進むWindowsのLinux化 - Visual Studio Online

【連載】

にわか管理者のためのLinux運用入門

【第205回】進むWindowsのLinux化 - Visual Studio Online

[2019/11/19 07:30]後藤大地 ブックマーク ブックマーク

サーバ/ストレージ

Visual Studio Onlineパブリックプレビュー版

Microsoftは11月4日(米国時間)、「Announcing Visual Studio Online Public Preview」において、新しいサービスとなる「Visual Studio Online」のパブリックプレビュー版を公開したと伝えた。無償のアカウントを用意しない限り試用するにも使用料金が発生してしまうが、MicrosoftがWindowsのLinux化というか、WindowsとLinuxをさらにごちゃまぜにしていく姿勢が現れていて興味深い。今回はこの新しいサービスについて触れておこう。

Visual Studio Online

MicrosoftがWindowsでLinuxアプリケーションを開発する方法として、Visual Studio CodeとWSLを組み合わせた方法を試し始めていることは第200回で取り上げた。Windowsというデスクトップ環境を使いながら、ネイティブなLinuxアプリケーションの開発ができるという方法だ。Visual Studio Code、またはWSLを加えたこの開発環境には、次のようなLinuxとの接点が存在している。

  • Visual Studio CodeはMicrosoftが主に開発を進めている統合開発環境だが、オープンソースソフトウエアとして開発されており、WindowsのみならずLinuxやmacOSでも使用できる。位置づけとしてはVisual Studioよりも軽量な統合開発環境、または、高度で高機能なエディタというポジションにあるが、提供されている機能は必要十分で世界中でもっとも人気の高い統合開発環境またはエディタというポジションを確保しつつある。MicrosoftはLinuxやmacOSに対してもVisual Studio Codeという開発能力を提供しており、Visual Studio Codeに関しては開発環境をWindowsのみに限定するという戦略は取っていない
  • WSLを組み合わせることで、WindowsにおいてもVisual Studio CodeでネイティブなLinuxアプリケーションを実施できる。仮想化アプリケーションにLinux環境をセットアップする必要もなく、数回のクリックで簡単に環境を構築することができる。これにはWindowsをLinuxアプリケーション向けの開発環境として重要視する姿勢が現れている


こうした特徴を持つVisual Studio Codeに対し、「Visual Studio Online」というのは、言ってしまえばWebブラウザでVisual Studio Codeを提供するようなものだ。バックエンドはMicrosoft Azureとなる。IaaSに相当する部分も含めて開発環境を提供するというもので、数回のクリックで開発環境を作成することができる。そこにはもはやWSLのインストールすら必要ない。Visual Studio Onlineで環境を作成する際に自動的にLinux環境がホストされるからだ。しかもWebブラウザがあればどこからでもアクセスして開発を行うことができる。クライアントが使用するOSすら問題にならない。それなりに新しいWebブラウザさえあれば利用することができる。

なぜこういったことができるのかだが、そこはあまり難しいことはない。Visual Studio CodeはElectronと呼ばれるソフトウエアフレームワークを使って開発されている。このフレームワークはWeb技術を使ってGUIアプリケーションを開発できるようにするというものだ。ようするに、Visual Studio CodeはもともとWeb技術を使って開発されており、Webブラウザで動作させることがそれほど難しくないのである。もちろんバックエンドとの連携部分を開発する必要があるなどそれほど簡単な開発ではないが、不可能ではない。

Microsoftは「Visual Studio Online」というサービスを提供することで、Linuxアプリケーションの開発環境を提供しようとしている。そこにはすでにクライアント環境がWindowsである必要性すらない。Windowsに固執するという戦略は以前ほどは重要ではないような印象がある。MicrosoftはMicrosoft Azureを通じてクラウドベンダとしての力を強めており、一連のMicrosoftの行動はこうした戦略を反映したものとなっている。

WSLとVisual Studio Online

Visual Studio OnlineはWebブラウザから利用できるのだが、クライアントとしてはVisual StudioもVisual Studio Codeも使用できる。Visual Studio Onlineは実のところWebブラウザから開発できるという面よりも、複数のクライアントから共同開発しやすくなるという面のほうが重要度が高い。チーム開発をローカルPCの環境ではなくMicrosoft Azureのクラウド上に保持できるというのが本質だと言える。

1人で開発するのであればVisual Studio Code + WSLという構成で十分だ。しかし、複数のメンバーで同時に開発する必要が出てくると、Visual Studio Code + WSLという環境だけでは力不足だ。メンバー間で協調するためのほかのメカニズムが必要になってくる。Visual Studio Onlineを使うとこういった部分を簡素化できるわけである。

Visual Studio OnlineはバックエンドでMicrosoft Azureを使っているため、当然ながら使用するには使用料が必要になる。料金はインスタンスの種類や使い方、または契約方法によって変わってくるのだが、今のところひと月あたり5~6千円程度が想定されている。高いか安いかは状況によるだろうが、ローカルに新しいPCを用意することなく開発環境が手に入ると考えると、値段に見合うサービスではないかと思う。

Visual Studio Onlineはまだパブリックプレビューの段階だし、Visual Studio Code + WSLで期待されているWSL2は来年春の正式登場が予定されている。現段階ではどちらもまだプレビューといった状態だ。しかし、今後こうした開発スタイルが定着していく可能性があることには注目しておく必要がある。クラウドベースの開発は今のところ収束する気配はなく、この先も増加するものと見られている。今後もこの分野の動向には注目しておきたい。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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