業績向上を目指し、今や多くの企業が何らかのSFA(Sales Force Automation)やCRM(Customer Relationship Management)のシステムを導入している。しかしながら、そうしたシステムを導入すれば、すぐに売上拡大につながるというわけではない。思ったように成果が上がらず、試行錯誤している企業も少なくないだろう。

では、どうすればよいのか。2月21日~22日にかけて開催された「ガートナー カスタマー 360 サミット 2017」でセッションに登壇したガートナー ジャパン リサーチディレクター 川辺 謙介氏は、「営業支援ロードマップと企業目標を連携させる方法」と題し、SFA導入を成功に導くためのポイントについて、事例とともに解説した。

成果が出ない原因はどこにある?

セッション冒頭、川辺氏は「企業の担当者からよく言われること」として、「SFAを入れたのに、なかなか成果が出ない」という声を取り上げた。氏によると、多くの場合、その原因はシステムの問題ではないという。

「『営業マンが動かない』とか、『同じ目標に向かって進めていない』といったことが原因なのです」(川辺氏)

ガートナー ジャパン リサーチディレクター 川辺 謙介氏

氏は「営業支援システムは、成果をもたらす魔法の箱ではない」と強調する。「とにかく導入しさえすれば、必ず成果が出る」というわけではないのだ。

では、どうすればシステムの恩恵を享受できるのか。

川辺氏は、営業支援システムを導入するにあたって必要なものとして次の4項目を挙げた。

  • 全社的目標(中長期的な目標)
  • ビジネス目標(全社的目標を達成するため各部門で何をやるべきか)
  • ビジネス推進要素(ビジネス目標を達成するための方法)
  • メトリクス(どのように成功を測定するか)

まずは大きな「全社的目標」を立て、それを達成するために各部門でやるべきことを「ビジネス目標」として掲げる。そして、ビジネス目標を達成するための方法(ビジネス推進要素)を見いだした上で、最後に全てのプロセスを測定するメトリクス(KPIなど)を用意する。

例えば、全社的目標で「売り上げの増加」を設定する。これを達成するためのビジネス目標には「顧客あたりの売り上げの増加」などが考えられる。さらにそこから、ビジネス推進要素として「中小企業の案件獲得」や「注力商品のアップセル」などが挙がってくるという流れだ。

ここで重要なのは、必ず「全社的目標」から入ること。すなわち、トップダウンで設定していくということである。

なお、ガートナーの調査によると、CRMプログラム導入の主要な目的として最も多く挙がっていたのは、欧州企業が「顧客満足度の向上」「売り上げの向上」で、日本企業は「顧客満足度の向上」「社員の生産性の向上」だったという。

2016年CRMプログラムの主要目標は? /出典:ガートナー(2017年2月)

欧州企業では、「売り上げの向上」が「顧客満足度の向上」に続いて2番目に位置しているのに対し、日本企業で「売り上げの増加」が登場するのは5番目となっており、川辺氏は「(日本企業は)社内の生産性に意識が向いている傾向がある」と分析した。