アドビ システムズは8月3日、「Adobe Marketing Cloud Data Driven Forum 2016」をJPタワーホール&カンファレンスにて開催した。同イベントでは、来日した米アドビのAdobe Analytics 担当シニア ディレクターや、パートナー企業各社によるセッションが多数行われ、統合型デジタルマーケティングプラットフォーム「Adobe Marketing Cloud」の実践的な活用方法や、さまざまな顧客事例が紹介された。

それらのうち、「ここまで進化したAdobe Analytics & Marketing Cloud ~デジタル時代にもとめられるデータ基盤のすがた~」と題した講演には、アドビ システムズ デジタルマーケティングBU ジャパンマーケット製品統括責任者 上原正太郎氏が登壇。これからのデジタルマーケティングにおいて何が求められるのか、そしてAdobe Marketing Cloudはそれにどう貢献するのかについて解説がなされた。

分析ツールが見せる「新しい景色」

データを計測・収集・分析する8種類のツールで構成されるAdobe Marketing Cloudは、顧客データを把握することで、顧客に最適なエクスペリエンスを提供するクラウドソリューションだ。

アドビ システムズ デジタルマーケティングBU ジャパンマーケット製品統括責任者 上原正太郎氏

アドビ システムズ デジタルマーケティングBU ジャパンマーケット製品統括責任者 上原正太郎氏

その1つ、「Adobe Analytics」はリアルタイムWeb分析やセグメンテーションなどを行う分析ツールである。上原氏は、このAdobe Analyticsの役割を「今までに見えなかった景色を見えるようにすること」だと語る。

それはすなわち、サイトを訪れたユーザーが興味・関心を抱いたポイントや、動線を見える化することを指す。それらのデータを把握することで、顧客への「より良い体験」の提供が可能となり、ひいては売り上げやオーダー数の増加へと結び付いていく。

こうしたデジタルマーケティングにおいては、集客からナーチャリング、コンバージョン、そしてレポーティング・分析を経て、施策に反映するエコシステムが存在するが、Adobe Marketing Cloudは8つのツールでその全てをサポートする。

例えば、集客の段階では「Adobe Social」「Adobe Audience Manager」「Adobe Media Manager」、ナーチャリングとコンバージョンの段階では「Adobe Target」「Adobe Campaign」「Adobe Experience Manager」が対応し、Adobe Analyticsが分析するといった具合だ。

Adobe Marketing Cloudが、これほど広範囲を網羅したのはなぜか。

「旧来であれば、TVで製品を露出させ、それを見たユーザーが提供元のWebサイトを訪れるという流れが一般的でした。しかし、今は口コミやモバイル広告など、ユーザーが製品にたどり着くまでにはさまざまな経路があり、顧客の分析が難しくなってきています」(上原氏)

こうした状況の中、マーケッターにとって難しいのは、匿名のユーザーをいかに見える化して顧客にしていくかというところだという。

さらに、ひとことに「マーケッター」と言っても、最近ではソーシャル担当やEメール担当など利用ツールに応じて細分化が進んでおり、各種ツールで使われる言葉の定義を議論するのに時間がかかる、といったムダも生じてしまう。

上原氏は、「ここで生きるのが、Adobe Marketing Cloudの守備範囲の広さ」だと強調する。マーケティングツールは高度化しており、さまざまなシステムと連携してデータを得られるようになっている。Adobe Marketing Cloudは、それらのツールを1つに結び付けるミドルウェア的な立ち位置というわけだ。「マーケティングオートメーションの活用には、共通データ基盤が必須」(上原氏)なのである。

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