【連載】

山口健太のモバイルデバイスNEXT

【第8回】スマホ1台でPC環境を実現するWin10「Continuum」、普及の鍵は「有線」?

[2016/04/10 08:00]山口健太 ブックマーク ブックマーク

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ソリューション

Windows 10 Mobileをビジネスに活用する上で、最も重要な機能が「Continuum for Phones」対応だ。2016年1月にはトリニティの「NuAns NEO」が発売されたことで、Continuum機能を国内でも評価することができるようになった。

4月にはVAIOの「VAIO Phone Biz」が発売予定で、マウスコンピューターの第2世代モデル「MADOSMA Q601」もContinuum対応を表明した。低価格デバイスを除けば、今後Windows 10 Mobileを評価する上でContinuumは必須機能になっていくだろう。

MWC2016に並んだ日本向けのWindows 10 Mobile端末。今後はContinuum対応機が増えそうだ

マウスコンピューターの「MADOSMA Q601」も、日本国内での発売が待たれる

だが、これまでの日本向け端末におけるContinuumは、無線接続に限られてきた。使用感は悪くないものの、画面に集中すればするほど、画面描画の遅延が気になってくる。こうした問題を解決すると期待されるのが、有線接続によるContinuumだ。

有線Continuumの日本初上陸はエイサーか、それともHPか

有線接続によるContinuumは、米マイクロソフトのLumia 950/950 XLシリーズですでにサポートされている。だが、日本マイクロソフトは2016年3月時点でLumiaシリーズの国内展開を明言していない。そのため、有線Continuumについてもサードパーティ製品が先行すると見られるのが現状だ。

海外ではよく見かける、Lumia 950を用いた有線Continuumの展示台。日本国内での発売は依然として未定だ

サードパーティ端末として最初に有線Continuum対応を表明した台湾エイサーは、1月の「CES 2016」以降、安定して動作するバージョンをさまざまな展示会やイベントに出展しており、ドイツでは4月にも発売する予定だ。

3月14日よりドイツで開催された「CeBIT 2016」の会場に出展された、エイサーの「Liquid Jade Primo」

日本市場ではどうだろうか。エイサーは日本での発売の可能性を示唆してきたものの、現時点では明確な情報はない。日本マイクロソフトはエイサーをWindows 10 Mobile端末メーカーの1社としてカウントしており、どの世代の端末が出てくるかも含めて期待したいところだ。

3月に日本マイクロソフトが示した、国内向けWindows 10 Mobile端末のリスト。9社の端末しか記載されていないが、10社目はエイサーとのこと

米HPがMWC 2016で発表した「HP Elite x3」は、Snapdragon 820搭載など、これまでにないハイエンドスペックで注目を集めた。もちろん有線Continuumにも対応しており、こちらは日本でもKDDIが2016年夏以降、法人向けに発売することを表明している。

3月の法人向けイベントでは国内向けに「HP Elite x3」を展示。有線によるContinuumが動作する様子を披露した

気になるのは、その価格だ。HP Elite x3の価格は海外でも発表されていない上に、年明けから為替レートが円高方向に大きく変動したこともあり、検討中の状態と見られる。目安として日本HPの担当者は、国内で10万円を切る価格を目指したいとの意向を示した。ただし、有線Continuumを活用する上で欠かせないドッキングステーションなどのアクセサリーは別売りとなる見込みで、同時に購入すれば10万円を超える可能性が高い。

10 Mobileビジネス活用のキーワードは「リモートデスクトップ」

Windows 10 MobileのContinuum利用において、使い勝手を大きく左右するのがパフォーマンスだ。無線接続のContinuumでは、アクションテックによるワイヤレスディスプレイアダプター「ScreenBeamMini2 Continuum」の人気が高い。これはHDMIアダプター側にUSBキーボードやマウスを有線接続できる「UIBC」機能により、高い操作性を得られるためだ。

無線Continuum用のHDMIアダプターとして、トリニティやVAIOはアクションテックの「ScreenBeamMini2 Continuum」を推奨する

出張先のホテルにおけるContinuumの利用例。レノボのトラックポイント付きUSBキーボードを持参し、画面は客室のHDMI端子付きテレビを利用した

このように、無線Continuumをなるべく快適に利用するための工夫はできるものの、ディスプレイデータを圧縮して無線で転送するために、どうしても遅延が起きることは否めない。将来的にWiGigのような高速伝送規格に対応する可能性はあるものの、現時点で手軽に快適な環境を得るには、有線接続が最適だろう。

さらにビジネス活用において重要なのが、「リモートデスクトップ」の存在だ。HP Elite x3は、法人展開にあたって「HP Workspace」と組み合わせることで、Windowsのデスクトップアプリを仮想的に実行するソリューションを提供している。あるいは、UWPに対応したリモートデスクトップアプリでWindows PCに接続すれば、同等の機能を利用できる。

使い方としては、まずWindows 10 MobileスマートフォンをContinuumで外部ディスプレイに出力する。その状態でリモートデスクトップアプリを起動し、LAN内やクラウド上のWindows環境に接続する。これで外部ディスプレイにはPCのWindows環境を全画面表示できることになる。

Windows 10 MobileからPC版のWindows環境にアクセスできれば、アプリの問題が解決する。既存の業務用アプリをWindows 10 Mobileに移植する必要がないのはもちろん、PC版のMicrosoft Officeを使えばマクロを多用した複雑なオフィス文書の利用も自在だ。日本HPでは、Windows 10 Mobileを導入する法人ユーザーが最も期待する機能が、リモート接続によるWindows環境の利用であると予測する。

そこで問題になるのが、やはりパフォーマンスだ。リモート接続では、ただでさえ遅延が起きやすい。そこにContinuumの遅延が重なれば、使い勝手が大きく損なわれることは明らかだ。遅延を生む要素を少しでも減らすためにも、有線Continuum対応はWindows 10 Mobileのビジネス活用を大きく後押しする機能になるだろう。

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https://news.mynavi.jp/itsearch/2016/05/23/ymgt_08.jpg
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