サイバーセキュリティが活路を開く! 内閣府参与が語る日本ICTの「今」

[2016/12/20 12:00]山田井ユウキ ブックマーク ブックマーク

ITトレンドの根幹となる要素を表す「C」

こうしたビジネスを生み出す上で最も重要となるのが、やはりサイバーセキュリティだ。齋藤氏はネットワークとセキュリティの関係について、「順番を逆にしがちですが、ネットワークがあってのセキュリティではありません。セキュリティがあってのネットワークなのです」と強調する。

その根拠となるのがインターネットの歴史である。インターネットは1969年に生まれ、1998年頃から一般に広まった。普及した理由は1995年に「SSL」、2000年に「RSA」というセキュリティ技術が確立したことだったという。

これは現在のビジネス事情においても同じことが言える。ビジネスを支える近年のITトレンドをまとめて「CAMBRIC」(クラウド、AI、モビリティ、ビッグデータ、ロボット、IoT)と呼ぶが、最後の「C」はサイバーセキュリティを意味する。つまり、全てのITトレンドの根幹となる要素なのである。

ロジカルからフィジカルへ。大規模化するサイバー攻撃

サイバー兵器も年々進化している。

齋藤氏は「Cold War(冷戦)からCode War(コード戦争)へ」という言葉を挙げ、サイバー兵器の脅威を次のように説明する。

「核兵器、生物兵器、化学兵器、これらは政府がある程度管理できる脅威であり、もしミサイルを盗んでもコピーが難しいなどの非対称な面がありました。ですが、サイバー兵器は相手が特定できず、コピーも容易でお金もかかりません」(齋藤氏)

さらに攻撃者も変化しているという。興味本位でスクリプトを実行するレベルのイタズラから、専門的技術・知識を駆使した国家規模の攻撃へと変化していく可能性も十分にあるのだ。

攻撃者の変化

また、最近では「ロジカルからフィジカルへ」という変化も起きており、画面の中だけでなく、サイバー攻撃によって物理的な被害も出ているという。

「米国では最近、サンフランシスコの地下鉄がハッキングされ、1週間近く切符の販売ができない状態になりました。また、インターネットから隔離すれば安全というわけではなく、エアギャップ(特別空間)を用意しても、電球をすり替えてLEDから可視光通信を使い、データを飛ばすというサイバー攻撃もあります」(齋藤氏)

日常には、ほかにもさまざまな危険が潜んでいる。TV、電子レンジ、プリンター、監視カメラ、医療機器……IoT時代においては、あらゆるものがサイバー攻撃の対象になりうるのだ。

サイバーセキュリティで考えるべき「3つのポイント」

こうした攻撃をいかに防ぐのか。サイバーセキュリティを考える上でのポイントは、「安全性」「費用」「利便性」だという。一般的には「安全性」と「費用」までで思考が止まってしまうことが多いが、「『利便性』も重要」だと齋藤氏は声を強める。

例えば車の鍵にはセキュリティの役割がある。この鍵にシートの位置や適切な気温が登録されており、車に乗って鍵を挿すとそうしたデータがロードされるとしよう。

そうなると、ユーザー目線では鍵は「利便性を向上するためのモノ」であり、セキュリティだけを目的としたモノではなくなる。「こうした視点でセキュリティを向上すべきだし、それが本来あるべきセキュリティの姿」だと齋藤氏は力を込める。

齋藤氏はまた、「サイバーセキュリティにパーフェクトはない」とも指摘する。

「人間は間違いを犯すもの、機械は壊れるもの、事故は起こるもの。想定外のアクシデントに対応するレジリエンス(復元力)も重要です」(齋藤氏)

サイバーセキュリティを高めることこそが、ICTやIoTの活用を推し進める何よりの原動力になる。日本がITの分野で世界に追いつくためには、まずセキュリティという足元を固めるところから始めるべきなのだ。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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