今週は、ファイル共有に関する付随的な話題についてまとめておこう。共有設定を行う方法は以前に紹介した方法以外にも存在するし、共有を開始した後で設定の確認・変更が必要になることもある。そこで、そういった話題についてまとめてみた。

[コンピュータの管理]管理ツールによる共有フォルダの管理

[コンピュータの管理]管理ツールを利用すると、共有フォルダの一覧を確認したり、設定内容を変更したり、といった作業が容易になるので活用したい。

[コンピュータの管理]管理ツールは、[スタート]-[管理ツール]-[コンピュータの管理]を選択するか、[スタート]メニュー以下の[コンピュータ]で右クリックして[管理]を選択すると実行できる。

この管理ツールでは、左側のツリー画面で[システムツール]-[共有フォルダ]-[共有]を選択すると、画面中央部に共有フォルダの一覧を表示するようになっている。その中に、共有名の末尾に「$」がついている一群(ADMIN$、C$、IPC$など)が存在するが、これらはWindows Server 2008が自動的に共有する、いわゆる「管理共有」なので無視してよい。いずれも、管理者以外はアクセスできない設定になっている。

それ以外が、ユーザーが作成した共有フォルダということになる。いずれも、ダブルクリック、あるいは右クリックメニューで[プロパティ]を選択するとプロパティ画面を表示する。そして、同時接続可能なユーザー数、オフラインキャッシュの動作内容、アクセス権(共有アクセス権と、ファイル/フォルダに設定するNTFSアクセス権の両方)の設定変更が可能だ。

[コンピュータの管理]管理ツールで表示する、共有資源のプロパティ画面例。[全般]タブではユーザー数制限とオフラインキャッシュ、[共有のアクセス許可]タブでは共有アクセス権、[セキュリティ]タブではNTFSアクセス権の設定変更が可能

また、共有フォルダごとに右クリックメニューで[共有解除]を選択すると共有の解除が可能だ。ただし共有名の変更は行えないので、共有名を変更したいときにはいったん共有を解除して、別の名前で共有し直す必要がある。

ウィザードを用いるフォルダ共有設定

[コンピュータの管理]管理ツールを使うと、ウィザード形式で共有フォルダを作成できる。共有名を指定してフォルダを共有する、あるいはその際に共有アクセス権の設定を行うだけなら、わざわざウィザードに頼るのは煩雑なだけだと思われそうだが、ウィザードを利用しなければ設定できない機能もあるので、まるっきり出番がないわけではない。

ウィザードを実行する際の手順は、以下のように複数存在する。

 1. [コンピュータの管理]管理ツール左側のツリー画面で[システムツール]-[共有フォルダ]-[共有]を選択する。続いて、[操作]-[新しい共有]、あるいは右クリックして[新しい共有]を選択する。

 2. [サーバーマネージャ]左側のツリー画面で[役割]以下の[ファイルサービス]-[共有と記憶域の管理]を選択して、[操作]-[共有の準備]、あるいは右クリックして[共有の準備]を選択する。(役割[ファイルサービス]を組み込んである場合にのみ利用可能)

ウィザードにおける共有設定の流れは、以下のようになっている。ただし、上記の「1.」で起動するウィザードと「2.」で起動するウィザードは別物で、途中で設定可能な項目の内容や順序に違いがある。

以下に示した設定項目のうち「*」を付けた項目は、「2.」の方法でのみ設定できる点に注意したい。また、ウィザードによってはひとつの画面で複数の設定項目をまとめて扱う場合もある。

  • 共有対象フォルダの指定
  • NTFSアクセス権の設定変更(通常は触らない) *
  • 共有名の設定
  • 説明文の設定
  • オフラインフォルダの設定
  • 共有プロトコルの選択(SMBに加えてNFSも選択可能) *
  • 同時アクセス可能なユーザー数の設定 *
  • 共有アクセス権の設定
  • フォルダ単位のクォータ設定 *
  • ファイルスクリーンの設定 *
  • 分散ファイルシステム(DFS : Distributed File System)の設定 *

ウィザードを利用すると、共有アクセス権を既存のパターンの中から選択できる利点がある。といっても選択できる内容は大雑把なもので、「管理者以外のユーザーについても書き込みを認める」「管理者以外のユーザーは読み取り専用にする」といった程度の違いだ。それよりも細かい設定を行おうとすると、結局、[カスタマイズ]を使って、アクセス権設定画面を呼び出すことになるので同じことだ。

「2.」のウィザードではファイル共有プロトコルとして、SMB(Server Message Block。いわゆるNetBIOS over TCP/IPと、Windows 2000から加わったダイレクトホスティングSMBの総称)に加えてNFS(Network File System)をインストールして利用することもできる。しかし現実問題として、クライアントとしてWindowsやMacを使用している限り、NFSを使用する必然性はないだろう。

ウィザードを使って共有設定を行うと、共有プロトコルとしてNFSの指定も可能になる(ただし、既定の状態ではインストールしていないNFSの追加を事前に行っておく必要がある)

また、ファイルサーバーリソースマネージャが備える、クォータ、あるいはファイルスクリーンといった機能についても、共有設定と合わせて一気に設定できる利点がある

したがって、クォータやファイルスクリーンの設定を共有設定と一括して行いたい、という場面でもなければ、わざわざこのウィザードに頼る場面は存在しないといってよいかもしれない。

なお、クォータやファイルスクリーンについては、本連載ではまだ言及していない。今後、セッションの一覧表示・クローズ機能やローカルユーザーアカウントの管理に関する解説を行ってから、ファイルサーバーリソースマネージャに関する解説ということで、クォータやファイルスクリーンについても取り上げていく予定だ。しばし、お待ちいただきたい。

あまり使わない共有設定

プロパティ画面を用いる方法と比較すると目立たないが、エクスプローラの右クリックメニューで[共有]以下のサブメニューを選択する方法でも、フォルダに対する共有設定が可能だ。

エクスプローラの右クリックメニューで[共有]のサブメニューを選択すると表示するダイアログ

このダイアログの基本的な使い方は、以下のようになる。

  • 上のテキストボックスに、共有アクセス権を割り当てたいユーザー、あるいはグループの名前を入力して[追加]をクリックする
  • すると、それが下の一覧に追加されるので、右側の[アクセス許可のレベル]にある[▼]をクリックして、[読み取り]あるいは[読み取り/書き込み]の別を選択する

推測だが、Windows Server 2008がWindows Vistaをベースとしていることから、これはWindows Vista向けの共有機能がそのまま持ち込まれたのではないだろうか。従来のWindowsサーバに馴染んでいるユーザーであれば、却って分かりにくいと感じるかもしれない。