「女性の成功はみんなを幸せにする」をキーワードに、Facebookが9月27日、女性起業家を支援する「#起業女子」イベントを開催した。イベントには参議院議員 自由民主党の松川 るい氏らが参加し、「女性が社会的に成功するためのポイント」について語った。

海外では「#SheMeansBusiness」として展開している#起業女子は、Facebookが3月にオーストラリアなどでスタートし、12カ国、6500名以上が支援プログラムを受けている。各国で女性の起業支援などを行っているパートナーとタッグを組んでおり、日本では「Girls in Tech Japan」と「コラボラボ」が役割を担う。

プログラムでは、オンラインビジネスを円滑に進めるためのハンズオンセミナーや、ツール・情報・ノウハウを共有するイベントの開催などを行う。サンフランシスコで2007年に設立されたGirls in Techは、女性起業家やIT業界にいる女性技術者の活動を支援するNPOで、メンターシッププログラムなどを提供するほか、シリコンバレーへ女性起業家の派遣なども検討しているという。またコラボラボは「女性社長.net」を手がけており、女性社長同士のネットワーキングのサポートなど行っていく。

Facebookが女性支援に取り組む理由

Facebook Head of Economic Growth Initiatives Asia PacificのClair Deevy氏

なぜFacebookは女性の起業支援を行うのか。

同社はミッションとして「世界をよりオープンでつながったものにする」を掲げており、その使命を果たす一つの鍵として「女性の社会進出」に取り組む。Facebook Head of Economic Growth Initiatives Asia PacificのClair Deevy氏は、国や地域によって細やかな課題は異なるとしながらも、主に「ビジネスネットワーク」「トレーニング機会」「認知バイアス」の3点が共通する問題点と話す。

イベントで参議院議員の松川氏が「選挙に取り組んで改めて『男性』が多いことがわかった」と語ったように、性差が色濃く残る業種・業態はまだまだ存在する。こうした業界では、女性が単独で乗りこんだとしてもビジネスネットワークを構築しづらく、必然的にスキルを身につけるためのトレーニング機会も喪失しやすい。認知バイアスについても、「ここは男性社会だから」といった過去の風習に基づく偏見などで女性が要職につく機会が失われることがあり、日本のみならず、世界的にも問題点となっているそうだ。

一方でDeevy氏は「ローカライズ」の重要性も説いており、インドでは若年層の雇用支援、日本では高齢化や経済分野における女性進出といった、社会性にあわせたプログラムのカスタマイズが必要だと話す。最終的に目指すところは「女性の自立」であり、ジェンダーギャップを解消することが国の成長にも繋がるというのが、このプログラムの大きな建前にもなる。

「(日本は男女雇用機会均等法など長い間男女格差是正に取り組んでいるにも関わらず、世界的に後進国とされてしまうポイントについて尋ねたところ)これまでの取り組みは、あくまで従来型の『職場に復帰する』『大企業で活躍する』といった枠に当てはめやすい女性活躍の在り方だったと考えています。社会が変容する中で、働き方も変わっている。そうした状況で、子供を抱えながらも働き方を模索できる起業、スモールビジネスに対する注目が足りなかったのではないかと思います」(Deevy氏)

女性らしさを活かした働き方

参議院議員 自由民主党の松川 るい氏

男性の育児参加は徐々に浸透しているものの、体力を要する「出産」をしなければならない女性は、一定期間のリタイアを必要とする状況には変わりない。もちろん、数カ月という短いスパンで復帰する女性もいるが、皆が同じように社会復帰できるわけではないため、やはり社会的に、文化として「女性を後押しする」ことが定着しなければ、女性のビジネスシーンでの地位向上は難しいだろう。

松川氏は、波があるライフステージを「女性らしい働き方ができるもの」と捉え、人生の場面に応じた仕事のやり方を勧める。

「男性でもそうだと思うんですが、死ぬほど働く時期、改めて勉強するために学校に通う時期、ライフサイクルのバランスを考えてほしい。これは企業にも言えることで、日本企業には、より新しい価値観、アイデアに出会ってもらうため、従業員に副業を推奨してほしいんです。副業をやって、この『#起業女子』のようなネットワーク、プラットフォームを活用して得た情報、知見は、絶対に本業に活かせるはず。

もう1つは高校生起業家の椎木里佳さんのように、若いうちからチャレンジすること。起業は、年を取って、家族を持ってから失敗すると『生活どうしよう』となるけど、若いうちの失敗は糧になる。若い時だからこそできる起業があるはず。そのためにも、こうした集まりを通して、人に出会い、話をしてほしい」(松川氏)

Facebookは「いいね!」がすべてじゃない

「#起業女子」のプログラムの一環でもある「オンラインビジネスの活用Tips」はこのイベントでもセッションが用意された。

10代や20代のスマートフォン接触時間がテレビよりも多く、20代女性のおよそ8割がスマートフォンでECサイトを利用した経験があるといった統計データを前提に「いかにスマートフォンで自社をアピールするか」が、ビジネスに直結するとFacebook Japan SMB(中小企業)事業部 パートナーマネージャ 永松 朋子氏は指摘する。

しかし、Facebookで効果を測定する際に目が行きがちな「いいね!」「コメント数」「シェア数」は重要ではないそうだ。

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