セブン銀行の挑戦から学ぶ、AI導入とオープンイノベーション実現の秘訣

[2019/08/20 08:00]周藤瞳美 ブックマーク ブックマーク

マーケティング

2万5千台を超えるATMを運営するチャレンジャーバンクのセブン銀行では、新決済事業者との提携や電子マネーチャージなど、他のATMにはない独自のサービスを展開してきた。7月31日に開催された「マイナビニュースフォーラム 2019 Summer for データ活用」の基調講演には、このセブン銀行から専務執行役員 松橋正明氏が登壇。「セブン銀行のチャレンジ ~データ活用による事業高度化 観点と推進手法~」と題し、持続的サービスを次々生み出すためのデータ活用手法やオープンイノベーションの取り組みについて紹介した。

ATMからスタートしたセブン銀行だからできること

64台のATMを設置するところからスタートしたセブン銀行は現在、国内で2万5000台以上のATMを運営するほか、海外送金サービス、外国語対応、事業会社/地域/スタートアップとの提携、災害時の移動型ATMの設置など、時代の変化やニーズに対応したサービスを次々に展開してきている。これらのサービスに共通するのが「お客様の立場で考える」という思想。松橋氏は「銀行業界の規制を守り、安全を最優先とする文化」に加え、セブン銀行は、「最新技術を活用しUIをより良くし続ける」というアプローチをとってきたと話す。

セブン銀行 専務執行役員 松橋正明氏

そこで肝となるのが、データ活用だ。ATMの設置から運営までを一貫して行っているセブン銀行には、細かなデータを取得できるという強みがある。運用開始時からATMの稼働データを取得し続け、それを技術者に渡してきたことで、セブン銀行のATMの障害率は機種をバージョンアップするごとに減少しているのだという。現在の障害率は、サービス開始当初の1/10以下にまでなっている。

「例えば、紙幣の処理方法においては、A/Bテストを行って実際の稼働データを見ながら改良しています。これで”世界一止まらないATM”を実現しました。機械の設計者に改良用の稼働データを渡している銀行は、ほかにはないのではないでしょうか」(松橋氏)

AIで実現したい姿を描けるか? 導入のコツは「テーマ選定」

これまでセブン銀行は、顧客のウォンツやニーズを第一として目的に応じて必要な技術を選ぶという方針をとってきたという。しかし、2016~17年頃にAIや機械学習の技術動向を知り、「そんなことを言っている場合ではないと思った」と松橋氏。「これはまずいな、と。機械学習をフルに使わないと淘汰されてしまうと直感した」と振り返る。

そこで、従来の方針を見直し、AIや機械学習の技術をベースに「実現したい姿」を描くことにした。AI導入のコツについて松橋氏は「効果が大きそうなテーマを選ぶこと。簡単なPoCから始める企業が多いと思うが、セブン銀行としては、かつてIT化に失敗したものまで含めて効果が大きそうなものから取り組んでいく方針をとっている」と説明する。

今のところ、一番効果があったのは現金管理に関するマネジメントシステムだという。松橋氏は「完全な状態で導入しようとすると時間がかかってしまうので、7割程度出来上がった段階で現場に導入し、トライアンドエラーによってより高度化していくという方針をとっている。現場の人たちからヒントにつながる声を拾い上げ、それをサイエンティストに渡して開発に活かすことで、より良いサービス提供につなげている」と、AI導入の進め方について紹介した。

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