「AI×デジタルマーケティング」の視点で考える未来のコンピュータとは?

[2017/12/11 12:00]小池 晃臣 ブックマーク ブックマーク

マーケティング

デジタル領域の4テーマについて、1日1テーマで開催された「Fujitsu Insight 2017」。11月29日は「デジタルマーケティング」にフォーカスし、富士通 常務理事 グローバルマーケティング部門 首席エバンジェリスト、中山五輪男氏が基調講演を行った。

「富士通のAIが創り出す『シンギュラリティ』時代のデジタルマーケティング」と題された同講演では、SoRとSoEの融合とAI活用による最新の導入事例、さらに富士通の技術で実現する未来のデジタルマーケティング像が紹介された。

普及が進むデジタルマーケティングの課題

中山氏は、デジタル化の潮流のわかりやすい例として、車の購入時の行動を挙げた。車を購入する際、かつては平均7回はディーラーに足を運んでいたのが、今では平均1.5回ほどで済んでしまっているという。その背景には、スマホなどから購入時に必要な情報を容易に得られるようになったことがある。

このようなデジタル革新はグローバルで加速しているが、ある調査によると、そのなかでもマーケティングに重点を置く企業が最も多く32%にも上る。ちなみに2位が運用・保守で3位がワークスタイル革新となる。

「さらに、今後5年間にわたる重点投資項目として各企業のCEOが回答したうち、トップの37%がデジタルマーケティングであり、モバイルコマースも20%と注力度の高さがうかがえます」と中山氏は強調した。

富士通 常務理事 グローバルマーケティング部門 首席エバンジェリスト 中山五輪男氏

しかし一方で、デジタルマーケティングには課題も存在する。世界中でAI活用が進むのに伴い、既に約4,900社ものベンダーがデジタルマーケティングツールを提供している。そのなかから自社に最適なものを見つけるのは、至難の業だと言えるだろう。加えてマーケティングデータは部門ごとに存在するため、使われているデジタルツールもそれぞれ異なり、サイロ化が加速する傾向にあるのだ。

また、複数のツールを同時に活用するとなると、ツール間でのデータ連携に人手が必要となり、コスト面や人材面での負荷が高まることになる。

「経営層は多種多様なデータを統合することにより、さらにデータドリブンな経営を求めるようになってきているので、こうした課題の解決が急がれます」(中山氏)

CX向上にAIはどう貢献するのか?

デジタルマーケティングを取り巻くこのような課題を受けて富士通が提供するのが、AIとデータ連携により進化を遂げたプラットフォーム「FUJITSU Digital Marketing Platform CX360(以下、CX360)」である。CX360は、さまざまなデジタルマーケティングツールのデータを扱うことができ、それらのデータを同社の人工知能技術である「FUJITSU Human Centric AI Zinrai(以下、Zinrai)」によって分析する。

ここで中山氏は、マーケティングメールの配信にCX360を用いた自社の事例を紹介した。同社では、内部や外部のリストから属性に基づいてターゲットセグメントを指定し、ターゲティングメールを配信している。これにZinraiの技術を適用することで、ターゲティングメール配信の精度をさらに高めているのだという。

「今回のイベント集客でも、マーケティングコストは前回と同額のまま、2倍の集客を達成することができました」と中山氏は明かした。

続いてショッピングモールにおけるCX(カスタマー・エクスペリエンス)の向上をテーマとした想定事例が紹介された。混雑時間帯に訪れた顧客が予定時間内に買い物や食事を終わらせることができない、またはタイムセールなどの本当に必要とされる情報が顧客の元に届かないなどといった課題は多くの店舗が抱えている。そこで、画像処理を得意とするZinraiにより顧客の導線分析や顔認証を行うことで、混雑状況を把握できる上、顧客ごとにパーソナライズされた情報をデジタルサイネージやアプリを通じてタイムリーに提供できるというのだ。

さらに中山氏は、富士通が独自に開発したディープラーニング技術である「Deep Tensor」にも言及した。同技術は、グラフデータを学習できる点を特徴としており、2018年春に製品化が予定されている。

「グラフデータをそのまま理解させてディープラーニングを行うというのは、ほかのAIにはできないこと。期待していただきたい」と中山氏は力を込めた。

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