当者は、「お客様の事情を考慮しつつ、インテルやマイクロソフトと相談しながら検討している。いつまで、というのは難しい問題だ」と苦悩を明かした。

大きな流れとしては、グローバルで高いシェアを持つPCメーカーの意向が優先される。また、問題はCPUだけではなく「PCを構成するコンポーネントの中には、旧世代CPUのサポートを打ち切るものも出てくる。それらを含めて確保することが必要だ」と、富士通担当者は業界の実情を指摘する。

その上で、日本の法人ユーザーがWindows 7を必要とする限り、PC本体や保守部品の提供をできるだけ長く継続していく姿勢だという。

近年のPCはスピンドル機構を持たないSSDの採用などによって信頼性が向上し、製品の長寿命化が図られている。富士通によれば5年から7年の運用も十分に現実的とのこと。2016年の時点で旧世代モデルのPCを導入しておけば、Windows 7のサポートが終了する2020年1月まで余裕をもって運用できる可能性が高い。

一方でマイクロソフトはWindows 10への移行を急いでおり、Windows 7を「XPの二の舞にはしない」と意気込む。いったんは富士通の「助け船」に乗るとしても、Windows 10への移行を急ぐのが原則と捉えるべきだ。

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