日本中のデータが循環する”森”

「ヤフーでも、ビッグデータ、システム、サイエンスに注力している」と語った佐々木氏は、同社におけるそれぞれの取り組みを振り返ると共に、それらの取り組みによって蓄積されたノウハウを生かしたデータソリューションの取り組み「DATA FOREST(データフォレスト)」を紹介した。

同取り組みは、ヤフーのデータから得られるさまざまなインサイトを、同社内だけでなく、同社と企業、同社と自治体、企業間や自治体間など、参画するプレイヤーによって相互に利活用することを可能にするというもの。提供開始は2019年10月を予定しているが、すでに200以上もの企業や自治体から問い合わせが寄せられているという。

「当社のデータとさまざまな企業/自治体などのデータを掛け合わせ、より大きな価値の創出を実現したい。そうして参画するプレイヤーそれぞれが成長し、さらに多くのデータが集まるエコシステムを目指している」と佐々木氏は力を込める。

「バリューチェーン全体でデータが使えるようになれば、日本全体の経済発展にも貢献できるのではないかと考えています」(佐々木氏)

現在はサービス開始に向けて、企業や自治体など約20のパートナーとの実証実験を進めているところだ。そのうちの1つが、三越伊勢丹とのコラボによる、ビッグデータとAIを活用した”子育てママ”向けのファッションアイテムの開発プロジェクトである。

同プロジェクトでは、「Yahoo!検索」の検索キーワードや「Yahoo!知恵袋」の質問書き込みといったビッグデータを統計化した上で、AIにより解析。三越伊勢丹のECブランド「arm in arm」の顧客ターゲットでもある「子育て中の女性」の服装に関するトレンドや悩みを抽出した。

その結果、小柄な女性がロングスカートに関心を持っており、また着こなしや自転車の利用、抱っこひもとの合わせ方、静電気などに悩んでいるというインサイトが得られた。三越伊勢丹では、こうしたインサイトを基に、子育て中の女性との座談会を実施。仮説の検証を進めていき、新たなロングスカートの開発につなげたのである。

自治体との実証実験も進めている。その1つが千葉市におけるシェアサイクル利用状況データの分析だ。同市では、2018年3月よりOpenStreet社と共同でシェアサイクルの実証実験を実施し、ステーションの増加やエリアの拡大といった利便性の向上に取り組んでいる。実証開始から1年以上が経過したことを踏まえ、ヤフーのデータソリューションの取り組み「DATA FOREST」と連携。利用時間や利用者属性などに着目した利用動向の分析を行ったのだ。

その結果、例えば平日については、日中4時間以上の長時間利用者の属性と利用状況から、営業回りなどビジネスユースでの利用があることを推測。日常利用では、駅周辺を除いた各ステーション間の利用が増えてきたことから、買い物などの移動手段として利用されていることが見えてきた。

こうした実証実験を経て今年10月にスタートするデータソリューションサービスでは、ダッシュボード系のサービスと併せて「サービス導入のためのコンサルティングサポートも提供予定」とのことだ。

「人々の豊かな生活のためにも、日本のものづくり、そして日本のイノベーションをさらに伸ばしていきたいと考えています。そのために、(ヤフーは)日本中のデータが循環する”森”を提供します。より良い令和のため、より良い日本のために、ぜひ皆さんと頑張っていければと願っています」(佐々木氏)