使い方を表示する help

LinuxやUNIX系オペレーティングシステムではmanコマンドで表示できるオンラインマニュアルデータが充実しており、さまざまなコマンドの詳細な使い方を知ることができる。

manコマンドはLinux系オペレーティングシステムを使う上で欠かすことのできないツールであり、熟練のユーザであっても普段使わないオプションの動作を調べるなど、なんらかのタイミングで使うことが多いコマンドだ。

Windowsにはmanコマンドは用意されていない。基本的にWindowsではLinuxまたはUNIX系オペレーティングシステムのオンラインマニュアルに相当する詳細なマニュアルをコンソールで読むということをしないのではないだろうか。

しかし、一応似たようなことができるコマンドは用意されている。helpコマンドだ。

helpコマンドはシステムコマンドの使い方を表示するコマンド。引数を何も指定せずに実行すればhelpが対応しているコマンドとその簡単な使い方が一覧表示時される。

引数にコマンド名を指定すれば、そのコマンドの使い方が表示される。manコマンドで表示されるような詳細なものではないが、どんなコマンドで、どういったことができるのかの概要は知ることができる。知っておいて損はないので、このコマンドの使い方も覚えておこう。

helpコマンドの実行サンプル

まずはhelpコマンドを引数を指定せずに実行してみよう。helpコマンドが対応しているコマンドとその簡単な説明が一覧表示される。

helpコマンドはWindowsプラットフォームにインストールされているすべてのコマンドに対応してはいないのだが、そのプラットフォームにインストールされているシステムコマンドを知る用途でも役に立つ。

helpコマンドでシステムコマンドとその簡単な説明を一覧表示

スクリーンショットだけではわかりにくいので、Windows 10のコマンドプロンプトでhelpコマンドを実行した結果を次にまとめておく。

コマンド helpコマンド出力した説明文章
assoc ファイル拡張子の関連付けを表示または変更します。
attrib ファイルの属性を表示または変更します。
break 拡張CTRL+Cチェックを設定または解除します。
bcdedit ブートデータベースのプロパティを設定して起動時の読み込みを制御します。
cacls ファイルのアクセス制御リスト(ACL)を表示または変更します。
call バッチプログラム中から、別のバッチプログラムを呼び出します。
cd 現在のディレクトリを表示または変更します。
chcp 有効なコードページ番号を表示または設定します。
chdir 現在のディレクトリを表示または変更します。
chkdsk ディスクをチェックし、状態を表示します。
chkntfs 起動時のディスクのチェックを表示または変更します。
cls 画面を消去します。
cmd Windowsコマンドインタープリターを新しく起動します。
color コンソールの文字と背景の既定の色を設定します。
comp 2個のファイルまたはファイルの集合の内容を比較します。
compact NTFSパーティション上のファイルの圧縮状態を表示または変更します。
convert FATボリュームをNTFSに変換します。現在のドライブは変換できません。
copy 1個以上のファイルを別の場所にコピーします。
date 日付を表示または変更します。
del 1個以上のファイルを削除します。
dir ディレクトリ中のファイルやサブディレクトリの一覧を表示します。
diskpart ディスクパーティションのプロパティを表示または構成します。
doskey コマンドラインの編集、Windowsコマンドの再呼び出し、マクロの作成をします。
driverquery 現在のデバイスドライバーの状態とプロパティを表示します。
echo メッセージの表示、コマンドエコーのオン、オフの指定をします。
endlocal バッチファイルで、環境変数のローカル化を終了します。
erase 1個以上のファイルを削除します。
exit CMD.EXEプログラム(コマンドインタープリター)を終了します。
fc 2個のファイルまたはファイルの集合の内容を比較して、それらの違いを表示します。
find ファイルの中からテキスト文字列を検索します。
findstr ファイルの中から文字列を検索します。
for 指定されたコマンドを、ファイルの集合の各ファイルに対して実行します。
format Windowsで使用するためのディスクをフォーマットします。
fsutil ファイルシステムプロパティを表示または構成します。
ftype ファイル拡張子の関連付けで使われるファイルタイプを表示または変更します。
goto バッチプログラム中で、ラベルで定義されている行へWindowsコマンドインタープリターの実行を移します。
gpresult コンピューターまたはユーザーのグループポリシー情報を表示します。
graftabl Windowsがグラフィックモードで拡張文字セットを表示できるようにします。
help Windowsコマンドのヘルプ情報を表示します。
icacls ファイルおよびディレクトリのACLを表示、変更、バックアップまたは復元します。
if バッチファイル中で、条件処理を実行します。
label ディスクのボリュームラベルを作成、変更、または削除します。
md ディレクトリを作成します。
mkdir ディレクトリを作成します。
mklink シンボリックリンクおよびハードリンクを作成します。
mode システムデバイスを設定します。
more 出力を一度に1画面ずつ表示します。
move 1個以上のファイルをディレクトリから別のディレクトリに移動します。
openfiles リモートユーザーによって開かれている共有ファイルを表示します。
path 実行可能ファイルの検索パスを表示または設定します。
pause バッチファイルの処理を一時停止し、メッセージを表示します。
popd 現在のディレクトリをPUSHDで保存したディレクトリに戻します。
print テキストファイルを印刷します。
prompt Windowsコマンドプロンプトを変更します。
pushd 現在のディレクトリを保存して、変更します。
rd ディレクトリを削除します。
recover 不良または欠陥ディスクから読み出し可能な情報を復元します。
rem バッチファイルやCONFIG.SYSの中で、コメント(注釈)を記録します。
ren ファイルの名前を変更します。
rename ファイルの名前を変更します。
replace ファイルを置き換えます。
rmdir ディレクトリを削除します。
robocopy ファイルやディレクトリ構造をコピーする詳細ユーティリティです。
set Windows環境変数を表示、設定、または削除します。
setlocal バッチファイルで、環境変数のローカル化を開始します。
sc サービス(バックグラウンドプロセス)を表示または構成します。
schtasks コンピューター上で実行されるコマンドとプログラムをスケジュールします。
shift バッチファイルで、置き換え可能パラメーターの位置をシフトします。
shutdown ローカルまたはリモートのコンピューターのシャットダウンを許可します。
sort 入力を並べ替えます。
start 別のウィンドウを起動して、指定したプログラムまたはコマンドを実行します。
subst パスをドライブ名で置き換えます。
systeminfo コンピューター特有のプロパティと構成を表示します。
tasklist サービスを含む現在実行されているすべてのタスクを表示します。
taskkill 実行されているプロセスまたはアプリケーションを削除または停止します。
time システム時刻を表示または変更します。
title コマンドプロンプトウィンドウのタイトルを設定します。
tree ドライブまたはパスのディレクトリ構造を図式表示します。
type テキストファイルの内容を表示します。
ver Windowsのバージョンを表示します。
verify ファイルがディスクへ正しく書き込まれたかを照合するかどうかWindowsへ指定します。
vol ディスクのボリュームラベルとシリアル番号を表示します。
xcopy ファイルやディレクトリ構造をコピーします。
wmic 対話型コマンドシェルでWMI情報を表示します。

helpコマンドの出力を見るだけでも、どんなコマンドがシステムにインストールされており、どんなことがコマンド経由で実行できるのかを知ることができる。

また、helpコマンドにコマンド名を指定すると、そのコマンドの使い方が表示される。

helpコマンドでattribの説明を表示させたところ

この出力はコマンドに/?パラメータを指定して出力される内容と同じだ。次のように先ほどと同じ出力が確認できる。

コマンドに/?パラメータを指定しても同じメッセージが得られる

このように、Windows系のコマンドは/?パラメータで使い方が表示されることが多い。

helpコマンドで対応していないコマンドはどうするか

helpコマンドで対応していないコマンドをhelpコマンドの引数に指定すると、次のように対応していないという旨のメッセージが表示される。

helpコマンドが対応していないコマンドを指定するとこうなる

こういう場合にどうすればよいのか。答えはコマンドに依存することになる。

先程も説明したようにWindows系のコマンドは/?パラメータが使い方を表示する指定になっていることが多いので、コマンドごとに/?パラメータを試してみるといい。大抵の場合、次のように使い方を見ることができる。

コマンドの/?パラメータで欲しい出力が得られる

そんなわけで、結局のところ/?パラメータを指定すれば使い方はわかるということになる。

とはいえ、helpコマンドにより、どのようなコマンドが使用できるのかを一覧でチェックできるので、覚えておいて損はないだろう。

参考資料