DHCPサーバ編の締めくくりとして、スコープを設定して稼動を開始した後の運用管理について取り上げておこう。今回は手始めに、アドレス割り当て状況の確認と、スコープ設定変更時のヒントについて解説する。

DHCPのアドレス割り当て状況確認

DHCPが、どのコンピュータにどのIPアドレスが割り当てられているかを確認したい、という状況が生じるかもしれない。たとえば、特定のIPアドレスを持つホストが何か「悪さ」をしていることが判明した、なんていう場面がそれだ。

DHCPサーバ側でIPアドレスのリース状況を確認するには、[DHCP]管理ツール左側のツリー画面で、[DHCPサーバー]-[<サーバ名>]-[IPv4]-[<スコープ名>]-[アドレスのリース]を選択する。すると、割り当て中のIPアドレス一覧を画面の右側に表示する仕組みだ。その際に、リース期限やMACアドレスの情報([一意なID])も一緒に表示する。

[DHCPサーバー]-[<サーバ名>]-[IPv4]-[<スコープ名>]-[アドレスのリース]でリース状況を確認できる

アドレスの予約を行っている場合、予約した設定を使っていれば[アクティブ]、予約しただけで割り当てを行っていなければ[非アクティブ]と表示するようになっている。

ただし、ここで分かるのはMACアドレスであってコンピュータ名ではないので、どのコンピュータがどのMACアドレスを使用しているか、までは分からない。arpコマンドでARPテーブルを調べる手が考えられないわけではないが、DHCPサーバになっているコンピュータと目的のコンピュータが直接通信していなければ、ARPテーブルに載っていないかもしれないから、事前に対応表を作っておくのが確実という話になってしまう。

クライアントPC側で確認する方法としては、ipconfigコマンドがポピュラーだ。ただし、何もオプションを指定しないで実行すると、DNSサフィックス、IPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイしか表示しない。「ipconfig /all」と入力することで、MACアドレス、DNSサーバ アドレス、WINSサーバ アドレス、MACアドレス([Physical Address]のこと)、割り当て元DHCPサーバのIPアドレスも確認できる。

なお、Windows Vista/7/8でipconfigコマンドを利用して設定変更を行う際には、コマンドプロンプトを管理者の資格で実行する必要がある(設定を見るだけなら管理者の資格は不要)。

Windows Vista/7/8とWindows Server 2008/2012では、[ネットワークと共有センター]で[状態の表示]をクリックすると表示するダイアログで、さらに[詳細]をクリックする方法もある。

スコープのIPアドレス範囲を変更するときには

何かの都合でDHCPスコープの設定を変更して、クライアントに割り当てるIPアドレスの範囲を変更しなければならない場合があるかもしれない。もちろん、新しいアドレス割り当て計画に沿った内容のDHCPスコープを作成する必要があるのだが、それがクライアントPCに対して確実に反映されるかどうかが問題である。

というのは、DHCPクライアントがIPアドレスを受け取るのは原則として起動時なので、動かしっぱなしになっていると、更新がかからない、あるいは更新が遅れる可能性があるからだ。前述したように、リース期間の半ばが過ぎるまで更新リクエストを行わないためである。

そこで、アドレス変更の何日か前から、DHCPサーバの設定を変更して、方でリース期間を1日ぐらいに短縮しておく。こうすると、アドレスの更新が頻繁に行われるようになるため、新しいアドレスが早く行き渡る。

リース期間の既定値は8日だから、その半分の4日ごとに更新要求を出す。となると、少なくともアドレス変更の5日前にはこの設定変更が必要になるだろう。そうすれば、その後の4日の間にすべてのクライアントが更新要求を出してくれるはずだ。(ただし、その間に一度も稼動しないクライアントは話が別である)。

もっとも、クライアント側で強制更新を行う方法もあり、そちらの方がもっと確実だ。「ipconfig /release」で手持ちのアドレスを返納、「ipconfig /renew」で新しいアドレスを受け取る、という流れになる。