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「生き残る」ではなく「勝ち残る」- ウィズコロナ時代のマーケティング戦略

[2020/06/17 09:00]山田井ユウキ ブックマーク ブックマーク

重要なのは「生き残る」ではなく「勝ち残る」ための視点

では具体的にマーケティングの「今」はどんな状況なのか。小島氏によると、「従来型のマスマーケティングが限界を迎えており、個人の発信/影響力が増大している」という。

既存のマスマーケティングでは何よりもリーチできるターゲット数を優先していたが、それでは広くリーチできても興味を引くコンテンツがつくれない。また、「聞いたことがある(アウェアネス)」という人を増やすことはできるが、自分ごと化(デマンドジェネレーション)」には効果が薄いのも弱点だ。そもそもリーチを増やそうとすると、コストもリニアに増加してしまう。

こうした点に加えて、2020年に新たに直面したのがコロナショックだ。コロナウイルスは人の動きを制限し、顧客の購買行動を大きく変えた。需要を大きく減らした製品もあれば、一気に注目が集まった製品もある。GDPが下がり続け、新しいルールが形成されていく今、重要なのは「生き残る」ではなく「勝ち残る」ための視点だと小島氏は強調する。

「コロナショック以降も、成長企業が多く存在するのがサブスクリプションビジネスです。AWSもその一つですが、年率40%以上で成長を続けています」

サブスクリプションはLTV(ライフタイムバリュー)を重視する収益モデルだ。従来の売り切りモデルと異なり、月次での利用料のビジネスのため最初は売上も小さいが、ある段階から急速に成長速度が上がる。顧客に選ばれ続け、勝ち残るビジネスを構築するためには、このサブスクリプションのモデルに学ぶところが多い。

サブスクリプションビジネスを行う上で重要なのが、コンバージョン(有償利用への転換率)を上げ、チャーン(解約率)を下げること。マーケティングはこの双方に取り組む必要があるのだ。

そこで小島氏が提唱するのが「コミュニティの活用」である。

コミュニティとは、目的や理念などの関心軸を共有する人たちの集まりのことだ。自社製品/サービスのファンを増やしてコミュニティを形成できれば、コンバージョンとチャーン対策に有効で、サブスクリプションビジネスは安定して成長を続けることができるという。

自らもAWSのコミュニティを主宰してきた小島氏は、コミュニティの参加者を3つのレイヤーで捉えている。

まず、製品やサービスのファンで、なおかつアウトプットにより影響力を持つ「リーダー」。そして、そんなリーダーを追随する「フォロワー」。最後に、製品に興味はあるがインプットのみを行い、アウトプットもフォローもしない「ワナビーズ」である。

多くのコミュニティはこの3レイヤーに分かれるが、初期はリーダーとフォロワーにフォーカスすることが大事だと小島氏は説く。

「最初はリーダーとフォロワーを集めてコミュニティを活性化することが大事です。その後ワナビーズが入って来る段階で、コミュニティは拡大期に入ります」

AWSコミュニティも最初は100名規模からスタートしたが、10年後となる今年、登録者だけで40,000人近い規模に膨れ上がったという。コミュニティ運営のコストは規模が大きくなってもさほど増えるわけではない。つまり、コストに対してのリーチ数が二次曲線的に増大するのである。

「コミュニティを通じて知られることで、正しいターゲットに正しいイメージで見つけてもらいやすくなるのです」

一方で、こうしたコミュニティ活動は定量的な効果が見えにくい。コミュニティの成長について、その意義を経営層にどう伝えればいいのか。

一つの例として、小島氏はオフラインイベントでの新規参加者率をKPIに設定する方法を挙げた。さらに、イベント後のアウトプット数もトラッキングすることで、コミュニティの効果を測る。

加えて定性的なKPIもチェックする。例えばコミュニティの熱量や熱気などは、コミュニティマネジャーが窓口になり、体感で測る。このとき重要なのは”熱気センサー”となる人を頻繁に変えないこと。「人が変わると誤差が出る」(小島氏)からだ。

小島氏によれば、こうしたコミュニティマーケティングのメソッドについては「再現性がある」という。さまざまなIT企業が日本でもコミュニティの立ち上げに成功していることがその根拠だ。

コロナショックにより、ビジネスの世界は一変した。今後、”勝ち残る”ためには既存のマーケティングを大きく見直す必要がありそうだ。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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