新たな取り組みを通じて進む「新陳代謝」

セキュリティ・キャンプを支える役割を果たしながら、これまであまり話題には上っていないのがSC-NOCだ。当初はボランティアベースで、ときには講師やチューターが片手間で運用してきたが、徐々に組織化を進め、ノウハウを共有。SC-NOC専任のチューターも募って運用している。

今回は、昨年までの千葉・幕張から府中に会場が移ったこともあり、従来からのネットワーク構成を踏襲しつつ、無線LANを中心とした設計にするなど、いくつかの改善に取り組んだ。

さまざまな工夫が施されたSC-NOCの配線

SC-NOCにも、実際にキャンプが始まる前からさまざまなタスクがある。仕様を作り、主催の情報処理推進機構(IPA)やベンダー、会場設備担当者の間に立って調整し……という具合に、学生の立場ではなかなかできない経験もできるそうだ。こうした準備の甲斐あって、「キャンプ中はノートラブルで安定運用できました。Zabbixでの監視に加え、パケットのログを取って監視し、頻繁に発生するDNSの名前解決をElasticsearchで解析するなど、今どきの監視の仕組みも取り入れています」と、2009年のセキュリティ・キャンプ卒業生であるSC-NOCメンバーの美濃圭佑氏(ソフトバンク・テクノロジー勤務)は振り返る。

また、今年から新たな取り組み「セキュリティ・コアキャンプ」も併催された。通常のキャンプのように「教える」のではなく、講師が実際に解析作業を行う様を間近に見て技を「盗む」場として、さらなる成長のステージを提供するという趣旨のイベントだ。

「過去のキャンプに参加して、あらためて興味を持った分野なので参加した」「CTFに参加するようになって、解析についてより知りたいと思った」という学生らが、講義の合間を縫って加わった講師陣と共に参加した。

コアキャンプは、卒業生のさらなるステップアップの場に位置づけられる

コアキャンプの最後に行われたブレーンストーミングでは、「世界一受けたいセキュリティ・キャンプ」というテーマの下、ロボットやゲーム、レイヤ横断型の講義などさまざまなアイデアが飛び出し、講師陣からは「自分が聴きたい講義を、自分が講師となって実施してみては」と背中を押す言葉が送られた。

西永氏や木村氏のように、受講者がチューターとなり、さらにミニキャンプや全国大会で講師を務めるというサイクルも既に生まれている。14年目を迎えたセキュリティ・キャンプ。回を重ねるなかでたすきが受け継がれ、確実に人材の「新陳代謝」が進んでいることが感じられる。