Googleは11月13日、東京都墨田区の両国国技館にて「Brandcast 2019 Japan」を開催した。

Brandcastは、YouTubeの広告関係者に向けて事例や最新情報を共有するイベント。ニューヨーク、シドニー、ロンドンなど世界各地で開催されている。東京では今回が4回目の開催となる。

会場には、広告主や広告業の関係者、YouTubeクリエイターらが招待され、YouTube広告にまつわる取り組みなどが紹介された。

両国国技館で開催。日本らしい演出が随所に盛り込まれた

MassiveでPersonalなプラットフォーム

今回のイベントでGoogleが特に強調したのは、YouTubeの「Massive」「Personal」という2つの特性だ。

Massiveに関しては、世界のユーザーが20億人、国内でも18歳から44歳のユーザーが3000万人を超えたことを紹介。国内では、100万超の登録者を持つチャンネルが170に達し、昨年に比べて80%も増えたという。

今年10月9日にはジャニーズ事務所所属の嵐がチャンネルを開設し、わずか28時間で100万登録を超えた。新作ミュージックビデオを視聴者と一緒に見ながら楽しむイベントなどを開催した結果、現在は登録数を231万人にまで伸ばしているという。

一方のPersonalについては、無数にあるチャンネルの中から個人の趣味趣向にあった動画を選べることが改めて強調された。

米GoogleでYouTube ビデオグローバルソリューションのバイスプレジデントを務めるDabbie Weinstein氏は、自身がラーメン好きであることに触れたうえで、米国 カリフォルニア州 パロアルトにオープンしたラーメン店の情報をYouTubeで入手し、味や注文方法を入念に調べてから来店したことなどを明かした。

米Google YouTube ビデオグローバルソリューション バイスプレジデントのDabbie Weinstein氏が最新事例を紹介

さらに、Googleは今年6月にインテージと協業し、TVとYouTubeのリーチ結果をクロスレポートするサービスを発表している。

Googleが6月に国内販売を開始したGoogle Nest Hubのプロモーションでは、TV CMとYouTube広告を比較できるようなかたちでキャンペーンを実施。同じ15秒の動画を最初の1週間はTV CMのみで、次の1週間はYouTubeのみで流したところ、リーチできたユーザー数はYouTubeのほうが30%多かったと明かした。

TV CMよりもYouTubeのほうがリーチできる人数が30%多かった

フィットネス、旅行、野球、コメディが大幅増

続いて登壇したグーグル合同会社 上級執行役員の川合純一氏は、YouTubeのコンテンツ面の傾向を説明した。

氏によると、この1年で以下の4ジャンルが視聴数を伸ばしているという。

  • フィットネス : 1.5倍
  • 旅行 : 1.5倍
  • 野球 : 1.3倍
  • コメディ : 1.8倍

さらに視聴の意識としては以下の5つが挙げられるとし、こうしたトレンドを追求している視聴者は広告への反応も1.8倍高いという分析結果を示した。

  • 身近な娯楽
  • 暇を豊かに
  • プチ挑戦
  • 好きがある
  • 真実の追求

イベントでは成功事例として、ソフトバンク、サントリーのキャンペーンも紹介。責任者が壇上に招かれ、施策や効果などが説明された。

ソフトバンクはTV CMと同じ動画をYouTubeで配信することで15%のインクリメンタルリーチを獲得

サントリーは、公式バーチャルYouTuber「燦鳥ノム」によるプロモーションも展開。YouTubeの世界を飛び出し、eスポーツやTV CMでも活躍している

FUJI ROCK配信はファン層を大きく拡大

開始からちょうど1周年を迎えたYouTube Musicにも触れられた。

YouTube Musicにおいて想定以上の反応があったのが、野外フェス「FUJI ROCK FESTIVAL」の配信だ。同イベントは3日間で1200万回超の再生を記録。うち40%がFUJI ROCKの参加経験がない、いわば新規ユーザー。さらにそのうちの65%が来年以降に実際に参加したいと、態度変容を起こす回答をしている。

FUJI ROCK FESTIVALの配信を視聴したのは、40%が参加未経験者。うち65%が来年参加したいと動態変容を見せた

そのほか、海外では視聴回数が10億を超えるミュージックビデオも増えている。最近では、Guns N’ Rosesの「November Rain」が2000年以前の作品で初めて10億視聴を突破。映画でも話題になったQueenの「Bohemian Rhapsody」も10億超に達した。

さらには、YouTube独自のコンテンツを提供するYouTube Originalsで、X JAPANのYOSHIKIが来年3月に自身のドキュメンタリーを配信することを発表。この3年間、常に動画を撮り続けてきており、それを編集して公開する予定だ。

会場にはサプライズで本人が登場。「海外ではうまくことが運ばないハプニングが多い」と明かし、作品にはそうしたシーンが多く収録されるという。

「なぜ音楽を続けているのか、なぜ僕が生きていられるのかなどがわかるドキュメンタリーになる予定です。皆さんに何らかの刺激を与えられれば」とコメントした。

来年3月にYOSHIKIがYouTube Originalsでドキュメンタリーを配信予定

Brandcast終了後はYouTube Music Nightを開催。奥田民生、SHISHAMO、GLAYが登場して熱唱した。ライブの模様はYouTubeでも配信され、世界のユーザーに届けられた。

YouTube Music Nightに最初に登場した奥田民生。YouTubeのカラーに合わせて赤いシャツを着用

続いて登場したSHISHAMO。YouTubeで人気を伸ばし、紅白歌合戦にも出演している