花王が挑むマーケティング基盤構築 - 直面した「当たり前の課題」とは?

[2016/10/21 08:00]山田井ユウキ ブックマーク ブックマーク

サイト制作から見えてきた「2つの課題」

田中氏によると、導入から約1年が経ち、既に多数のブランドサイトの移行が完了しているという。

最初に着手したのは、SOFINAのサイトだ。一番最初に実施するということもあり、ページ生成機能やサーバ設定など、移行における課題抽出を目的としたテストケースも兼ねていた。

その後、Essential、フレアフレグランス、メリーズ、クイックル、ディープクリーン、KANEBOなどさまざまなブランドサイトの移行にも取り組み、モバイル対応を完了した。「想定していたよりも移行を希望するブランドが多く、嬉しい悲鳴」と田中氏は手応えを感じている。

制作の過程で見えてきた課題もある。

1つは、新しいCMSを導入しても社内に浸透させるのが大変だということ。田中氏が参加したユーザー会では、「情報システム部門で導入したところ、コーポレートサイトは管理できているが、ブランドサイトやキャンペーンサイトなどはうまくいっていない」といった声も聞こえてくるという。

もう1つ課題となったのは、Web制作会社ごとの習熟度の差だ。AEMという環境に制作会社が慣れているかどうかで、進行の速度が全く違うのである。

そこで田中氏は、制作会社を集めたキックオフミーティングを昨年5月に開催。各企業に向けた制作トレーニングメニューを用意したり、AEMを利用したサイトの制作マニュアルを作成したりといった準備を行った。

さらに、準備段階において、花王のサイト制作のための独自ツール群を開発。レスポンシブデザインのテンプレートや、ダイアログのみでページ制作できるインタフェースの設計を行い、このシステムを「KANAI(Kao Adjustable Natural Authoring Interface)」と名付けて運用することにした。

独自のツール群が開発された

レスポンシブデザインのテンプレート

原則として、ダイアログのみでページを制作できるようになっている

当然、コストはかかるが「AEMは習熟難易度が想定よりも高い。ユーザー向けだけでなく、サイト制作者向けのUI設計も必要」だと田中氏は語る。

AEM導入を機に、約10年ぶりとなる花王サイトのガイドラインもリニューアルした。規定だけでなく理念や方針も明記し、海外向けに英語版も作成中だ。新ガイドラインでは作例も掲載し、「テンプレートを使うとデザインの制約があるのでは」という懸念を払拭している。

このほかにも、花王の取り組みを伝えるためのメッセージビデオや、業務フローの説明ビデオなどを制作。社内外にAEMの導入を周知するために、十分な時間と手間をかけたことが現在の成果につながったのだという。

最後に田中氏は、「システム導入にフォーカスしすぎると失敗します。運用に向けた準備のほうが大切です。お客様のことはもちろんですが、制作者の利便性も考慮してください」とアドバイスし、講演を締めくくった。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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