グローバルWi-Fi事業を展開するビジョン社は、マーケティングオートメーション(MA)ツール「Adobe Campaign」の導入により、今や大きな成果を上げている。だが、そこに至るまでには運用体制の構築や導入時のチームをどう構成するかなど、さまざまな課題・失敗もあったという。

9月14日に行われた「Adobe Symposium 2017」では、同社のウェブマーケティング事業部 統括 本田雄一郎氏とウェブマーケティング事業部 シニアアナリスト 地藤祐史氏、そしてアドビシステムズのコンサルタント・山本耕大氏が登壇。MAツール導入から成果が上がるまでの道のりについて、トークセッションを行った。

時には誤配信の失敗も - 安定稼働までのトライ&エラー

ビジョン社は、パケット定額制の海外用Wi-Fiレンタルサービス「グローバルWiFi」や訪日外国人向けWi-Fiレンタルサービス「NINJA WiFi」、ウェアラブル翻訳デバイス「ili(イリー)」のレンタルサービスなどを事業として展開している。

なかでもコアとなる事業は、グローバルWi-Fi事業である。ここにMAツールを導入した理由について本田氏は、ダイレクトメールを一斉配信するたびに開封率が低下していたことを挙げる。

「一斉配信メールの開封率は20%くらい。配信を繰り返すたびに開封率は下がり、配信停止数が増加していて、これをどう解決するかが課題でした」

ビジョン社 ウェブマーケティング事業部 統括 本田雄一郎氏

そこでビジョン社では5社のコンペを経て、Adobe Campaignを導入。本田氏は「これで課題が解決できるのではないか……と考えていましたが、入れただけで問題解決とはいきませんでした」と苦笑する。ただ導入するだけではなく、適切に「使う」必要があったのだ。

ではどう使いこなしていったのか。

導入後に課題として見えてきたのは、「MAツールを運用するチームにどういう人員を配置すればいいか」ということ。メンバーの入れ替えを繰り返し、模索しながら進めていったという。

また、基幹データベースとの接続では、「どのテーブルのどのカラムを接続するのか」といった問題や、「メール配信のシナリオは誰が作るのか」「マルチチャネル対応すべきなのか」「そもそも何のために使うのか」などの課題も浮き彫りになった。

失敗も多かったという。

「設定を間違えて同じ人に同じメールを配信してしまったり、除外すべき人に配信したりしたこともあります」(本田氏)

結局、導入から施策開始までは3カ月、安定稼働までには半年ほどの時間を要したという。