マカフィーは7月20日、都内で新体制に関する記者説明会を開催した。5月末にマカフィーの代表取締役へ就任した山野 修氏が登壇し、今後の事業方針説明を行った。

マカフィー 代表取締役 兼 米国インテルコーポレーション インテル セキュリティ事業本部 日本担当 副社長 山野 修氏

山野氏は冒頭、働き方の多様化やクラウド化といった企業側の環境の変化と、サイバー犯罪者の攻撃の悪質化という2つの兆候があると指摘。こうした状況に対応するためには、セキュリティ専門人材の育成が急務となるが、国内に限らず世界的にセキュリティ人材が不足している状況だという。

ただ、それ以前から日本の環境は「アメリカから二年遅れている」と山野氏は警鐘を鳴らす。これは、現場の人員だけでなく経営者のサイバーセキュリティ意識を高める必要があるといい、経産省の「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」など、官民一体となって対応を深める必要があると語る。

日本でもセキュリティ人材不足が叫ばれているが、これは世界でも共通。2020年には世界で200万、日本でも19万人が不足すると言われている

サイバー攻撃の検知は管理が厳しいと言われている金融業ですら発覚までに3カ月を要しており、解決の時間も長期化の傾向にある。そしてサイバー犯罪コストは(集計時)世界22位の名目GDPを超えているという

日本はアメリカよりも二年遅れたセキュリティレベルだが、サイバーセキュリティに国境はない。そして耳目を集める一大イベントも迫りつつある

経産省やNISC、総務省もサイバーセキュリティに関するガイドラインを特に経営者向けに出しており、このところその手のセミナーも多い

人材育成の必要性を説く一方で、「犯罪者もセキュリティをライフサイクルで考えている」(山野氏)として、脅威対策もライフサイクルとして捉える「Threat Defense Lifecycle(TDL)」をインテル セキュリティは提唱する。これは、従来防御一辺倒になりがちだった情報セキュリティを「Protect→Detect→Correct&Adapt」というライフサイクルとして捉え、これらを循環させる仕組みを用意するものだ。

また、サイバー脅威の高度化が進む中で「一社だけでは守りきれない」状況であることを認め、情報を共有する「サイバースレッドアライアンス」、「インテルセキュリティイノベーションアライアンス」というパートナー企業との連携も進めていく。

インテル セキュリティとしては単なる防御を超え、セキュリティライフサイクルとしてとらえるTDLを提唱

インテル セキュリティだけでも豊富なポートフォリオを備えているが、防御側で連携を取るアライアンスも推進

自動化がセキュリティ対策のキモに

法人顧客に対しては脅威の可視化と共有でインシデントへの対処を行うが、既知の脅威に関しては可能な限り、自動化を徹底することでオペレーションの効率化・省力化を推進するという。

また、IoT時代には基幹制御系にもセキュリティの影響範囲が拡大するため「ITからOT(Operation Technology)までのセキュリティで日本企業を支援したい」と山野氏。これらの施策によって「(単なる売上ナンバーワンではなく)日本の企業にNo.1のセキュリティパートナーとして認知してもらいたい」と今後の目標を語った。

人手不足に対応するべく、既知の脅威は可視化したら自動的に対処するという

Operation Technologyもネットワークに繋がっている以上、ここも守るというのが新方針。「セキュリティと言えばインテル」という関係構築を目指すという