蔦屋家電+が体現する「店舗のメディア化」とは? - これからの小売の在り方を考える

[2020/08/26 09:00]周藤瞳美 ブックマーク ブックマーク

蔦屋家電+が提案する新たな小売の可能性

次世代型ショールーム「蔦屋家電+」は、こうした背景の下、新たなリアル店舗の可能性を模索するため誕生した。蔦屋家電+では、開発途中だったり、クラウドファンディング実施中だったりするような世界中のユニークなプロダクトが展示されている。来店者は、実際にプロダクトに触れられるだけでなく、プロダクトへの感想や意見、要望をフィードバックすることで、製品開発に参加することもできる。

蔦屋家電+を通して解決したかった課題は、「場と人の価値」であるとする木崎氏。「物体を触れる、食べられるなどといった価値は、リアルの場所にまだ残っている。また、人にはお客様の悩みを聞いて最適なものを提案できるという価値がある。この2つの価値を活かした店づくりをしたかった」と、蔦屋家電+のコンセプトを説明する。

蔦屋家電+には、AIカメラによる画像解析システムが実装されており、商品の前に立ち止まった顧客の性別や推定年代、時間等が計測されている。こうしたデータを基に、その商品がどのようなターゲットに向いているかを分析し、対人による接客の際に収集した顧客のニーズや意見を企業にフィードバックしている。

つまり蔦屋家電+においては、接客は一般消費者へのインタビューやストーリーテリングという意味合いが強い。またビジネスモデルもこれまでの小売店とは大きく異なる。インタビューやストーリーテリングによる市場調査とブランディングの機会を企業へ提供することが店舗の価値となる。つまり、蔦屋家電+は企業にとってPRやD2C販売の場なのだ。売上は、物販ではなく企業の出店料が主となる。

一方、来店者にとっては、これまでにないプロダクトを実際に見て試すことができるし、興味のあるものに立ち止まって意見を伝えるだけで自然に開発に参加できるという面白さもある。

蔦屋家電+のビジネスモデル

「物事には機能的価値と情緒的価値が存在するが、ショッピングの体験でも同じことが言えるのでは?」と木崎氏。「自分だったらネットショップが1つなくなっても気づかないが、小学生の頃から通っていた駄菓子屋やパン屋がなくなると聞くと悲しくなる。その理由は、思い出がその場所に同居しているという情緒的価値が購買体験に含まれているから」と自身の体験を踏まえながら語る。

購買体験にいかに情緒的な価値を載せていくか。これを蔦屋家電+では「メディア化」と呼んでいるという。蔦屋家電+は、リアル店舗をメディア化し、新たな小売の可能性を切り開いていくための挑戦なのだ。これからのリアル店舗の在り方を捉え直すときが今、来ている。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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