なぜ今、IoTが注目されているの? (前編)

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【第3回】なぜ今、IoTが注目されているの? (前編)

[2016/05/19 08:00]岡大勝 ブックマーク ブックマーク

ソリューション

ここは、中堅出版社マイマイ出版の情報システム部。まさこさんは、部長から来期のIT事業計画に「IoT(Internet of Things)」というキーワードを入れて作るように指示されて、何だか困っているみたいです。

IoTって、情報システム部門に関係あるの?

あー、わけわかんない!

お、どーしたどーした? 苦手なクロスワードで行き詰まったか?

部長からのご指名で来期のIT事業計画を作ってるんですけど、どうしても「IoT」ってキーワードを入れろって言われたんですよ。

IoTって機械系だよね。うちの出版事業に関係ないんじゃない?

あら、センパイ珍しくまともっぽい。そうそう、IoTって「モノのインターネット」なんて言ってるけど、結局はモノに組み込まれたコンピュータ同士でつながるんでしょ? 昔同じようなことを「ユビキタス」とか「M2M」とか言ってなかったっけ? って考え始めたら、わからなくなってきちゃって……。

お、いいところに気づいたな。M2Mもユビキタスもぶっちゃけ一緒だよ。今風に言っているだけ。「ToT」だと泣き顔の顔文字みたいになっちゃうから、「IoT」になったって話も聞いたことあるよ(笑)

(キッ! )私、真剣に仕事してるんですけど。……まあ、生活が便利になるのはともかく、それが社内システムの運用管理をしてる私たち情シスの仕事に何か関係あるの? って考え始めたら、余計にこんがらがってきちゃったんですよ。

(こ、怖えぇ……)ま、まぁ、今でも主にコンシューマー向けの技術では実際にあるかな。外からエアコンを操作したり、お風呂を沸かしたりってことはできるよね。オフィスの中にもそういう家電はあるから、今後は家電も情報システム部門が管理することになるんじゃないかな?

家電の管理が情シスの管轄になるかはともかく、「機械の遠隔監視と遠隔操作」という観点で言うと、通信の歴史と同じくらい昔からありまスね。「工場で機械が故障すると、別棟の制御室で赤ランプが点く」のと本質は何も変わりマせん。 通信方法がアナログの電気信号からデジタルのネットワーク回線へ、制御機械が専用機器からPCのような汎用機器へ進化シタだけで、機械の監視や制御という本質は100年近く変わらなかったんでスよ。

確かにそうだよなあ。「IoT家電」って言ってもインターネットを使ってるだけで、昔工作の時間に作ったインターホンと仕組みはそんなに違わないような気がするな。

機械だけでなく、信号の制御、新幹線の列車監視などはアナログの時代から行われていまスね。ほかにも、自動車の渋滞情報でおなじみのVICS(道路交通情報通信システム)は、道路上に設けたセンサで道路の情報を認識し、集約して可視化したものでス。宅配便の荷物が追跡できるのも、集配局やドライバーさんの元を荷物が通過した記録をネットワークで収集しているからこそ可能なんでスよ。これらは、1990年代から実用化されていまス。

そうなのよねー。IT業界は盛り上がっているみたいなんだけど、なんだか新しいもののような気がしなくて。

M2Mは、それまで各社が独自に作っていた監視や制御の仕組みを標準化できないか、という流れから生まれた言葉なんでスよ。たとえば、ビルの空調やエネルギーの統合制御、スマートハウスなんかを実現するには、メーカー間の互換性が必要になりまス。今ではネットワーク接続と言えばTCP/IP以外の選択肢がないくらいでスが、90年代は物理的なネットワーク回線にどの規格を使うか、プロトコルに何を使うのか、からすり合わせが必要だったんでス。各社の思惑も入り乱れて、なかなか大変だったようでスよ。

だよなあ。社内で用語を1つ統一するだけでも大変だもんな。標準化なんて、オレ絶対にやりたくない仕事だ。

ほんとだ。今調べてみたら、ビル統合管理のM2M規格のIEEE1888って、2011年にようやく標準化されたのね。つい最近じゃない。

でも、ここに来てなんで急にIoTなんだ? 業界挙げてM2Mの推進にずっとがんばってきてたんだろ?

そもそもIoTという言葉は、RFIDの研究をしていたケヴィン・アシュトンという人が1999年に生み出した言葉なんでス。いろんな解釈がありますが、ご本人の意図を要約するとこうなりまス。

「現実世界のあらゆる情報をコンピュータが理解できるようになれば、人間の手助けなく自律的に診断や修理、受発注などが可能になり、大幅に無駄が削減されるはずだ。RFIDやセンサは、コンピュータが現実を知るための力になる」

言葉だけ聞くとSFの世界だな。

この「あらゆる情報」をコンピュータに接続するための環境が、技術の進歩によってようやく現実的になった。それが今(2015年~2016年)のタイミングなんでスね。IoTに至る経緯をちょっと図に描いてみマしょう。

ハナちゃんが描いてくれたIoTの技術的背景

なるほど。モノを接続するための技術がようやく成熟してきたってことね。だから「今」のタイミングなのかあ。図にさっきのRFIDやスマホ、Felicaも入ってるってことは、機械だけじゃなくて、モノやヒトまで繋がるようになってきたのね。だからM2Mじゃ言葉が合わなくなった、で納得。でも、結局本質はM2Mと変わんないってことなのよねー。星先輩、たまには正しいこと言うんだ。意外~!

まあな! そして24時間スマホを握りしめてるオレも、IoTの一員ってことだな。

確かにセンパイ、奥さんにLINEで遠隔制御されてますもんねー(笑)

いやいやいや、ちょっと密に連絡を取ってるだけだよ!

2人ともきちんと続きを聞いてくだサい。IoTが注目されている本質は、実は技術的なことじゃないんでス。

えっ、そうなの!?


(中編に続く)

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