日本コカ・コーラ担当者が解説! 公式アプリ「Coke ON」はなぜ成功したのか?

[2020/10/13 09:00]山田井ユウキ ブックマーク ブックマーク

日本コカ・コーラの公式スマートフォンアプリ「Coke ON(コークオン)」が躍進を続けている。対応する自動販売機でのドリンク購入でスタンプが付与され、15個貯まるとコカ・コーラ社製品と交換できるドリンクチケット1枚と交換できる仕組みだ。

Coke ON

Coke ONは2016年にリリースされ、現在までに2200万DLを達成した。日本コカ・コーラのビジネスにも大きなインパクトを与えるまでに成長した同アプリは、どのようにして生まれ、拡大していったのか。

9月16日に開催されたマイナビニューススペシャルセミナー「Digital Marketing Days Day1:[BtoC] 新時代におけるコンシューマーとの関係構築」に、日本コカ・コーラ マーケティング本部 CRM/Coke ON 事業部統括部長の豊浦洋祐氏が登壇。Coke ONアプリを成功に導いたデジタルマーケティングの取り組みについて語った。

選んだのは「広告に頼らないデジタル接点」

清涼飲料ビジネスは成熟した市場である。市場全体で見ると5兆円規模を維持しながら堅調に伸びているが、「どこで売れているのか」に着目すると興味深い事実に気づく。コンビニエンスストアやスーパーマーケットでの売上が伸びている一方、自動販売機での売上が過去10年にわたり、じわじわと下降しているのだ。自動販売機からの売上比率も大きい日本コカ・コーラにとって、憂慮すべき事態だと言える。

すでにコモディティ化している自動販売機の世界にデジタルの力でイノベーションを起こし、再び市場を成長させることはできないか――そうした思いから開発されたのがCoke ONだった。

豊浦氏曰く、数ある施策のなかでスマートフォンアプリを選んだのは、当時の状況を鑑みてそれが最適だと判断したからだという。

「生活者との接点がデジタル化しており、その中心となるのはアプリです。また広告ブロッキングアプリがかなりダウンロードされていることから、広告に頼らないデジタル接点を作ることが重要だと考えました」

豊浦洋祐氏

日本コカ・コーラ マーケティング本部 CRM/Coke ON 事業部統括部長 豊浦洋祐氏

2016年にリリースされたCoke ONは着実にDL数を伸ばし、対応する自販機数も今や全国で36万台超に拡大している。Coke ONと自動販売機の組み合わせで、同社はどのようなデジタルビジネスを実現しようとしているのか。

そもそも、同社が本格的にデジタルマーケティングに注力し始めたのは2007年頃、ちょうどオウンドメディア「コカ・コーラパーク」を開始した時期でもある。その会員数は1300万を超え、オウンドメディアの成功例として必ず名前が挙がる存在となったコカ・コーラパークだったが、SNSが普及し始めた2012年頃から少しずつ伸びが鈍化。トレンドに合わせて、日本コカ・コーラも活動の主軸をSNSへと移していくことになる。豊浦氏は、この変化を「日本コカ・コーラのデジタルマーケティング 1.0から2.0への移行」だと説明する。

「デジタルマーケティング」ではなく「デジタルビジネス」

大きな転機が訪れたのは2016年。同社はコカ・コーラパークを閉鎖し、新たにリリースしたCoke ONをデジタルマーケティングの主軸にする方針に舵を切った。成長が鈍化していたとは言え、オウンドメディアの象徴的存在だったコカ・コーラパークの閉鎖は、同社のデジタルマーケティングの転換点となる大きな出来事だった。

「Coke ONを『デジタルマーケティング 3.0』とした場合、それまでのデジタルマーケティング 2.0との間には大きな差がある」と豊浦氏は説く。

「デジタルマーケティングを進めるなかで、歯がゆい部分がありました。それは、自分がやっていることが最終的にどんなビジネスインパクトをもたらしているかわからないという点です。決してデジタルマーケティングを否定するつもりはありませんが、オウンドメディアのPVにしろ、SNSのRT数にしろ、KPIではありますが間接的な数字です」

だが、それまでのデジタルマーケティングと異なり、Coke ONは売上に直接貢献できる可能性を秘めた施策だ。豊浦氏はCoke ONについて、あえて「デジタルマーケティング」ではなく「デジタルビジネス」という言葉で表現する。

デジタルビジネスの特徴は、ユーザーが商品を認知して購入し、リピートに至るファネルの各KPIを一気通貫で管理できることだ。Coke ONの場合は、2200万DLのアプリがトップファネルを担い、ボトムファネルである36万台のIoT自販機と連携させることで、圧倒的な規模でOMO(Online Merges with Offline)を実現している。

ファネルの入り口となるアプリについては、リリース当初から計算されたプロモーションを実施した。2016年のサービスリリース時は日本コカ・コーラとして初めてスマートフォンアプリに特化したTVCMを作成し、2019年には、東京2020大会の観戦チケットをプレゼントするキャンペーンにCoke ONから参加できる取り組みも実施した。このプロモーションには約134万人のユーザーが参加したという。

「使えるアセットは全て使って、認知やダウンロード数を増やしていきました。この取り組みは自販機の売上だけでなく、コンビニやスーパーなどでも売上にも貢献していることが確認できています」

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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