マカフィーは11月8日、プリンスパークタワー東京にてプライベートイベント「2018 MPOWER Cybersecurity Summit」を開催した。基調講演では米McAfee CEO クリストファー・ヤング氏らが、今年8月に発表されたセキュリティポートフォリオ「MVISION」について語った。

米McAfee CEO クリストファー・ヤング氏

クラウド普及のなか、5人に1人が攻撃を受けている

基調講演冒頭では、マカフィー 代表取締役社長 山野修氏が登壇。「全世界でパブリッククラウド市場が拡大するなか、97%の組織がさまざまなクラウドサービスを利用し、83%の組織が機密データをパブリッククラウドに保管している」とクラウドに関する調査結果を紹介した。

その一方で、5人に1人が自社パブリッククラウドインフラに攻撃を受けた経験があるという結果にも言及し、「クラウド化が進むことによるリスクを見逃すことはできない」とセキュリティ対策の重要性を強調した。

マカフィー 代表取締役社長 山野修氏

サイバーセキュリティと地図作成は似ている!?

続いて登壇したヤング氏は、地図作成のアナロジーでサイバーセキュリティの現状について次のように説明した。

「地図はかつて伝統的な手法で作られてきたが、近年では、GPSや準天頂衛星システム(QZSS)などにより地図の作成方法が大きく変わってきた。これらのテクノロジーによって、移動中に地図と位置情報を確認できるようになっただけでなく、交通情報や気象情報なども加味した情報がリアルタイムで提供されるようになった。

サイバーセキュリティと地図作成は、どちらも最初は手作業で行われていたが、インテリジェンスや自動化、人間と機械とのチーミングなどによって進化してきたという点でよく似ている。しかし、地図作成の歴史は何千年もあるが、サイバーセキュリティの取り組みはまだ始まったばかり」(ヤング氏)

そしてヤング氏はサイバーセキュリティと地図作成の具体的な共通点として「脅威の環境」「技術の変化」「規制の状況」の3つをあげ、これらを切り抜けていく必要性を語った。

まずは「脅威の環境」。ワームやウイルスなどの単純なマルウェアから国家レベルの高度な攻撃までさまざまな脅威があるが、それらは常に新しい世代の脅威へと形を変えている。ヤング氏は、攻撃者の戦略が常に変化し高度になっている状況を説明したうえで、「私たちの対応も修練されたものになっていかなければならない」とした。

約20年間の脅威の変化

次に「技術の変化」。かつては、アプリケーション開発であれば、サーバ、データベース、ネットワーク、セキュリティなどの領域においてそれぞれ専門家がいたが、最近ではすべてサービスとして利用できるようになってきたことにより、領域の境界があいまいになってきている。

「このITの修練がサイバーセキュリティの場でも起きている」とヤング氏。すべての領域を包含するような管理をしていくことの重要性を訴えた。

3つめは「規制の状況」。日本においてはサイバーセキュリティ基本法や個人情報保護法などによって個人および企業の情報が守られている。一方でヤング氏は、「このような法規制は複雑なITの世界をさらに厳しくするもの」であるとする。そして「法規制の状況に対応した”私たちの地図”をつくっていかなければならない。新しいサイバーセキュリティの方法を実装しなければならない時代がきている」と呼びかけた。

こうした状況のなか、MacAfeeは今年8月にセキュリティポートフォリオ「MVISION」を発表した。

MVISIONについてヤング氏は「デバイスからクラウドまで、包括的にデータの保護を行うもの」としたうえで、「MacAfeeは過去数年間、デバイスとクラウドという2つの主要なコントロールポイントを中心にポートフォリオを構成してきた」とその戦略について説明。MVISIONを構成する5つの製品については「MacAfeeの未来に対するコミットメントを示している。すべての戦略的ロードマップにおいてイノベーションを生んでいくもの」と自信を見せていた。

MVISIONを構成する5つの製品

デバイスからクラウドまで、包括的なセキュリティを提供

続いて、米MacAfee バイスプレジデント プロダクトマネジメント ベン・コーディー氏がMVISIONを構成する製品の詳細について説明した。

米MacAfee バイスプレジデント プロダクトマネジメント ベン・コーディー氏

「McAfee MVISION ePO」はSaaS型のセキュリティ管理コンソールで、シンプルで直感的な操作性に優れていることが特徴。「既存のePO環境からは数クリックで移行することができ、簡単に最新のセキュリティ機能を利用できる。セキュリティ管理インフラの運用に力を注ぎ続ける必要がなくなる」(コーディー氏)

Windows 10に標準搭載されたセキュリティ機能を管理・強化する「McAfee MVISION Endpoint」については、「修練された管理機能を実現している」とコーディー氏。機械学習機能が搭載されており、ファイルレス型などの高度な攻撃でも正確に特定・防御することができる。

また「McAfee MVISION Mobile」は、モバイルデバイスに対する脅威を可視化・防御するもの。iOSとAndroidに対応しており、ePOからダウンロードする形で簡単に利用可能となる。