前回は、WebDAVサーバを導入して利用可能にするまでの手順について解説した。今回は、そのWebDAVサーバを利用する方法を紹介したい。字数の関係もあり、クライアントはWindowsとMacOS Xを対象とする。

いずれの方法でも、接続に成功した後は通常の共有フォルダと同じように、ウィンドウ間のドラッグ&ドロップ操作によってファイルのコピーや移動を行えるので、使い勝手に差はない。これは重要である。

Internet Explorerで接続する

まず、Internet Explorerを利用する方法を紹介する。Internet Explorerのうち、WebDAVクライアント機能を備えているのはVer.5.x~Ver.7.xまでなので、現行バージョンとなるVer.8.xやVer.9.xでは、この方法は使えない。

接続の際はWebDAVサーバでWebDAV用に追加した仮想ディレクトリに対応するURLを指定することになるのだが、アドレスバーに直接入力するのではなく、[ファイル]-[開く]を選択すると表示するダイアログを使用する点がポイントだ([Ctrl]+[O]キーでもよい)。

表示するダイアログでURLを指定するのだが、URLだけでなく、その下にある[Webフォルダとして開く]チェックボックスをオンにしてから、[OK]をクリックする必要がある。これを忘れると単なるWebサーバへの接続と見なされるため、WebDAVクライアント機能が働かないので注意が必要だ。

こうして接続に成功すると、Internet ExplorerのアドレスバーにはUNC形式でアドレスが表示される。しかし実際には、WebDAVで接続しており、通常のファイル共有機能は使用していない。

Internet Explorer(Ver.5.x~Ver.7.x)でWebDAVサーバに接続するには、[ファイル]-[開く]を選択すると表示するダイアログでURLを指定するとともに、[Webフォルダとして開く]チェックボックスをオンにする

ネットワークプレースを作成して接続する(Windows 2000/XP)

もう1つの方法が、Windows 2000/XPが持っているWebDAVクライアント機能を利用するものだ。Windows XPではデスクトップ上に[マイネットワーク]を表示しているが、それをダブルクリックすると表示する画面で、WebDAV仮想ディレクトリに対応する「ネットワークプレース」を作成する。以後は、それをダブルクリックするだけで接続できるので、頻繁に利用するWebDAVサーバがある場合は、こちらの方法のほうが便利だ。

[マイネットワーク]を表示するには、以下の方法がある。

  • [スタート]-[マイコンピュータ]を選択すると表示する画面で、左側のタスク画面で[その他]以下にある[マイネットワーク]をクリックする
  • デスクトップ上のアイコン表示設定を変更して、[マイネットワーク]を表示させる

ネットワークプレースを追加するには、Windows 2000であればウィンドウ内にある[ネットワークプレースの追加]をダブルクリックする。Windows XPであれば、左側のタスク画面で[ネットワークタスク]の中にある[ネットワークプレースを追加する]をクリックする。

ネットワークプレースは、Windowsファイル共有を使って公開している共有フォルダに対しても接続できる。それとWebDAVサーバを区別しなければならないので、アドレス指定の方法が違う。Windowsファイル共有用のネットワークプレースならUNCパスを指定するが、WebDAV用のネットワークプレースでは「http://~」で始まるWebDAV仮想ディレクトリのURLを指定する。ただし、Internet Explorerのように、別途[Webフォルダとして開く]という指定を行う必要はない。

このほか、ネットワークプレースに名前をつけて保存する作業も必要になる。名前は好きなようにつけられるが、接続先が一目でわかるような名前をつけるとよいだろう。

[ネットワークプレースの追加ウィザード]の4画面目で、WebDAV用仮想ディレクトリのURLを指定する(Windows XP)

こうして作成したネットワークプレースをダブルクリックすると、指定したWebDAV仮想ディレクトリに接続してファイル/フォルダの一覧を表示するが、Internet Explorerを使用した場合と同様、アドレスバーの表示は「\~」となっている。

接続時にユーザー認証を求められた場合は、ユーザー名とパスワードの指定が必要になる。これはWindowsファイル共有で接続するときと同じ理屈なので、接続が許可されているユーザーの資格情報を指定すればよい。

ちなみに、WindowsのWebDAVクライアント機能は[WebClient]サービスによって実現している。だから、このサービスが停止しているとWebDAVクライアント機能も働かない。言い換えれば、WebDAVクライアント機能を必要としていなければ、このサービスは止めてもよいことになる。

Windows Vista/7でWebDAVサーバに接続する

目下の主流であるWindows Vista/7で、WebDAVサーバに接続する際に使用する方法についてまとめてみた。操作手順そのものはWindowsファイル共有の場合と同じで、対象を指定する方法が異なると覚えておけばよい。

net useコマンドを使用する

コマンドプロンプトで、「net use * http://<サーバ名またはIPアドレス>/」あるいは「net user <ドライブ名> http://<サーバ名またはIPアドレス>/」と入力する方法で接続できる。前者の場合、ドライブ名は空いているものの中から自動的に選択する仕組みだ。

net useコマンドを使ってWebDAVサーバに接続した際の操作例

ネットワークドライブの割り当て

それと同じことをExplorerで行うのが、(もし表示していれば)デスクトップアイコンの[ネットワーク]で右クリックする方法、あるいはExplorerの[ツール]メニューを使う方法で、[ネットワークドライブの割り当て]を呼び出す方法だ。

こちらもnet useコマンドを使用する場合と同様に、接続先にはUNC形式ではなく「http://<サーバ名またはIPアドレス>/」を使う必要がある。

ちなみに、[スタート]メニューの検索ボックスに「http://<サーバ名またはIPアドレス>/」を入力すると、Webサイトへの接続だと勘違いされるので、この方法は使えない。

MacOS Xの場合

最後に余談として、MacOS XのWebDAVクライアントについて簡単に触れておこう。Finderで[移動]-[フォルダへ移動]を選択すると表示するダイアログで、[アドレス]として、Windowsファイル共有で使用する「smb://<サーバ名>/<ディレクトリ名>」の代わりに「http://<サーバ名>/<ディレクトリ名>/」という形式でURLを指定すればよい。

続いて表示するダイアログで、ユーザー名とパスワードを入力して認証を受ける。接続語にデスクトップに現れるアイコンの違いにより、Webサーバへの接続ではなく、共有フォルダへの接続だと認識されている様子がわかる。