マーケター向けのテクノロジーを提供するマルケトは11月2日、国内において4回目となる年次カンファレンス「The Marketing Nation Summit 2018」を開催した。前月31日(米国時間)に完了したアドビシステムズによる同社買収手続きの佳境に重なったため、CEOのスティーブ・ルーカス氏は今回のイベントを欠席。しかし、日本のユーザーに向けたビデオレターにおいて、「MarketoはAdobeと共に、マーケティングや営業のためのさらなるイノベーションを促進していくことにコミットし、これまでにないかたちで顧客とつながることができるようにしていく」と明言した。

本稿では、2時間に及んだ午前中の基調講演の内容からマルケト 製品責任者 新田達也氏と同ソリューションコンサルタント 石野真吾氏が語った製品戦略について紹介する。

ユーザー課題を解決するマルケトの製品戦略「3つの柱」

両氏が紹介したのは、「マルケトはどの製品領域でイノベーションを進めていくか」だ。

先に登壇した新田氏は、マルケトユーザーが問題意識を抱えている領域は、「パーソナライズした体験の提供」「オペレーション効率化と収益貢献の両立」「マーケティング活動成果の可視化」にあると説明する。

マルケト 製品責任者 新田達也氏

これらの課題を踏まえ、マルケトが製品戦略の柱に据えるのは「AI」「アナリティクス」「セールス」の3つである。順を追って詳細を見ていきたい。

まず、AIがサポートするソリューションである。マルケトのAIは、「マーケターの生産性を向上するもの」「専門家がいなくても即座に利用可能」「AIのスケールメリットと人手によるコントロールのバランス」という3つの条件を押さえたものだという。該当するものとして、新田氏は次の3つのソリューションを挙げた。

Marketo ContentAI

「Marketo ContentAI」は、AIを用いてWebでもメールでも適切なコンテンツを自動的に届けることができるというもの。匿名ビジターを、名前のわかる個人として認識できるようになるまでのオペレーションを全部人手で行うには大変な労力を伴う。ContentAIでは、過去データを基に自動的に最適なコンテンツをレコメンドしてくれるので、休眠コンテンツの掘り起こしに役立てたり、Webとメールで一貫したメッセージを提供したりすることが可能となる。

Marketo AudienceAI

2017年8月に提携したGoogleの機械学習テクノロジーを用いて開発した機能が「Marketo AudienceAI」だ。これを使うと、過去にコンバージョンしたリード(見込み客)の傾向に基づき、Marketoの顧客データベースから可能性が高いセグメントを抽出し、キャンペーンリーチを拡大することができる。これにより、従来ならばデータサイエンティストが数カ月かけて分析/抽出しなければならなかったセグメントが不要になるのだという。

Marketo AccountAI

ABM(Account-Based Marketing)を実践するBtoB企業の最大の悩みは、自社のターゲットアカウントをどう定義するかにある。AccountAIの裏側ではパートナーのMintigoの機械学習テクノロジーが動き、自動的にA~Dの4ランクでアカウント情報を分類して抽出する。上位のAランクの企業だけをターゲットアカウントにすることもできれば、予測モデルをさらにチューニングしたものをターゲットアカウントにすることもできるという。