マイナビニュースマイナビ

次々にヒット商品を生み出すECサイト「LOHACO」が考えるデータ活用とは?

[2020/01/20 08:00]山田井ユウキ ブックマーク ブックマーク

取り組みから見えてきた「2つの市場」

こうした実験的な取り組みから、2つの市場が見えてきたと成松氏は言う。

1つはマス市場。これまで主流だったメジャー市場で、企業は大量に安く商品を提供することが求められる。大手スーパーやドラッグストアの店頭に並ぶ商品がこれにあたる。

一方、近年になって存在感を増しているのが花王が提唱するスモールマス市場。ターゲットを絞った商品を提供することでファンを獲得し、一定の規模が見込める市場のことである。スモールマス市場ではマス商品にはない個性を備えた商品が多く、そのこだわりやストーリー性にファンがつきやすい。また、「単価が高くブランド数が多い」という特徴がある。

スモールマスが注目される背景には、「世帯数が増加しているにも関わらず、世帯人口は急減している」という社会変化がある。世帯人数が減っているということは、すなわち日用品を買う際に意見を調整しなければならない人数が少なくなっているということ。人数が多ければ多いほど日用品は無難なマス商品に落ち着くが、人数が少なければよりエッジの利いたスモールマス商品を購入する率が上がるのだ。

LOHACO EC マーケティングラボでは、2019年のテーマとして「サステナブル(持続可能性)」を打ち出し、さまざまなスモールマスタイプの商品を展開している。そのヒット商品の1つが、大王製紙の生理用品「elis(エリス)」。生理用品に対する期待や、困りごとなどの「お客様の声」のデータを分析した結果、生まれた商品だ。

「レビューデータをクラスタリングしたところ、商品スペックに関するレビューと、利用シーンや情緒的価値に関するレビューに分かれました。特徴的なのが後者で、持ち運びしにくいことや家に置いておきにくいことに対する要望がありました」

こうした声から生まれたのが、シンプルかつシックなデザインの「elis」だったというわけだ。同商品はSNSをきっかけに大ヒットし、ブランドの売上は約2倍にまで増加したという。

「データの価値は、お客さまの課題をとらえることにある」と成松氏は説く。

例えば、ビニール素材のパックに入ったソフトパックティッシュがよく売れているのはなぜか。データを調査したところ、紙の箱に入ったボックスティッシュに対して「収納性」や「携帯性」などに課題を感じている顧客が多いことがわかったという。それならば、「ソフトパックであること」が大きな価値になるわけだ。

こうした商品が生まれたのは、流通やメーカーといった各プレーヤーがデータを共有できているからこそ。LOHACO EC マーケティングラボの狙いが見事にはまった実例と言える。

このラボの実績を踏まえ、アスクルは2019年9月、メーカーの顧客データとLOHACOのデータを連携させたマーケティング支援サービス「LOHACO Insight Dive」の提供を開始した。既存の枠にとらわれないデータ活用を軸に、さらに幅広い分野でヒット商品が生み出されていくことに期待したい。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

もっと知りたい!こちらもオススメ

転機を迎える百貨店業界の今 - 三越伊勢丹だからこそ実現可能なDX戦略

転機を迎える百貨店業界の今 - 三越伊勢丹だからこそ実現可能なDX戦略

12月13日に開催された「マイナビニュースフォーラム2019 Winter for データ活用」では、三越伊勢丹ホールディングス デジタル事業部 事業企画・管理ディビジョンにてプランニングリーダーを務める内田浩樹氏が登壇。同社におけるデータ活用とDX戦略について語った。

関連リンク

この記事に興味を持ったら"いいね!"を Click
Facebook で TECH+ の人気記事をお届けします
ページの先頭に戻る