MA(マーケティングオートメーション)が流行して久しいが、実際に導入して成果に結び付けられた企業はどれくらいあるだろうか。導入しても成果を上げられていないとしたら、その原因はどこにあるのだろうか。

2月21日~22日にかけて開催された「ガートナー カスタマー 360 サミット 2017」で登壇した、フロムスクラッチ Corporate Strategy Div. 執行役員 三浦將太氏は、MA導入企業162社を対象に行ったアンケートの調査結果を基に、「One to Oneマーケティングを実現するMAの真実」と題した講演を行った。

導入の目的は? 何人体制? 企業162社に行った調査結果

「皆さんは自社の商品を購入するカスタマーを細かく特定できているでしょうか」

――講演冒頭、三浦氏はそう切り出した。

フロムスクラッチ Corporate Strategy Div. 執行役員 三浦將太氏

一般に、カスタマー像の特定には、年齢や性別、居住地などの属性を設定したペルソナ分析を使う。例えば、「20~30代の女性で年収は300~400万円。東京近郊在住で1人暮らし。愛読雑誌はCanCam」といった具合だ。

しかし、将来はもっと細かい部分まで特定したペルソナ設定が可能になると三浦氏は予測する。例えば、「22~28歳の独身女性で、直近1カ月以内に海外リゾートへの旅行を予約し、炭酸水を定期購入しており、過去1カ月以内の女性向けWebメディアの累計滞在時間が240分以上である」のようになるというのだ。

実際、年齢・性別・職業といったカスタマーの属性情報だけでなく、どのサイトをどれくらい閲覧し、どれくらいの金額の物を購入したかなどの行動データを掛け合わせることで、よりパーソナライズしたターゲティングが可能になり始めている。

いわゆる、MAだ。

しかし、「実際にはMAツールを導入した8割の企業が、その成果に満足していない」と三浦氏は説明し、フロムスクラッチが行ったアンケート調査を示した。

同調査は、昨年2月から12月までの10カ月間、フロムスクラッチが営業やコンサルティングを行うなかで、「MAを導入済みである」と回答した162社を対象に行ったものだ。業種はサービス、小売、製造、IT、金融、メディア、建設、医療など幅広い。

MAの導入に成功した企業と失敗した企業とでは、何が違うのか。「その差異を知ることで、同じ轍を踏むことなくOne to Oneマーケティングを実現できるのでは? 」と三浦氏は考えたのだ。

では、162社の回答を細かく見ていこう。

まず、「MAを導入した目的」について。MAを成功させた企業は「既存顧客からの売上増加」という回答が最も多く、続いて「One to Oneマーケティング実現」。失敗した企業は逆に「One to Oneマーケティング」が多く、「既存顧客からの売上増加」が2位となるが、それ以外の回答含め、成功企業と失敗企業に大きな違いは見られなかったという。

次に「MAを運用する上で何名のマーケティング担当者を置いたか」という質問だが、これも成功企業、失敗企業ともに「2~3名」という回答が多く、MAにかけたリソースに大きな違いはないことがわかった。

続いて、「MAを検討する上で何社から情報収集を行ったか」だが、これも共に「2~3社」が回答上位となり、MA導入時における情報量にも違いは見られなかった。

ここまで成功企業と失敗企業に大きな差はなかった。だが、次の質問で初めて回答に違いが現れたのだ。