Webサイトの分析には欠かすことのできないGoogleアナリティクスですが、慣れない方からは「単語を見てもそこに何の情報があるのかわからない」「参照元と参照URLなど、似たような単語が並んでいるけどどう違うの?」といった声を聞くことがあります。

そこで、本連載では、入門者・初級者の皆さんを意識し、サイト分析で見るべき画面ごとにGoogleアナリティクスの基本用語を解説していきます。

今回は「ユーザー」レポートの中から、「ユーザー サマリー(ユーザー → 概要)」と「ユーザー モバイル サマリー(ユーザー → モバイル →概要)」に登場する用語を取り上げます。

【本連載で取り上げる画面(予定)】

  1. ユーザー
    - ユーザー サマリー (「ユーザー」→「概要」)
    - ユーザー モバイル サマリー (「ユーザー」→「モバイル」→「概要」)
  2. 集客
    - 集客 チャネル(「集客」→「すべてのトラフィック」→「チャネル」)
  3. 行動
    - 概要
    - ランディングページ(「行動」→「サイトコンテンツ」→「ランディングページ」)
    - すべてのページ(「行動」→「サイトコンテンツ」→「すべてのページ」)
  4. コンバージョン
    - 目標 サマリー(「コンバージョン」→「目標」→「概要」)
  5. その他の分かりにくい用語集

ユーザー サマリー (「ユーザー」→「概要」)

まずは「ユーザー サマリー」画面です。

ユーザー サマリー画面

この画面では、設定した期間ごとのサイトに訪れたユーザーの状況を確認することができます。サイトへの訪問者数の急な増減が無いか、直近1週間・1か月のデータと比較してチェックしましょう。

セッション

サイトを訪問してから離脱するまでの一連の行動を「セッション」と呼びます。したがって、Googleアナリティクスのセッションには、「一連の行動」が途切れるまでの情報が集計されることになります。

「一連の行動」が途切れたと判断されるのは、

  • ページに入ってから別のページの閲覧やイベントの発生が無く30分以上経過
  • 日付が変わる
  • 参照元が変わる

のどれかに当てはまった場合です。

1つ目と2つ目はわかりやすいですね。

Xさんが計測対象のサイトを訪問してページAを閲覧し、40分間外出した後また閲覧を再開してページBに戻った場合、30分以上経過しているため「一連の行動」は途切れたと判断され、セッション数は「2」とカウントされます。

また、23時55分にページAの閲覧を開始して、24時5分にページBを開いた場合には、30分経過はしていませんが日付を跨いだことでセッションが切れているため、これもセッション数は「2」となります。

3つ目の「参照元が変わる」とは、「サイトへ入ってきた経路が変わる」ことを意味します。

例えば、Xさんが別サイトからリンクで計測対象のサイトに入ってきてページAを閲覧した場合を考えてみましょう。

10分後にGoogle検索からサイトに入った場合には流入してきた経路が変わっているため、前のセッションが終わって、新しいセッションが始まり、セッション数は「2」となります。

もしページAを閲覧中にブラウザのバックで別サイトに戻り、同じリンクから計測対象のサイトに入ってきた場合は、流入してきた経路が同じであるため、セッションは継続していると判断されます。

ページビュー数

訪問したユーザが表示したページの数を「ページビュー数」と呼びます。

例えば、

  • Xさんが、ページA → ページB → ページC と閲覧

この場合には、ページビュー数は「3」となります。

また、情報を確認するためにページ間を行き来して

  • ページA → ページB → ページA → ページB と閲覧

この場合、同じページを複数回見た場合もそれぞれカウントされるので、この場合のページビュー数は「4」です。

ユーザー(数)

「ユーザー数」とはサイトに訪れた人の数を指します。Web分析の世界では「ユニークユーザー」と呼ばれるケースも多いですが、Googleアナリティクスでは単に「ユーザー」と記載されています。

例えば、

  • XさんがPCで昨日 ページA → ページBを閲覧し、今日 ページC → ページD を閲覧

この場合でもユーザ数は「1」とカウントされます(ちなみにこの場合、セッション数は「2」、ページビュー数は「4」となります)。

それではGoogleアナリティクスはどのようにして、Xさんだと判断しているのでしょうか?

正解は、「ブラウザに紐づいたcookie情報で判断している」です。

そのため、同じXさんがcookieを削除したり、違うブラウザを使ったり、スマホなどの異なるデバイスからアクセスしてきた場合には、異なるユーザーとしてユーザー数にカウントされます。

ページ/セッション

Google アナリティクスでは、1つのセッションで表示されたページビュー数の平均を「ページ/セッション」と表現しています。

訪問した人がどのくらいサイト内を回遊しているかわかる指標です。

平均セッション時間

平均セッション時間とは1つのセッションで訪問者がサイトに滞在した時間の平均を指します。「ページ/セッション」の命名ルールからすると、「時間/セッション」と表記してもよいところでしょうが、平均セッション時間が使われています。

この平均セッション時間を評価する際にはやや注意が必要です。

というのも、Googleアナリティクスが計測している滞在時間と、実際に訪問者がページを見ていた時間にはズレがあるためです。

次の表のように、あるユーザーが、ページA → ページB → ページCと遷移したとします。

閲覧ページ 閲覧開始時間 閲覧終了時間
ページA 10時5分 10時7分
ページB 10時7分 10時10分
ページC 10時10分 10時15分(離脱)

この場合、Googleアナリティクスが計測できる滞在時間は何分でしょうか?

「2分+3分+5分=10分」と考える方が多いでしょうが、実際には「2分+3分+0分=5分」となります。

Googleアナリティクスでは、ページを表示する際の「リクエスト」から次の「リクエスト」までの時間を滞在時間として計測しているため、最後のページCの滞在時間については離脱の際の「リクエスト」が計測できないのです。

この計測方法により特に問題となるのはサイトに入ってきた人がそのまま直帰してしまった場合です。この場合には滞在時間は0と計測されてしまいます。

平均セッション時間の指標を見る際には、このことを理解した上で数字を確認しましょう。

新規セッション率

「新規セッション率」とは、計測期間内の全セッション数のうち、そのサイトを初めて訪れたセッション(新規セッション数)の割合を指します。

次の表を見てください。あるページのユーザー訪問履歴を想定しています。

4月30日以前 5月1日 5月2日 5月3日
Xさん 1回目訪問 2回目訪問 3回目訪問
Yさん 1回目訪問 2回目訪問
Zさん 1回目訪問 2回目訪問

5月1日から5月3日の期間における新規セッション数と新規セッション率はそれぞれいくつになるでしょうか。

XさんとYさんは計測期間以前に一度サイトに訪れているため、5月1日の訪問は新規セッションにはカウントされません。Zさんは5月1日に初めてサイトに訪れているため、新規セッション数は「1」とカウントされます。期間内の全セッション数は「5」のため、この場合の新規セッション率は20%となります。

ちなみに、プロパティ設定で「ユーザー指標」をONにすると新規セッション率はユーザーサマリーの画面からは消えてしまうので、その場合は、「ユーザー」→「行動」→「新規とリピーター」を開いて、「New Visitor」のセッションの部分で確認してください。

直帰率と離脱率

直帰率とは、サイトに入ってきてサイト内の他のページに一度も遷移することなく離脱したセッションの割合です。

ユーザー サマリー画面に表示されている「直帰率」は、サイト全体の直帰率になるので、サイト内のすべてのセッションのうち1ページだけ閲覧したセッションの割合です。

Googleアナリティクスでは、ページごとの直帰率を表示することもできます。この場合、「そのページから始まったすべてのセッションのうち、サイト内の他のページに一度も遷移することなく離脱したセッション」の割合となります。

具体例で確認してみましょう。

  • Xさん : ページA → ページB → ペ ージC → 離脱
  • Yさん : ページA → 離脱
  • Zさん : ページC → ページA → 離脱

この場合、3つのセッションのうち1つのセッションで直帰が発生しているため、サイト全体の直帰率は33.3%となります。一方で、ページAの直帰率は、ページAから始まる2つのセッションのうち1つのセッションで直帰が発生しているため、50%となります。

直帰率と似た意味の単語に「離脱率」というものがあるので、ここで違いを明確にしておきましょう。

離脱率とは、ページビュー数で集計した離脱数の割合です。

したがって、サイト全体の離脱率は「全てのページビュー数に対して離脱した数」の割合。各ページの離脱率は「そのページのページビュー数に対して、そのページで離脱した数」の割合です。

直帰率の分母はセッション数、離脱率の分母はページビュー数という違いがありますね。離脱率に関しては、直帰率のように訪問の始まりといった点も考慮していません。

先ほどと同じ例で確認しましょう。

  • Xさん : ページA → ページB → ページC → 離脱
  • Yさん : ページA → 離脱
  • Zさん : ページC → 離脱

この場合、5つのページビューのうち3つのページビューで離脱が発生しているため、サイト全体の離脱率は60%です。ページAの離脱率は、ページビュー数が「2」でページAで離脱した数が「1」なので50%となります。

なお、離脱率は、Googleアナリティクス左側のメニューの「行動」→「サイト コンテンツ」→「離脱ページ」で表示される「離脱ページ」で確認できます。

New VisitorとReturning Visitor

ユーザー サマリー画面には、「New Visitor」「Returning Visitor」と記載された円グラフも表示されています。

New Visitorはサイトに初めて訪問したセッション数を、Returning Visitorは訪問が2度目以降のセッション数を指します。

Visitorという名称のため、ユーザー数と関係があるように思われますが、セッション数についての指標ですので注意しましょう。

少しわかりにくい指標ですので、下の表を見てください。

4月30日以前 5月1日 5月2日 5月3日
Xさん 1回目訪問 2回目訪問 3回目訪問
Yさん 1回目訪問
Zさん 1回目訪問 2回目訪問

対象期間を5月1日から5月3日とした場合、

  • New Visitor : 2
  • Returning Visitor : 3

となります。

もし、Visitorという単語に引っ張られて「人」の数だと考えてしまうと、New Visitorは2人、Returning Visitorは1人と考えてしまいます。

New VisitorとReturning Visitorの指標を確認する際には、セッション数であることを忘れないように注意しましょう。

ユーザー モバイル サマリー (「ユーザー」→「モバイル」→「概要」)

「ユーザー モバイル サマリー」画面ではユーザーがどのデバイスを用いてサイトを訪問しているかを確認することができます。

ユーザー モバイル サマリー 画面

PCで見ているユーザーが多いのか、スマートフォンで見ているユーザーが多いのか、その割合は変化していないか、といった視点でチェックしましょう。

desktop、mobile、tablet

画面には、「desktop」「mobile」「tablet」が並んでいます。

その名のとおり、desktopはPCからのアクセス、mobileはスマートフォンからのアクセス、tabletはタブレット端末からのアクセスを表します。

mobile、tabletの具体的な端末の種類を知りたい場合には、「ユーザー」→「モバイル」→「デバイス」で確認しましょう。

著者紹介


羽岡 純平 (Haoka Junpei)
- 株式会社WACUL

人工知能を使ったWebサイト分析サービス「AIアナリスト」のマーケティングを担当。アクセス解析・SEO・インサイドセールスと幅広くマーケティング業務に携わる。

なお、AIアナリストは、Googleアナリティクスと連携するだけで、人工知能がWebサイトのデータを集計し、改善提案を行うサービス。基本機能は無料で利用できる。